地道に、コツコツ、大量に −私の「夏の勉強」の思い出−
私の部屋には、エアコンがありませんでした。
窓を開けると自然の風。
そんな中、私はわざとスキーウェアを着て勉強してみようと思いました。
もちろん汗だく。でもそれがかえって気持ちいい!
そして限界まで汗をかいたあと、スキーウェアを脱ぐ――
あの瞬間の爽快感は、今でも忘れられません。
部屋の窓から外を見ると、少し向こうに一本の大きな樹。
たぶん樹齢100年近くはあると思います。
夏の風にゆったりと揺れるその姿を勉強の合間に眺めていたのも、私の中での「夏の勉強」の思い出です。
その年の夏休み、私は自分の志望校である上智大学外国語学部英語学科の入試問題に、毎日、チャレンジしていました。
英語学科の入試は試験時間が90分。
問題数は全部で75問。
長文読解は7題。
これを毎日1年分ずつ時間を計って解く。
まずは解いて、採点。
しかしそれで終わりではない。
そのあと、もう一度すべての長文を読み直す。
知らない単語はその場で調べる。
文構造も丁寧に把握する。
長文の意味が100%理解できるまで読み込む。
そして、知らなかった単語は必ず覚える。
これで「1年分の勉強が終了」。
これを、毎日毎日、長文7題分、全て繰り返しました。
夏休みだけで、読み込んだ長文は約300題ぐらいになったのではないかな。
仮に1つの英文に10単語、知らなかった単語があったとしたら、夏休みの間に3000語。そのくらいはやっていたと思う。
『地道に、コツコツ、大量に』
気づけば夏の中盤には、90分の制限時間のうち70分で解き終わるようになり、残り20分を見直しに使えるようになっていました。
あらためて思うけれど「特別な勉強法」があったわけではない。
大事なのは、
地道に、コツコツ、そして大量にやること。
結局はそれが、確実な読解力アップ・英語力アップにつながる。
英語は正直な教科だから、やったらやった分だけ必ず、必ず力になる。
今できてないのは、必要な分量をやっていないだけ。
ちゃんとやれば誰でも必ずできるようになる。
あの夏、蝉の鳴き声が響き、大きな樹が風にゆったり揺れているのを眺めながら、汗だくでひたすら英文と向き合っていた日々。
今でも、懐かしく、鮮やかに思い出します。
この夏は、君たちの番だね。
コツコツの積み重ねが、自分の未来をきっと変えてくれる。
そして、5年後、10年後、20年後に「あの夏、自分はこんなふうに勉強していたよ」と、次の世代の子たちに語ってあげてください。