「待つ」ができないと子は育たない
2025/4/30
母親は子を過保護に育てて当たり前と私は思っています。
女性とはいかなる生き物なのかについて、フランスの精神分析家かつ哲学者であるジャック・ラカンは『エクリ』において、キルケゴールは『死に至る病』において「自然」だと言っています。ようするに、女性を表す言葉が自然しかないのだと――。つまり、なぜかわからないけれど、母親という生き物は過保護なのだと。私はその意見に賛成です。したがって、母親の過保護っぷりを「矯正」しようとはまったく思いません。げんに私は、カウンセリングをその方針でやっています。
子のやる気がないとか、子の生命力が低いというのは、もって生まれたものもありますし、親との「関係」に依るものでもあります。
少し前までは「個」の心(脳)のありかたにやる気のなさの原因をみる専門家が多かったのですが、ここのところ、斎藤環が主張するオープンダイアローグが脚光を浴びています。
子どもの心(脳)のどこに「疾患」があるのか、ではなく、親子の「関係」をどうにかすることで子の生命力を復活させる手法のことです。ラカンの主張に依拠している哲学だと私は解釈しています。
親子関係をどうにかしようと思えば、親も教員も、万事控えめにするしかありません。子どもは学校に行けば「あれをやれ、これをしろ」と言われます。家に帰ると「あれやった? これまだやってないの?」と言われます。どこに息つく暇があるというのでしょう?
待つ。信頼して待つ。これは場合にとっては、忍耐と苦痛を伴います。しかし、待たなければはじまらない物語があります。私は「待てない親」をカウンセリングしていますが、ようするに万事控えめにできればカウンセリングの必要はありません。
とは言うものの、親は親なりの人生を歩んできたゆえ「待てない性格」になっています。つまり「なぜ待てないのか」その理由がわからないと「待てる親」にならない。このへんにカウンセリングのニーズがあるように思います。
なんだって同じです。アンガーマネジメントという言葉がありますが、怒りの感情だって、怒る本人にしてみれば、なんらか「怒るにふさわしい」理由があるから怒るのであって、したがって本人の中ではバランスがとれているのです。だから「なぜ怒るのか」その原因について「対話する」しかなのです。怒りの感情が湧いてきたら深呼吸して3秒待ちましょう、なんて、そんなもの机上の空論でしかないのです。すべてのふるまいには「根本理由」があるということです。在野の哲学者として、私はそう考えています。
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