ドキッ!『なんで学校行きたくないの?』と聞いてしまうあなたへ
2025/5/8
はじめに
「なんで学校行きたくないの?」と問いかけると、子どもはつい
「行かなきゃダメなんでしょ?」
「我慢しなきゃいけないんでしょ?」
と感じ、胸の内を閉ざしてしまいがちです。特に不登校や登校しぶりの小学生にとっては、平時なら大したことのない
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- 先生のちょっとした一言
が「学校そのものが怖い」「居場所がない」と感じさせるきっかけになってしまうことも少なくありません。
本記事では、詰問口調になりやすい「なんで?」「どうして?」をやめて、子どもの本音を引き出し、安心感を与える“押し付けない問いかけ”のフレーズをシーン別にご紹介します。
「なんで?」がもたらすネガティブ影響
1.防御本能を刺激
「理由を説明しなきゃ」と背負い込ませ、自分を守るために言葉を飲み込みます。
2.自己肯定感の低下
「やっぱりダメなんだ…」と自分を責める原因に。
3.信頼関係の希薄化
「言っても分かってくれない」と感じると、次第に相談や共有を避けるようになります。
押し付けない会話の4つのポイント
1.共感的な受け止め
「そうなんだね」「それはつらかったね」と、まずは感情を受け止める。
2.選択肢を示す
「教えてくれる?」「話したいタイミングでいいよ」と、子どものペースを尊重。
3.肯定的なフィードバック
「よく話してくれたね」「その気持ち、大事だよ」と、安心感を補強。
4.十分な待ち時間
言葉を探す時間を奪わず、沈黙も会話の一部として受け容れる。
シーン別・言い換えフレーズ集
1.理由をやわらかく尋ねる
子どもは説明が苦手。問いかけを「尋ねる」から「共に探す」姿勢に変えると、心を開きやすくなります。
- 「どうしてそう思ったか、教えてくれる?」
- 「そのとき、何が一番気になった?」
- 「○○した理由があったら、話してもらえる?」
- 「どんな気持ちでその選択をしたか、一緒に考えようか」
- 「何か困っていることがある?」
- 「どういうところが不安だった?」
2.感情を受け止める
言葉ではなく気持ちを扱うと、子どもは自分に理解者がいると感じます。
- 「すごくつらかったんだね」
- 「怖かったんだね、よく教えてくれたね」
- 「がんばってるの、ちゃんと見ているよ」
- 「ドキドキした?どんなふうに感じた?」
- 「泣きたくなるほど大変だった?」
- 「心がモヤモヤしてるの、分かるよ」
3.振り返りを促す
未来志向の問いかけで、「改善のヒント」を自ら探す力を育みます。
- 「次に同じことがあったら、どうしたら楽になるかな?」
- 「他の方法を試すとしたら、何がありそう?」
- 「○○した後、どんな気持ちだった?」
- 「時間を戻せたら、最初に何を変えたい?」
- 「改善するとしたら、最初に何から始める?」
- 「別のやり方が思いついたら教えてね」
4.選択肢を与える
「自分で選ぶ」ことで、主体性と自己効力感を引き出します。
- 「AかB、どちらがいい?」
- 「この方法とあの方法、興味あるのはどっち?」
- 「今、話す?あとで話す?」
- 「一緒に〇〇する?それとも△△?」
- 「次は○○と□□、どちらに挑戦してみる?」
- 「他に気になることがあったら教えて」
5.好奇心を引き出す
“学ぶ楽しさ”の種を蒔くように、ワクワクを刺激します。
- 「どんなところが面白いと思った?」
- 「もっと知りたいことはある?」
- 「次に探究してみたいテーマは?」
- 「なんで興味が湧いたか、教えて?」
- 「どんな発見があるとワクワクする?」
- 「この先、何を試してみたい?」
フレーズ活用の注意点
トーン&ペース:低めの声でゆっくり話し、アイコンタクトを忘れずに。
沈黙の尊重:沈黙は反応を待つ時間。焦らず子どもに考えさせる。
一貫した態度:短期的に使うのではなく、日常的な対話パターンに。
信頼の積み重ね:最初はぎこちなくても、繰り返すことで「話してもいいんだ」という安心感に。
まとめ
「なんで学校行きたくないの?」「なんで宿題やらないの?」と詰問口調を続けると、子どもの小さなSOSは見えにくくなり、ますます心を閉ざしてしまいます。本記事でご紹介した“押し付けない問いかけ”を少しずつ取り入れれば、子どもは「話してもいいんだ」と感じ、やがて本音を打ち明けてくれるようになります。
まずは1フレーズから、ぜひ今日の会話で試してみてください。親子の信頼関係が、確かな一歩を踏み出します。
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