偏差値50の壁は教科書が9割。応用に逃げるな。
塾に通って1年以上経つのに、偏差値が45から動かない。
そういう相談が後を絶たない。親御さんは焦って「応用問題集を追加しようか」と言い出す。お子さんは疲弊している。でも、やることだけ増えていく。
僕はこのパターンを見るたびに、同じことを思う。
「教科書、ちゃんとやり込みましたか?」
偏差値50の正体
中学受験の模試は、基本的に「基本問題が全部解けたら偏差値50を超える」ように設計されている。
これは僕の感覚論じゃない。大手塾の教材を見れば構造として見えてくる。問題は「基本」と「応用」に分かれている。模試のボリュームゾーンは基本問題だ。基本問題が解けるか解けないかが、平均点の分かれ目になる。
つまり偏差値50というのは、特別な才能でも、難問を解く力でもない。
教科書レベルの基本問題を、取りこぼしなく解ける力だ。
それだけだ。
逆に言えば、偏差値が50を超えないということは、基本問題をスラスラ解けていないということを意味する。もっと直接的に言う。教科書をちゃんとやり込んでいない、それだけのことだ。
「応用に逃げる」という現象
不思議なことに、成績が上がらない子ほど応用問題をやりたがる。
なぜか。
基本問題は「解けて当たり前」という空気があるからだ。何度解いても褒められない。でも難しい問題に取り組んでいると、親も「頑張っているね」と言ってくれる。本人も「難しいことをやっている自分」に酔える。
これが罠だ。
基本問題を完璧に解ける状態というのは、実は相当に高い水準を指す。ただ答えが出るだけじゃない。どんな問い方をされても、時間内に確実に、ミスなく処理できる状態を指す。
その水準まで持っていければ、僕の実感では偏差値52〜53は軽く出る。仕上げ方が上手くいけば55前後まで届く。
基本だけで55だ。
なぜ基本問題が「基本」ではないのか
中学受験の教科書における「基本問題」は、小学校の算数とは別物だと思ったほうがいい。
割合、速さ、比、図形の面積。これらを「公式を当てはめる問題」として処理していると、少し形が変わっただけで手が止まる。問題が「見たことある形」かどうかで正解率が乱高下する。
これは「理解」ではなく「記憶」で解いているサインだ。
基本問題を本当に仕上げるとはどういうことか。問題の構造を見て、何を求めているかを即座に分解できる状態のことだ。どの切り口で入るかを自分で選べる状態のことだ。
それができて初めて「基本ができている」と言える。
大半の偏差値50以下の子は、この段階に達していないまま応用に進む。結果、応用問題は何をやっているか分からず、基本問題も安定しない。最悪のループだ。
教科書完全習得ロードマップ
話を具体的にする。
教科書の基本問題を「完璧にスラスラ解ける」状態に持っていくには、3つのフェーズがある。
1周目、全問を解いて、正解・不正解を記録する。理解できなかった問題には印をつける。答え合わせは解説を読んで理解するまでやる。
2周目、間違えた問題と、正解はしたが時間がかかった問題だけを解き直す。「なぜ間違えたか」を1行で書き出す習慣をつける。これが後で伸びる子と止まる子の分岐点になる。
3周目、全問を「制限時間の8割」で解き切れるか確認する。解けない問題が残っていたら、理解ではなく「処理」が身についていない証拠だ。反復を増やす。
このサイクルを、単元ごとに完結させること。全部まとめてやろうとするから抜けが出る。