共通テスト2025【国語】講評と分析
2025/1/19
共通テスト2025を解きました。各大問ごとに傾向を分析したいと思います。
◉試験時間と難易度
今年から試験時間が90分になりました。新傾向の第3問が加わったためです。
新課程入試の1回目ということで、難易度と時間配分を調整して作問されていた感を受けました。
およそ90分内には全て解き終われる量で、難易度も昨年と比較してやや易といったところでしょう。
しかし、現場で解いてきた感覚としては、相当な練習をしないといけない試験だと思いました。全体を読み込み、時間内に解き終えるためには体力と集中力が不可欠です。
◉第1問:評論
観光の“まなざし”を巡る問題。文章自体も読みやすく、特筆すべきは選択肢の数が5つから4つに変わり解きやすくなったことです。
常日頃から伝えている“ミクロ読み”と“マクロ読み”をしっかり実践できれば満点が狙える問題でした。
ある意味非常に素直でオーソドックスな出題になったと思います。今まで最後に添付されていた資料がなくなったのも特徴です。
難易度としては昨対比でやや易、レベル感としては標準です。
◉第2問:小説
今年も現代小説(2005)からの出題。この傾向が続くのかは不明です。
現代小説とはいえ、やや設問に解きづらいものがありました。大きすぎる失点はないかもしれませんが、多少の失点がある人もいたのではないかと思います。
小説も基本スタイルが4択になり、添付資料もありませんでした。
共通テストの小説は、いつも選択肢がギリギリのラインを攻めてきます。このあたりは変わらないでしょう。ただ一貫して「虚心坦懐に、主観を交えず読みなさい」というメッセージが込められているように思えます。今回の選択肢も、無駄に心情を書きすぎている選択肢は軒並み誤答でした。
ちなみに、第1問の語彙問題が消えました。とはいえ今後も小説語彙の勉強はした方が良いでしょう。そもそもの読解に関わってくるためです。
表現問題も相変わらず生き残っていたので、内容と形式の両面を追う訓練をしましょう。
難易度は昨対比でやや難、レベル感としては標準〜やや難です。
◉第3問:資料
新傾向で懸念もありましたが、そこまで受験生を苦しめることはありませんでした。
個人的には、試作問題ABのちょうど中間をとった形だと感じました。
様々なタイプのグラフを出題する傾向は今後も続きそうです。
難易度としてはやや易。ただこれが1年目が故の難易度である可能性も残っているので引き続き動向を確認していきたいと思います。
来年度の受験生は、試作問題ABと各種予備校が作成する模試をたくさん解いてください。
◉第4問:古文
古文はダブルパッセージでした。個人的にはとても良い問題だったと思います。
文章Ⅱの『源氏物語』は有名どころで、受験者の中には「あ〜あの場面ね」となった方もいたのではないかと思います。
文章Ⅰ『在明の別』は主語がつかみにくかったかもしれませんが、文章Ⅱと合わせて考えると、出題者が何をして欲しいのかが見えてきます。すると全体の内容も取れる形になっていました。
また、リード文に「妹」が苦悩していると書かれていることからも、古文でよくある“生き霊”の話だとわかります。
古文ではそうした全体を捉える力が今後も求められそうです。主語がつかみづらくても諦めずに読み進める気力が必要です。難易度としては、やや易。
◉第5問:漢文
漢文は例年、大学入試センター側からのメッセージが込められた出題が見受けられるのですが、今回もそうした内容でした。
漢文自体の難易度は例年並みで標準だと思います。
今年の出題では、「又」「亦」の二つの「また」の意味を答えさせる問題が目新しいものでした。
漢文も古文同様ダブルパッセージでしたが、全体の内容としては捉えやすく、漢文は相当なことがない限りレベルを逸脱したものは出題されないようにも感じます。
◉総括
私も試験会場に行って、社会も受験して続けざまに国語を解きました。
やはり会場で解くのは家で解くのとは全く違う印象です。90分という時間感覚も、普段から練習しないと慣れないものです。あと、確実に私の体力が衰えています(笑)。
私の得点はXに投稿していますので、気になる人はどうぞ!
試験というのは、どんなに根本原理がわかっていても、専用の対策を積まないとできるようにはならないなと改めて感じました。教える立場になると、あまり制限時間を気にせず問題を解いてしまうこと、立て続けに色々な科目を解かないことなどが手伝って、いきなり本番はきつかったです。
今回は新傾向の調査という名目で試験会場に足を運びましたが、学びが多かったです。また、これをやり切った受験生たちには頭が上がりません。
来年度の受験生は今から入試対策を始めてください。一年かけて身体を共通テストに慣らしてください。
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