オンライン家庭教師マナリンク

旅する日本史_京都 vol.3

2025/12/3

“宗教と政治が揺れた京都”

京都は静寂の中に“権力の痕跡”が潜む街。
今回扱うのは、都の歴史を大きく揺さぶった宗教勢力と政治の衝突です。

■ 比叡山延暦寺と朝廷・武士のせめぎ合い

平安京の北東を守る比叡山延暦寺は、最澄が開いた天台宗の中心地。
しかし中世に入ると、僧兵を抱える巨大勢力となり、京都の政治へ影響を及ぼしました。

● “強訴”という一種の政治行動

延暦寺や興福寺(奈良の法相宗)は、神輿を担いで都へ押し寄せ、朝廷に圧力を加える強訴を繰り返しました。
これは軍事力だけでなく、「神の威を使った政治的示威行動」という、世界的にもユニークな現象です。

写真2 山法師強訴図(部分)

● 源平・南北朝の京都を揺らした宗教勢力

平清盛が政権を握った時代も、源頼朝が幕府をひらいた後も、宗教勢力の影響力は無視できません。
さらに南北朝時代には、朝廷の分裂に宗教勢力が関与し、京都は緊張が絶えない空気に包まれました。

■ 本願寺と町衆 ― 中世京都の新プレイヤー

室町時代、京都で新しい勢力が台頭します。
それが浄土真宗(本願寺)と、都市の運営を担った町衆です。

● 法華一揆・山科本願寺が描く民衆の力

町衆と宗派が結びついた法華一揆は自治組織を作り、都市政治の新たな主役へ躍り出ます。
さらに、蓮如の布教によって発展した山科本願寺は、比叡山と並ぶ影響力を持つほどに成長しました。

● 信長と宗教勢力の衝突

戦国時代、織田信長は中世的権威を打破すべく動きます。
比叡山焼き討ち(1571)、そして石山戦争で本願寺と10年以上戦ったことは、
“武士政権が宗教勢力を抑え、近世へ向かう転換点”として非常に重要です。

家族で比叡山「延暦寺」に行こう! おすすめコースと、子どもも楽しめる見どころを凝縮してご紹介 | HugKum(はぐくむ)

▶ 受験対策シート:京都×宗教・政治(まとめ)

〈宗教勢力〉

  • 比叡山延暦寺(天台宗)・僧兵

  • 興福寺(法相宗)

  • 強訴(神輿を担いで都へ)

  • 浄土真宗(本願寺)

  • 蓮如・山科本願寺

  • 法華一揆・町衆

〈政治との関係〉

  • 平清盛(平家政権)

  • 源頼朝(鎌倉幕府)

  • 南北朝時代の動乱

  • 織田信長の比叡山焼き討ち(1571)

  • 石山戦争(1570〜)

〈押さえるポイント〉

  • 京都は宗教勢力が政治へ強い影響を持った都市

  • 鎌倉・室町・戦国すべてで宗教勢力が政治のカギ

  • 信長の宗教勢力抑圧が“近世国家”のスタートにつながる

■ 次回予告

京都編VOL.4では、
**「室町文化と町衆文化の開花」**を深掘りします。
混乱の時代に、なぜあれほど洗練された文化が生まれたのか。
京都が持つ底力を探っていきます。

このブログを書いた先生

大学受験の指導が得意なオンライン家庭教師一覧

この先生の他のブログ

そらの写真

GMARCHの攻略短期集中 第1回(GMARCH合格に必要な点数と “2か月ロードマップ”/全9回)

2025/12/1
「全9回に分けて、GMARCHを目指す人へ受験までの道のりを、一緒に確かに歩んでいけるようにお話ししていきます。」第1回目はGMARCH合格に必要な点数と “2か月ロードマップ”を公開します!”GMARCH志望の皆さん、いよいよ本番まであと2か月。この時期になると、「間に合うのか不安」「どこから手を...
続きを読む
そらの写真

【世界を旅した先生が伝えたい!歴史への興味がグッと深まる「旅×学び」のススメ】 vol.14 ブルガリア編 ― バルカンの十字路で出会う、祈りと帝国の物語 ―

2025/11/30
バルカン半島を旅していると、街の空気の奥に“重層的な歴史”が静かに息づいているのを感じます。その中でもブルガリアは、文明がぶつかり合い、混ざり合い、また離れていく――そんなドラマが詰まった国。ヨーロッパ最古級の歴史を持ちながら、ローマ帝国、ビザンツ帝国、オスマン帝国という巨大な存在に囲まれ続けてきた...
続きを読む
そらの写真

旅する日本史_京都 vol.2

2025/11/26
― 室町・戦国の京都を歩くと、歴史の“渦”が見えてくる ―京都を旅していると、ある場所では「雅(みやび)」が漂い、別の場所では「荒々しい時代の鼓動」が聞こえてくるような気がします。その両方が同居していたのが、まさに 室町時代と戦国時代の京都。足利将軍家の栄華から応仁の乱、そして戦国へ。旅人として街を...
続きを読む
そらの写真

【世界を旅した先生が伝えたい!歴史への興味がグッと深まる「旅×学び」のススメ】 vol.13 北マケドニア編 ― 小さな国に詰まった“大きな歴史”

2025/11/21
バルカン半島の山あいに佇む北マケドニア。観光地としては華やかさこそ控えめですが、歩き始めるとすぐに「この国は歴史を背負って生きている」という空気に気づきます。首都スコピエの街に立つと、古代・中世・オスマン帝国・ユーゴスラビア、そして現代に至るまで、まるで地層のように重なり合った時間が一つの景色に収ま...
続きを読む