中・高生のための英検合格地図~一歩先を考えた戦略を
2025/8/8
中高生の英語学習で、英検の各級の取得を目標として設定するケースはよくあります。
特に高校生では、大学入試などでのアドバンテージになることもあるため、取得に向けて取り組む人も多いでしょう。
この英検、目安として対応する中学・高校での学習段階が示されていますが、実は学校での英語学習をそのまま横滑りさせて対応するのはちょっと難しい構成になっています。
中学・高校で取得を目指すことになると思われる級について、どのような特徴があり、どのように対策を進めていくべきかをまとめてみました。
4級
目安: 中学中級程度
準動詞(to不定詞・動名詞)、There is/are~の存在を示す構文など、中学2年で学習する文法事項が出てくるので、ほぼこの目安通りという感じにはなっています。
しかし、出てくる英文のパターンはかなり限られており、この級に合格することだけを考えれば、きちんと文法を学習するよりもパターン練習をひたすらやる方が効率のよい学習方法となります。
なので、中学2年の後半以降になると、この級に向けての準備は学習の進展に対してマイナスに働く可能性があります。
取得するなら中学1年まで。中1の夏休みに集中的に対策をして秋にサクっと取得してしまう、というのがおすすめのパターンです。
3級
目安: 中学卒業程度
3級の場合、文法事項などは中学英語の範囲がほぼ網羅されているものの、「中学卒業程度」という感じよりもかなり簡単な印象を受けます。
問題の形式が4択に限られる、という制約があるとはいえ、たとえば公立高校の入試問題と比べると1~2段階はやさしく感じられるはず。
文法事項を早めにざっくりと先取り学習して、中学3年の早い時期までに取得するのがおすすめです。
準2級
目安: 高校中級程度
準2級も、示されている目安からすると比較的簡単です。
一応、関係副詞や分詞による修飾といった高校レベルの文法事項は入ってくるものの、中学で学習する知識だけでも十分にカバーすることができます。
語彙レベルは多少高くなるものの、「高校中級」というよりは「中学英語に毛が生えた程度」というのが妥当なところ。
高校受験のスケジュールとの兼ね合いになりますが、中3の春休みに準備を進め、高1の5~6月にある年度第1回の試験で取得する、というのがおすすめのパターン。
準2級プラス
目安: 高校上級程度
導入されてまだ1回しか実施されていない準2級プラスは、レベルとしては「高校英語ど真ん中」という印象。語彙レベルは若干高めだが、難易度としては大学入試対策以前の標準的な高校生向け教材と同じくらい。
3級→準2級にくらべて準2級→2級にかかる時間が2倍くらいになっていることの対策として導入された級ですが、「2級への橋渡し」としてはちょっと中途半端な感じ。
さらに上の級をどのようなスケジュールで取得していくかとの兼ね合いで、受検するかどうかを決めることになるでしょう。
2級取得に向けては、高1の夏前までに準2級が取得できていればそのまま2級にチャレンジ、そうでなければ高1のうちに準2級プラスを取得してから2級へ、というパターンが良さそうです。
2級
目安: 高校卒業程度
英検公式サイトで示されている目安は結構妥当です。
英検2級に合格するくらいのレベルがあれば、「大学受験用」をうたう教材を使って入試に向けた準備を始めることができます。高校英語の内容がひと通りアタマに入っていて、それを実際に使っていくためのトレーニングを開始できるレベルといえるでしょう。
ただし2級の場合、英検バンド+1~2での「ギリギリ合格」だと、「え? これで2級?」程度の実力しかないケースが少なくありません。合格するなら少なくとも+5以上くらいの余裕をもって合格したいところです。
準1級
目安: 大学中級程度
「超難関校」を除く上位大学の入試問題と同じくらいのレベルです。
ただし、難易度は同程度とはいえ、英検と大学入試ではその方向性がやや異なります。
長文読解問題については、大学入試で出るようなエッセイ・物語などは出てきませんが、扱われるテーマは比較的ディープなものが多くなっています。そのため大学入試より、背景知識や全体的な「教養」がある方が有利になってきます。
受験生にとっては、英検準1級の対策と大学入試対策は完全に重なるものではない、というのが悩ましいところになります。
2級から準1級までにどれくらいの時間がかかるかは、2級をどのあたりのスコアで合格できたかで大きく異なってきます。
2級合格時の英検バンドが+1~2くらいだと、英検準1級を現実的な目標とするのは難しいレベルと言えるでしょう。+4~5なら1年計画で取り組むのがおすすめ。+7~8あれば、うまくやれば半年くらいの学習で合格することも可能です。
したがって、高校のうちに準1級を、という目標を達成するには、高2の秋くらいまでには2級に(少なくとも英検バンド+5以上で)合格しておきたいところです。
言語学習全般に言えることですが、上のレベルになればなるほど、次の段階へと上がるために必要な努力の量は指数関数的に増えてきます。
英検はこのあたりの負荷の増加ができるだけリニアになるように工夫しているものの(準2級プラスの導入などはその一環)、やはり2級~準1級はそれ以下の級にくらべてぐっと難易度があがってきます。
この全体の構成を踏まえて、各級をどのタイミングで取得していくかを考えていきましょう。