算数の「再現性」という名の料理:プロ講師が見る合格への最短距離
神奈川の冬は、空気の透明度が少しだけ上がります。相模川の向こうに見える丹沢の山々が、いつもより近くに感じられるような、そんな静かな朝にこの記事を書いています。
世の中には「頑張れば報われる」という言葉がありますが、受験の世界では少し残酷な現実があります。「正しい方法で頑張らなければ、報われない」のです。今日は、僕が10年以上の指導歴の中で築き上げてきた、論理的で少しだけ型破りな指導哲学についてお話ししようと思います。
1. 「武者修行」で培った、泥臭くも合理的な経歴
僕の講師としてのキャリアは、いわゆる「大手進学塾の看板」を背負うところから始まりました。enaの海外校(シンガポール校)や国内校(西船橋、あざみ野など)で校長や副校長を歴任し、帰国子女受験の最前線に立っていました。その後、中学受験の一般入試の奥深さを知るために、四谷大塚や日能研といった塾で、神奈川県内のあらゆる校舎(相模原、湘南台、大船、海老名、中山、町田など)を渡り歩く「武者修行」を行いました。
最上位クラスの生徒たちを数多く担当して気づいたのは、偏差値が高い子ほど「なぜその解法を選んだのか」という論理が明確であるという点です。一方で、伸び悩む子は「なんとなく」解いている。この「なんとなく」を「必然」に変えるのが、僕の仕事です。
2. 指導の「再現性」:わかる、を「できる」に変換する仕組み
「先生の解説を聞いて分かったつもりになったけれど、一人では解けない」。受験生が最も陥りやすい罠です。僕はこれを打破するために、授業の中に**「生徒による解説」**を取り入れています。
思考を言語化する「アウトプット型授業」
僕の授業では、あえて最も難しい問題を生徒に解説させることがあります。
「なぜこの線分図を書いたの?」
「この比はどこから導き出された?」 論理的に説明できて初めて、その知識は自分の血肉となります。このプロセスを経ることで、本番の初見問題に対しても「論理の再現性」を持って挑めるようになるのです。
オシム流の「洞察」とメンタル管理
かつてのサッカー日本代表監督イビチャ・オシム氏は、選手のわずかな表情の変化や心理状態を見抜く天才でした。僕も指導において、生徒の「ノートの写し方」や「視線の動き」から、彼らが何を隠し、どこで躓いているのかを徹底的に観察します。 オンライン授業であっても、画面越しの「間」で彼らが問題を解いているフリをしているのか、真剣に悩んでいるのかは8割以上の確率で分かります。学習内容だけでなく、家族の中での立ち位置や劣等感といった背景までを構造的に捉えることで、最適な言葉がけを選択しています。
3. ボーダーレス学習:算数と数学の境界線を破壊する
僕は「算数は算数の解き方でなければならない」という固定観念を持っていません。例えば、栄光学園や聖光学院といった難関校の問題を解く際、高校数学の概念を噛み砕いて導入した方が圧倒的に効率的な場合があります。
料理に例える「解法のストック」
算数の問題は、冷蔵庫にある材料(条件)を使って、いかに美味しい料理(正解)を作るかというゲームです。
つるかめ算、速さ、比。 これらを個別の材料として扱うのではなく、一つの鍋で煮込む「複合問題」として捉える訓練をします。難問とは、単に材料の種類が多いだけの話。一つひとつの処理(計算や図の作成)を**「暗算レベルの計算練習」や「線分図の高速作図」**といった基礎力で簡略化してしまえば、残るのは論理の組み立てだけになります。
4. 結び:最短距離は、決して直線ではない
僕の授業スタイルは「明るく、楽しく、激しく」です。 算数や数学が苦手だった僕自身の経験があるからこそ、生徒がどこで立ち止まるのかが手に取るように分かります。高い授業料をいただくプロ講師として、僕が提供するのは単なる知識ではなく、「結果を出すための構造」です。
もし、今の学習に行き詰まりを感じているのなら、一度「なぜ?」を掘り下げてみませんか。僕と一緒に、算数の背後にある「目に見えない数式」を解き明かしていきましょう。