旅する日本史_京都 vol.3
“宗教と政治が揺れた京都”
京都は静寂の中に“権力の痕跡”が潜む街。
今回扱うのは、都の歴史を大きく揺さぶった宗教勢力と政治の衝突です。
■ 比叡山延暦寺と朝廷・武士のせめぎ合い
平安京の北東を守る比叡山延暦寺は、最澄が開いた天台宗の中心地。
しかし中世に入ると、僧兵を抱える巨大勢力となり、京都の政治へ影響を及ぼしました。
● “強訴”という一種の政治行動
延暦寺や興福寺(奈良の法相宗)は、神輿を担いで都へ押し寄せ、朝廷に圧力を加える強訴を繰り返しました。
これは軍事力だけでなく、「神の威を使った政治的示威行動」という、世界的にもユニークな現象です。

● 源平・南北朝の京都を揺らした宗教勢力
平清盛が政権を握った時代も、源頼朝が幕府をひらいた後も、宗教勢力の影響力は無視できません。
さらに南北朝時代には、朝廷の分裂に宗教勢力が関与し、京都は緊張が絶えない空気に包まれました。
■ 本願寺と町衆 ― 中世京都の新プレイヤー
室町時代、京都で新しい勢力が台頭します。
それが浄土真宗(本願寺)と、都市の運営を担った町衆です。
● 法華一揆・山科本願寺が描く民衆の力
町衆と宗派が結びついた法華一揆は自治組織を作り、都市政治の新たな主役へ躍り出ます。
さらに、蓮如の布教によって発展した山科本願寺は、比叡山と並ぶ影響力を持つほどに成長しました。
● 信長と宗教勢力の衝突
戦国時代、織田信長は中世的権威を打破すべく動きます。
比叡山焼き討ち(1571)、そして石山戦争で本願寺と10年以上戦ったことは、
“武士政権が宗教勢力を抑え、近世へ向かう転換点”として非常に重要です。

▶ 受験対策シート:京都×宗教・政治(まとめ)
〈宗教勢力〉
比叡山延暦寺(天台宗)・僧兵
興福寺(法相宗)
強訴(神輿を担いで都へ)
浄土真宗(本願寺)
蓮如・山科本願寺
法華一揆・町衆
〈政治との関係〉
平清盛(平家政権)
源頼朝(鎌倉幕府)
南北朝時代の動乱
織田信長の比叡山焼き討ち(1571)
石山戦争(1570〜)
〈押さえるポイント〉
京都は宗教勢力が政治へ強い影響を持った都市
鎌倉・室町・戦国すべてで宗教勢力が政治のカギ
信長の宗教勢力抑圧が“近世国家”のスタートにつながる
■ 次回予告
京都編VOL.4では、
**「室町文化と町衆文化の開花」**を深掘りします。
混乱の時代に、なぜあれほど洗練された文化が生まれたのか。
京都が持つ底力を探っていきます。