理系なのに“文系力”も必要?こうすれば伸びる生徒の“読解術”
「理系だから、読解力は重要ではない」と思っていませんか?
実は、理系科目ほど“文章を正確に読み取る力=読解力”が成果を左右します。
今回は、理系講師の目線から、理系生にとっての読解力の重要性と、その伸ばし方についてお話しします。
◆ 読解力とはそもそも何か?
読解力とは、「書かれていることを素直に読み取る力」です。
これは単に“速く読む力”や“要約力”ではありません。
筆者(出題者)が伝えたい意図を、余計な思い込みを交えずに受け取る力のことです。
多くの受験生がやってしまうのは、**「自分の都合のよい解釈」**をしてしまうこと。
これが問題文の意図とのズレを生み、勘違いや見当違いの解答につながってしまいます。
「わかっているのに点が取れない」と主張をする生徒の多くが、実はこの“読解のズレ”を抱えています。(つまり、本当のところはわかっていないのですが(;^ω^))
◆ 理系でも読解力が必要な理由
共通テストでは、理系科目でも「読ませる問題」が急増しました。
センター試験時代と比べると、文章量の差は歴然です。
数学ⅠA:センター試験平均 約2,500字 → 共通テストでは約7,000字(2025年)と大幅増加しています。
数学ⅡB・C:センター試験平均 約2,800字 → 共通テストでは約5,300字→約6500字(2025年)と年々増え続けています。
物理・化学・生物:センター試験時代の約1.5~1.7倍のページ構成(平均20ページ→35ページ以上)
つまり、問題を「読む力」自体が得点力と直結する時代になったのです。
式を立てる前に、どんな意図で設問が構成されているかを理解できる生徒ほど、結果的に速く・正確に解けるようになります。
◆ 読解力不足が招く“惜しい失敗”と、その改善法
【エピソード①】京都大学を目指す理系高3・A君の場合
共通テスト模試3週間前に指導を開始。
基礎力は十分あるのに、数学の点数は80点に届かない状態でした。
原因を探ると、**各小問のつながりを無視して“力技で解く”**傾向が見られました。
問題文の誘導構造を読まずに個々の計算に突っ込むため、時間切れが頻発していたのです。
そこで次の2点を意識して読むように伝えました。
① 「(1)より(2)を解くと」「①であることを利用して~を求めよ」などの誘導表現から、問題全体の構造を把握すること。
② 「~に注意して」「~に気をつけると」といった言葉が出たら、別の形への読み替えのヒントととらえること。
この2点を徹底して練習した結果、模試では
数学ⅠA87点、数学ⅡB・C90点を達成。
本人も「読むことへの意識が変わるだけで、問題の全体像がつかめる」と実感していました。
【エピソード②】神戸大学を目指す理系高3・B君の場合
B君は記述模試で思ったより得点が伸びず悩んでいました。
答案を確認すると、内容は悪くないのに「冗長でポイントがぼやけている」状態。
原因は、問題文の指示語や問いの種類の違いを読み分けられていないことでした。
たとえば以下の3つ。
① 「文中に~~とあるが、これはどういうことか説明せよ。」→【知識】の再現
② 「この実験から分かることを説明せよ。」→【考察】(事実からの導出)
③ 「実験の結果から推察できることを述べよ。」→【推察】(自分の予想を加える)
B君は、これらを“同じ種類の問い”として処理していたのです。
そこで、まず「何を問われているか」を精読し、
書くべき内容を“引き算”する練習を重ねました。
次の模試では、問題文の問いの表現を正確に読み取ることで、記述のポイントが明確になり、字数配分も的確に。
「問いを読む目が変わった」と嬉しそうに話してくれました。
◆ 読解力を上げるために、普段からできること
読解力は、特別なトレーニングが必要なわけではありません。
日々の学習の中で次の3点を意識するだけでも、着実に変わります。
問題文の指示語を軽視しない。
「~について」「~を用いて」「~の理由を」など、出題者の意図を反映する部分を丁寧に。解く前に全体像を読む。
問題文の流れを俯瞰して、各小問の関係を意識する。答え合わせ、やり直しのとき、“なぜそう問われたか”を考える。
出題の狙いを分析することが、読解力を磨く一番の近道です。
◆ 指導では「教科書の読み方」から徹底します
私の指導では、単に問題の解き方を教えるのではなく、
**「問題文をどう読むか」や「教科書の文章をどう理解するか」**まで丁寧に指導します。
理系科目でも、「読解力を鍛える意識」を持つことで、
自分の思考を整理し、ミスを減らし、確実に得点につなげられるようになります。
「問題の意図を読み違えることがある」
「模試でケアレスミスが多い」
「書けるのに点が取れない」
そんな悩みを抱えている方は、“読解力”の部分に課題があるかもしれません。
一度、文章の読み方・問題の捉え方から一緒に見直してみませんか?
こちらの記事を読んで少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。