リスニングテストで「メモ」は必要?
英語のリスニング、特に英検や入試の対策として「メモをとりなさい」と言われたことはないでしょうか?
あるいはその反対に、メモを取りながら聞こうとしたら「メモはとらない方がいい」と言われたりしたことはないでしょうか?
リスニングテストのとき、果たしてメモはとるべきなのか、とるべきではないのか。
少なくとも英検や大学までの大部分の入試におけるリスニング試験では、「メモはとらないほうがよい」と断言できます。
そもそも「メモのとり方」とは?
「メモをとれ」という人に、「何を、どのようにメモすればいいのか」説明を求めてみてください。
「こういうことを」「この形で」メモするように、と具体的に説明できる人はまずいません。
私自身、かつてプロの通訳者にこの「メモの取り方」のヒントについて何度か尋ねたことがありますが、「説明できない」というのが共通の回答でした。
そのときは釈然としませんでしたが、自分自身が通訳として仕事をするようになって、「確かにこれは説明のしようがないわな」と実感しました。
「メモ」は簡単にとれるものではない
どの情報をメモとしてどのように記録するべきかは、話のテーマや背景・状況などによって異なります。
まさに「ケース・バイ・ケース」で決まるものであり、幅広く通用する「共通の処方箋」を示すことは不可能なのです。
さらに言えば、メモするべきなのは「絶対に押さえておかなければならない情報」ですが、流れてくる情報の中でどれがこれに該当するかを判断するには、その話のテーマやアウトラインが最低限わかっている必要があります。
英検や大学入試レベルのリスニング問題では、音声が流れ始めた直後はこの「メモ取り」をするための十分な情報がありません。
問題文の分量もそれほど多くはないので、テーマやアウトラインがわかる頃には問題文の半分近くが終わっている、ということがザラにあり得ます。
通訳業務の場合には、何が話題になる場での通訳なのかがわかっているし、事前に資料が提供されるのが一般的。
このような条件があってこそ、メモすることが可能になるのです。
問題文・選択肢を活用しよう
英検や大学入試のリスニング問題は、ほとんどの場合「多肢選択式」となっています。どのような情報を押さえる必要があるかは、問題文と(正解の)選択肢に端的に示されています。
問題文と選択肢にはどうしても目を通さざるを得ないのだから、あえて自分でメモをとるよりも、これらの情報を「メモ代わり」に使ってしまうのが効率的です。
自分独自のメモをとることよりも、まずは音声を聞きながら(可能であれば音声が流れてくる前に)問題文・選択肢に目を通し、何を聞き取っていくべきか分析するスキルを鍛えましょう。
一方で、(TOEFLや一部難関大学の入試で出される)スクリプトが500ワード、時間にして3分を超えるような長いリスニング問題では、独自にメモをとることを考えてもいいかもしれません。
これくらいの長さがあれば、メモをとれる条件がある程度整います。問題文・選択肢の先読みとうまく組み合わせれば、メモをとる労力を上回るメリットが得られる可能性があります。