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算数

数と数字の一致を体験しよう!身近な体験から算数の土台を育む方法

2025/5/20

数字はスラスラ読めるのに、計算にはすごく時間がかかる…」

学級の中には一定数こういうお子さんがいます。親御さんも気付いていて、計算練習もしているけれどなかなか速くならない、そんなお子さんです。そこには「数と数字の一致」という算数のすべての土台ともいえる、とても重要なテーマが隠れています。数字が読めることと、数の概念を理解していることは、似ているようで実は異なります。

18年間、小学校教師として全学年の算数を教えてきた経験から、今回は「数と数字の一致」について、日常生活の中で簡単に取り組める具体的な方法と、その効果が小学校算数にどうつながるのかを丁寧にお伝えします。

「数と数字の一致」ってどういうこと?

「数と数字の一致」とは、簡単に言えば、「数字の"5"を見て『5つ』の量がイメージできる」ということです。「5」と書かれた数字と、実際の「5つのりんご」などの具体物が頭の中で結びつく感覚が育っているかどうかがポイントです。

ここが育っていないと、数を具体的にイメージすることが難しくなり、計算や文章問題でつまずきやすくなります。

実践例① おやつで数える習慣をつけよう

「今日はクッキーを3つ食べようね」「ぶどうは10粒食べていいよ」といったように、日常のおやつを渡す時に数を意識して声かけします。この時、実際にお子さんに数えさせながら渡すことがポイント。

子:「1、2、3…」

親:「そうだね、3つだね!」

この繰り返しが、数字と実際の量の結びつきを強化します。

実践例② お風呂での数遊び

お風呂も数の一致を体験する絶好の場所です。お風呂の中にあるおもちゃを数えたり、水をすくって「このカップにお水を5杯入れようね!」と具体的に数字と量をつなげて声をかけます。

また、「あと3秒でお湯から出るよ。3、2、1!」と数を減らしていくこともおすすめ。数の増減が実感を伴って学べます。

実践例③ お出かけの時の数え遊び

公園に向かう途中やスーパーでのお買い物の際も、数遊びができます。「犬を何匹見つけられるかな?」「車の赤信号を何回見るかな?」と、数えながら歩きます。楽しさの中で、自然と数える力が身についていきます。

数と数字の一致が小学校算数につながる理由

これらの日常の経験が、なぜ算数の土台になるのでしょうか。それは、小学校の算数はすべて、「数を具体的にイメージできる」ことを前提としているからです。

・足し算・引き算(加法・減法):数が具体的にイメージできて初めて、増えたり減ったりする感覚がつかめます。

・繰り上がり・繰り下がりの計算:具体的な量が頭にイメージできることで、抽象的な「繰り上がり」や「繰り下がり」の理解がスムーズになります。

・かけ算・わり算:まとまりごとの数をイメージすることで、「まとまって増える」「まとまりに分ける」というかけ算やわり算の概念が分かりやすくなります。

日常のささいな数の体験が、小学校以降の学習の基礎を形作っているのです。

親がやってしまいがちなNG行動とは?

実は、多くの親御さんが、子どもの数感覚を伸ばすつもりが逆効果になる行動をしてしまっています。例えば、

  • 数を子どもの代わりに数えてしまう。
  • 「どうしてわからないの?」と焦ってしまう。
  • 間違えたときに叱ってしまう。

これらはお子さんの自信や数への興味を削いでしまいます。子ども自身が楽しみながら、何度でも数える経験が重要なのです。

子どもが数えるのを楽しむ声かけのポイント

「もう一回数えてみようか!」

「次はお母さんも一緒に数えるね!」

こういったポジティブで温かい声かけが、「数えること」を楽しむ環境を作ります。また、大人がわざと間違えてみせるのも効果的。大人の間違いを指摘し、正せるという経験は子どもの自信になります。「数えることは楽しい!」と感じることで、自発的に数と数字の一致を身につけていきます。

また、卵パックのように「いくつ入るか分かる」容器を使うのも効果的です。卵が6個入っていることと、あと4個入ることが容器の形から容易に判別でき、10の合成・分解の理解にもつながります。10の合成・分解は1年生の鬼門ともいえる「繰り上がり・繰り下がり」に必須の考え方です。

実際の授業現場からのエピソード

私自身、小学校で何度も「数と数字の一致」が曖昧なまま高学年になった子どもたちに出会いました。そのたびに、具体物を使った数え直しからスタートしたいところですが、高学年ともなるとプライドが芽生え、低学年の頃にやっていたことをするには周囲の目が気になります。結果的に、数量感覚に乏しいまま学習がどんどん進んでいくというもどかしさもありました。遠回りのようですが、土台を整えることでその後の伸びは驚くほど大きいものです。

こうした経験からも、ぜひ家庭での「数える習慣」を意識的に行ってほしいと思っています。

おわりに

「数と数字の一致」を日常の小さな体験から積み重ねることで、小学校の算数は劇的に理解しやすくなります。ぜひ今日から、楽しみながら数える経験をお子さんと一緒に積んでください。

長年小学校の現場で数多くの子どもたちの算数力を伸ばしてきた経験から、家庭で取り組める算数力アップのコツをこれからも発信していきます。

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