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旅する日本史_京都 vol.2

2025/11/26

― 室町・戦国の京都を歩くと、歴史の“渦”が見えてくる ―

京都を旅していると、ある場所では「雅(みやび)」が漂い、別の場所では「荒々しい時代の鼓動」が聞こえてくるような気がします。
その両方が同居していたのが、まさに 室町時代と戦国時代の京都。

足利将軍家の栄華から応仁の乱、そして戦国へ。
旅人として街を歩くと、教科書では数行で過ぎてしまう“激動の150年”が、目の前の風景と結びついて立体的に浮かび上がります。

◆ ① 花の御所跡 ― 栄華の象徴は、いまや静かな住宅街

足利義満が建てた「花の御所」。
将軍家の権威と文化の発信地として大きな力を持った場所ですが、今は落ち着いた街並みの中にひっそりと石碑が残るのみ。

華やかだったはずの跡地に立つと、
“歴史の盛者必衰”を胸の奥に感じる瞬間があります。

ここから北へ少し歩けば金閣寺。
義満が夢見た「北山文化」の中心は、いまも光を放ち、人々を惹きつけています。

大聖寺 花の御所

◆ ② 二条城 ― 戦国が終わり、江戸が始まる“橋渡しの地”

二条城といえば徳川家康のイメージが強いですが、もとは戦国の緊張感が色濃く残る地。
大名を迎える御殿は、豪華さ以上に“権威の演出”が徹底されています。

廊下を歩くと、ふと考えます。
「この場所で、どれだけ多くの武将が腹の探り合いをしたのだろう」と。

京都の旅は、歴史の余韻を足で感じられる不思議な時間。
戦国の終わりと江戸の幕開けが、確かにこの地で息づいていました。

◆ ③ 建仁寺・東山界隈 ― 武将と文化人の交差点

室町~戦国の京都を語るうえで欠かせないのが「禅寺」。
武士文化と禅が結びつき、日本独自の美意識が磨かれていきました。

建仁寺や高台寺を歩くと、
・茶道を育てた千利休
・戦国の女性として力強く生きたねね
彼らの生き方が、まるで空気の中に残っているよう。

華やかさより“静寂”の美しさ。
それは、戦乱の中でも日本文化の芯が形づくられていった証でもあります。

◆ ④ 応仁の乱の跡を歩くと見えてくる、「京都が荒れた理由」

応仁の乱は、京都を荒廃させた最大の内乱。
とはいえ、実際歩いても「ここが戦場だった」という看板はほとんどありません。

それでも、上京と下京の構造や祇園祭の復活の歴史を知れば、
乱後の京都がどう再生していったかが見えてきます。

街は焼けても、人々は文化を捨てなかった。
その底力こそ、京都という町の魅力のひとつです。

◆ 旅が教えてくれる、室町・戦国の「リアル」

京都を歩いていると、
・将軍家の栄華
・応仁の乱の混乱
・戦国の駆け引き
・茶の湯や禅が育てた日本文化
これらが地図の上でつながり、「時代の流れ」がはっきり見えてきます。

教科書では“変化の激しい時代”とひとまとめにされがちですが、
実際には 政治・文化・人の心が複雑に絡み合う、日本史の大転換期。

旅を通して歴史を知ると、
ただ暗記するのではなく、「理解する楽しさ」が広がっていきます。

◆ 次回は「京都 vol.3 ― 平安編」へ!

次回は、京都が日本文化の中心として輝いた “平安時代” の旅へ。
千年の都が育んだ美意識、貴族たちの日常、そして現代の京都に残る平安の名残をめぐります。

歴史の景色が変わる旅、どうぞお楽しみに。

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