【帰国子女の高校受験⑦】国立大学附属高校の帰国枠という選択肢|筑波大附属・東京学芸大附属を徹底解説
「国立附属なら全国から受験できる」は本当?帰国生が確認したい出願資格と試験内容
海外から帰国して高校受験をする場合、
「公立高校の帰国生枠だけでは、希望する学校が見つからない」
「帰国する時期と公立高校の入試日程が合わない」
「海外での経験を生かしながら、学力面でも高い環境を目指したい」
このような悩みを抱えるご家庭もあります。
そこで、今回取り上げたいのが国立大学附属高校の帰国生入試です。
国立大学附属高校には、一般の公立高校とは異なる入試制度を設けている学校があります。
ただし、ここで一つ注意したいことがあります。
「国立大学附属高校には、全国共通の帰国生入試制度がある」わけではありません。
学校によって、
帰国生募集を実施しているか
募集人数
海外在住期間
帰国時期
日本国籍などの条件
保護者との同居条件
試験科目
出願時期
事前の資格確認の有無
が大きく異なります。
今回は、令和9年度の募集要項が公開されている筑波大学附属高等学校と東京学芸大学附属高等学校を具体例として、国立大学附属高校を帰国生の選択肢として考える際のポイントを整理します。
1.国立大学附属高校とは?
まず、「国立大学附属高校」がどのような学校なのかを簡単に確認しましょう。
国立大学附属高校は、国立大学に附属する高等学校です。
一般的な公立高校とは設置目的が異なり、大学と連携しながら教育研究を行う役割を持っています。
例えば筑波大学附属高等学校は、筑波大学の教育研究に協力する附属高校として、教育の理論や実践について研究・実証することを学校の役割として掲げています。
また、国際教育の拠点としての役割も掲げています。
東京学芸大学附属高等学校も、東京学芸大学と連携しながら教育研究や教育実習を行う学校として位置づけられています。
つまり、
「大学附属だから、そのまま大学へ内部進学する学校」
というより、
「大学との連携を生かしながら、高校教育そのものの研究・実践を行う学校」
と考えたほうが適切です。
2.帰国生にとって国立大学附属高校を検討するメリット
国立大学附属高校を検討するメリットは、単純に「偏差値が高いから」だけではありません。
帰国生の場合、次のような点が魅力になります。
① 帰国生を対象とした独自の選抜がある学校がある
今回紹介する筑波大学附属高等学校と東京学芸大学附属高等学校は、いずれも令和9年度に帰国生を対象とした募集を行っています。
筑波大学附属高校は「海外帰国枠」を設けており、募集人員は男女合わせて3名程度です。
東京学芸大学附属高校は、帰国生について第1学年15名を募集しています。
このように、一般入試とは別に帰国生向けの選抜が用意されている学校があります。
② 海外経験そのものが出願資格の一部になる
帰国生入試では、一般入試とは異なり、
「海外にどのくらい滞在していたか」
「海外の学校にどのくらい在籍していたか」
「いつ日本へ帰国したか」
といった経歴が重要になります。
そのため、
海外で長期間学んできた経験を前提として受験できる
という点は大きな特徴です。
ただし、海外経験があるだけで受験できるわけではありません。
ここが非常に重要です。
3.筑波大学附属高等学校の海外帰国枠
まず、代表例として筑波大学附属高等学校を見てみましょう。
令和9年度の募集要項では、海外帰国枠を明確に設定しています。
募集人数
男女合わせて3名程度
です。
この人数を見ると分かるように、非常に少人数の募集です。
「帰国枠だから入りやすい」
と単純に考えるのは危険でしょう。
4.筑波大学附属高校の出願資格はかなり具体的
令和9年度の筑波大学附属高校では、複数の条件を満たす必要があります。
例えば、
海外日本人学校中学部を修了見込み
海外現地校の9年課程を修了し、一定の時期以降に帰国
海外日本人学校に在籍し、一定の時期以降に帰国
海外現地校の課程を修了せずに帰国し、日本の中学校を卒業見込み
など、いくつかのパターンが設定されています。
さらに、日本の中学校の学齢期に相当する期間について、海外に引き続き2年以上滞在して教育を受けていることも条件の一つです。
また、
保護者と同居し、そこから通学できること
も出願資格に含まれています。入学時には住民票で確認するとされています。
つまり、
「海外に住んでいたから受験できる」
ではありません。
海外在住期間+学校歴+帰国時期+現在の居住状況
まで確認する必要があります。
5.筑波大学附属高校は「事前確認」が必要
筑波大学附属高校の帰国生入試で特に注意したいのが、
出願前の資格確認
です。
令和9年度は、11月1日から4日に「海外帰国生徒身上書」を提出し、その後、海外在学期間を確認できる書類などを提出して、最終的に出願資格の有無について学校から連絡を受ける流れになっています。
そして募集要項には、
事前確認をしなかった場合、海外帰国枠での出願を受理しない
と明記されています。
これは帰国生入試を考えるうえで非常に重要なポイントです。
一般的な入試のように、
「願書を出してから資格を確認してもらえばいい」
とは限りません。
「まず資格があるか確認する」→「その後、正式に出願する」
という学校もあるのです。
6.筑波大学附属高校の試験は「5教科」
「帰国生入試だから英語中心なのでは?」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、筑波大学附属高校の令和9年度海外帰国枠では、
国語・数学・英語・理科・社会の5教科
が課されています。
各教科60点、合計300点です。
また、各教科50分で、英語にはリスニングテストも含まれます。
つまり、
帰国生であっても、5教科の基礎学力が必要
です。
これは今回のシリーズ第5回でも取り上げた、
「帰国生=英語だけできればよい」
という考え方が危険であることの、非常に分かりやすい例です。
海外生活が長い場合、日本の中学校で学ぶ理科・社会・国語などに学習上の空白が生じることがあります。
そのため、帰国生入試を考えるなら、
英語力+日本の高校入試型の5教科学力
という視点が必要になります。
7.東京学芸大学附属高校の帰国生入試
もう一つの代表例が、東京学芸大学附属高等学校です。
令和9年度も帰国生向けの募集要項が公開されています。
こちらは筑波大学附属高校とは条件が異なります。
募集人数
令和9年度は、第1学年15名
です。
筑波大学附属高校の「3名程度」と比較すると、募集人数にはかなり違いがあります。
8.東京学芸大学附属高校の出願資格
東京学芸大学附属高校の令和9年度募集要項では、
日本国籍を有すること
日本の中学校の学齢期に相当する3年間のうち2年以上、海外の学校で教育を受けていること
保護者の海外勤務に伴って海外に滞在したこと
日本へ帰国した場合、帰国後から入学までの期間が1年未満であること
などの条件が設定されています。
さらに、海外の学校、日本人学校、日本国内の中学校など、どこで学んだのかによって提出する成績関係書類も異なります。
海外生活の記録や海外在留を証明する書類、日本国籍を証明するパスポートのコピーなども必要です。
ここから分かるのは、
帰国生入試では「学力」だけでなく「海外での学習歴を証明する書類」が非常に重要
ということです。
9.東京学芸大学附属高校は国・数・英の3教科
東京学芸大学附属高校の令和9年度帰国生入試では、
国語・数学・英語の3教科
が課されています。
各100点、合計300点です。
英語にはリスニング問題も含まれます。
そして、学力検査だけでなく提出書類も含めて総合的に判断するとされています。
ここは筑波大学附属高校との大きな違いです。
筑波大学附属高校
国語・数学・英語・理科・社会
→ 5教科
東京学芸大学附属高校
国語・数学・英語
→ 3教科
このように、
同じ「国立大学附属高校の帰国生入試」でも試験制度は全く同じではありません。
10.国立附属高校を比較するときに見るべきポイント
ここまでの2校を例にすると、比較するポイントが見えてきます。
筑波大学附属高校東京学芸大学附属高校帰国生募集あり
令和9年度募集人数男女3名程度15名
海外経験の条件原則2年以上の海外滞在など3年間のうち2年以上海外在学など
帰国後の条件ごとに規定入学まで1年未満試験科目国・数・英・理・社国・数・英
英語リスニングあり
書類海外在学期間等の確認あり海外生活・在留・成績等資格確認出願前の事前確認が必要募集要項の資格確認が必要
令和9年度試験日2027年2月13日
※上表は令和9年度募集要項に基づく具体例です。制度は年度によって変更される可能性があります。
この比較だけでも、
「国立大学附属高校だから帰国生入試はこういうもの」
とは言えないことが分かります。
11.国立大学附属高校の帰国枠を選ぶときの注意点
国立大学附属高校は魅力的な選択肢ですが、注意点もあります。
① 募集人数が少ない
筑波大学附属高校の令和9年度海外帰国枠は3名程度です。
少人数募集の場合、1人ひとりの学力や書類などが合否に与える影響も大きくなります。
「帰国枠だから一般入試より簡単」
とは考えないほうがよいでしょう。
実際、筑波大学附属高校の令和8年度入試では、海外帰国枠は出願8名、受検5名、合格3名でした。
過去の数字は年度によって変わるため合格可能性を直接示すものではありませんが、少人数の選抜であることは理解しておきたいポイントです。
② 帰国時期が非常に重要
帰国生入試では、
「いつ海外から帰国するのか」
が重要になります。
例えば東京学芸大学附属高校では、帰国後から入学までの期間が1年未満であることが条件の一つです。
筑波大学附属高校でも、海外現地校を修了した場合や、日本人学校から帰国した場合など、帰国時期によって出願資格のパターンが分かれています。
そのため、
「受験勉強を始めてから志望校を決める」
よりも、
「帰国時期が決まった段階で、受験できる学校を調べる」
ことが重要です。
12.「学校選び」より先に「出願資格」を確認する
帰国生の高校受験では、一般的な高校受験とは少し違う順番で考える必要があります。
一般的には、
偏差値を見る
↓
学校を選ぶ
↓
過去問を見る
という流れになりやすいでしょう。
しかし帰国生の場合は、
帰国時期を確認する
↓
海外在住期間・学校歴を整理する
↓
出願資格を確認する
↓
受験可能な学校を絞る
↓
試験科目・日程を確認する
↓
学習計画を作る
という順番がおすすめです。
なぜなら、
「受けたい学校」=「受験できる学校」
とは限らないからです。
13.国立附属高校を検討する家庭が準備しておきたい資料
帰国生入試を考える場合、早い段階から次の資料を整理しておくと安心です。
① 海外在住期間
いつからいつまで海外にいたか
途中で帰国していないか
保護者の海外勤務期間
② 学校歴
日本の小学校
日本の中学校
日本人学校
現地校
インターナショナルスクール等
それぞれの在籍期間を整理します。
③ 帰国予定日
「何月ごろ帰国する予定」ではなく、
実際の帰国日が出願資格にどう影響するか
を確認します。
④ 成績資料
海外現地校の成績証明書などが必要になる場合があります。
⑤ パスポートなどの証明書類
学校によっては、国籍や海外滞在歴を証明する資料が必要です。
14.国立附属高校だけに絞らないことも大切
ここまで読むと、
「国立大学附属高校が一番いいのでは?」
と思うかもしれません。
しかし、帰国生の高校受験では、1つの制度だけに絞らないことが大切です。
例えば、
Aルート
国立大学附属高校の帰国生入試
Bルート
公立高校の帰国生選抜
Cルート
公立高校の一般選抜
Dルート
私立高校の帰国生入試
というように、複数の可能性を並行して検討します。
特に帰国時期が遅い場合には、
「国立附属の出願資格はあるけれど、日程的に併願が難しい」
「公立の帰国枠には間に合わない」
「私立なら受験できる」
といったケースも考えられます。
だからこそ、
帰国生入試=一つの学校を狙う制度
ではなく、
帰国時期と資格に合わせて複数のルートを組み合わせる制度
と考えることが重要です。
15.こんな帰国生には国立附属高校という選択肢も
国立大学附属高校の帰国生入試は、特に次のような生徒には検討する価値があります。
海外で2年以上学んでいる
帰国時期が比較的明確
日本の高校入試レベルの国語・数学・英語に対応できる
高い学習環境を求めている
海外経験を高校生活にも生かしたい
私立だけでなく国立も検討したい
公立高校の帰国生枠だけでは選択肢が少ない
一方で、
日本の中学校内容に大きな学習空白がある
帰国時期がまだ決まっていない
出願資格を満たしているか分からない
国立附属の試験科目に対応する時間が足りない
という場合には、まず資格確認と学習状況の整理から始めることをおすすめします。
16.帰国生の高校受験は「早く調べる」が最大の武器
今回紹介した筑波大学附属高校では、令和9年度入試において11月に出願資格の事前確認が行われ、その後1月に出願、2月に学力検査というスケジュールになっています。
東京学芸大学附属高校も、1月に出願し、2月に3教科の学力検査を行う日程です。
つまり、
「帰国してから高校を探そう」
では遅くなる可能性があります。
特に国立大学附属高校の場合、
出願資格の確認 → 必要書類の準備 → 出願 → 入試
という流れがあるため、早めの情報収集が重要です。
17.今回のまとめ
今回のポイントを整理しましょう。
POINT①
国立大学附属高校には、学校によって帰国生向けの選抜がある。
POINT②
全国共通の「国立附属帰国枠」があるわけではない。
学校ごとに出願資格・募集人数・試験科目が異なります。
POINT③
筑波大学附属高校は令和9年度に海外帰国枠を実施。
男女3名程度で、5教科の学力検査が行われます。
POINT④
東京学芸大学附属高校も令和9年度に帰国生募集を実施。
募集人数は15名で、国語・数学・英語の3教科です。
POINT⑤
帰国生入試では「学力」だけでなく「資格」が重要。
海外在住期間、学校歴、帰国時期、保護者との関係などを確認する必要があります。
POINT⑥
できるだけ早く資格確認を行う。
「受けたい学校」ではなく、
「自分が受験できる学校」
を先に確認することが、帰国生の高校受験では非常に重要です。
おわりに
帰国子女の高校受験では、
「英語が得意だから英語を生かせる高校を探そう」
と考えることが多いかもしれません。
もちろん英語力は大きな武器になります。
しかし、実際の入試では、
国語・数学・英語、場合によっては理科・社会まで含めた学力
が求められる学校もあります。
そして何より大切なのが、
「いつ帰国するのか」
「どの学校で何年間学んだのか」
「どの入試制度を利用できるのか」
という受験資格の確認です。
国立大学附属高校は、帰国生にとって魅力的な選択肢の一つです。
ただし、「国立だから受験する」のではなく、
帰国時期・学習歴・現在の学力・高校卒業後の進路まで含めて、自分に合った選択肢かどうかを考える
ことが大切です。
次回は、さらに選択肢を広げて、
「私立中高一貫校の帰国生入試という選択肢」
について取り上げます。
公立高校とは異なる日程・試験方式を設定している学校もあり、帰国時期によっては非常に重要な選択肢になります。
【注意】制度・募集要項について
本記事で紹介している都道府県・学校・出願資格・海外在住期間・帰国後の期間・募集人数・試験科目・入試日程などは、帰国生の高校受験制度を理解するための具体例として紹介しているものです。
高校受験の制度は、自治体・学校・年度によって変更される可能性があります。
したがって、本記事の内容だけで「自分は出願できる」と判断することは避けてください。
実際に受験を検討する際には、必ず最新の募集要項を確認し、必要に応じて各都道府県の教育委員会、志望校、中学校などへお問い合わせください。
特に、
海外在住期間
海外の学校での在籍期間
帰国日
保護者の海外勤務歴
日本の中学校での在籍歴
日本国籍等の条件
必要書類
出願前の資格確認
については、個別の状況によって判断が変わる場合があります。
「受験できるかどうか」を早めに確認することが、帰国生の高校受験では最も重要な準備の一つです。
この先生のおすすめコース
- 数か月後〜数年以内に日本への帰国を予定している (日本の学校の授業についていけるか不安など)
- 家庭以外で日本語を使う機会が少ない(現地校に通っている、日本語学校が近くにないなど)
- 日本語は話せるが、読む・書くことに不安がある(漢字が苦手、長文を読むのが苦手など)
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- 読解力をつけたい。
- テストの点数を上げて、国語に自信をもてるようにしたい。
- 筋道立てて話す力、正しく聞く力をつけたい。
- 高校受験に必要な国語の得点源を確実にし、志望校に合格したい!追加オプションは全て無料で付けたい!
- 中1、中2の基礎内容から復習したい!文法・古典分野の得点アップを目指したい!
- 苦手分野の克服をしたい!学校の授業内容の先取り学習もしたい!自主学習スケジュールも作ってほしい!
- 漢字検定に向けて、集中して効果的に勉強したい!
- テスト範囲の漢字をとにかく書けるようになりたい!
- 海外在住・帰国生・インター生で、漢字にじっくりふれる機会が少ない!
- 海外で育ち、日本の算数の教え方や表現に戸惑っているお子様
- 帰国後、日本のカリキュラムにうまく追いつけるか不安なお子様
- 英語と日本語の切り替えが難しく、算数の文章題に抵抗があるお子様
- 現在海外に住まれていて、日本のカリキュラムの勉強がしたい方
- 教材を一緒に確認しながら、分からない部分の補強を中心に学習したい方
- 海外駐在中・帰国された生徒さん担当経験講師をお探しの方