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丸数字の計算がわからない子に移項を教えるのは悪手です

2026/9/23

丸数字の計算がわからない。① や ② が式の両側に出てきた瞬間に鉛筆が止まり、解説の線分図を見せても、親が「こっちに移すと符号が変わるでしょ」と説明しても、子どもの顔はますます曇っていく。そんなご家庭に先にお伝えしておくと、止まっている原因は子どもの理解力ではなく、教える道具の選び方です。

丸数字の計算で子どもが止まる本当の理由

中学受験の算数では、小4の後半あたりから ① を「ひとかたまりの量」として扱う計算が出てきます。たとえばこういう式です。

⑦ + 5 = ⑤ + 25

大人はこれを見ると、反射的に方程式として解こうとします。⑤ を左に移して、5 を右に移して、符号を変えて……。そして子どもにも同じ手順を教える。ここでつまずきます。

小学生にとって「移項」は二重に謎です。なぜ数を反対側に移動させていいのか。移動させると、なぜプラスがマイナスに変わるのか。この二つを納得させるには、等式の性質から説明しなければならず、それは中学1年生の単元です。小4に中1の理屈を先に飲み込ませようとしているのだから、止まって当然です。

では解説に載っている線分図はどうか。理屈としては美しいのですが、線分図をきちんと書ける小4はそう多くありません。線の長さをそろえ、どこが ① でどこが 5 なのかを描き分ける。この「図を書く作業」自体が、計算より重いのです。解説どおりに教えても伝わらないのは、解説が間違っているからではなく、子どもにとってコストが高すぎるからです。

移項も線分図も使わない「差」で解く

僕が教えるときに使う言葉は一つだけです。「差は何?」

⑦ + 5 = ⑤ + 25

左と右は同じ量です。だったら、丸の差と数の差も一致するはずです。

  • 丸の差:⑦ と ⑤ の差は ②

  • 数の差:25 と 5 の差は 20

つまり ② = 20。① = 20 ÷ 2 = 10。以上です。

確かめると、左は 7 × 10 + 5 = 75、右は 5 × 10 + 25 = 75。合っています。

移項という言葉は一度も出てきません。子どもは「差」という言葉にはすぐ反応します。小1から使い続けている言葉だからです。新しい理屈を積むのではなく、すでに持っている道具で解かせる。これが、限られた時間で得点を拾う中学受験の鉄則です。

符号が違うときは「足す」だけ覚えさせる

もう一つだけ、子どもが困る形があります。

⑦ - 5 = ③ + 23

丸の差は ⑦ と ③ で ④。ここまでは同じです。問題は数のほうで、片方がマイナス、片方がプラスになっている。

ここで僕は理屈を説明しません。こう言うだけです。「マイナスとプラスのときは足す」。

5 + 23 = 28 なので、④ = 28、① = 7。確かめると、左は 49 - 5 = 44、右は 21 + 23 = 44。合っています。

理屈を知りたい子には、あとで種明かしをすればいい。実はこのルールは、少し先で出てくる過不足算の「足りないと余るは足す」とまったく同じ構造です。今は「マイナスとプラスは足す」と覚えておけば、過不足算に入ったときに「あ、これ前にやったやつだ」となる。先に型を渡しておいて、意味はあとから追いつかせる。これも効率の問題です。

丸数字の計算は「毎週少しずつ」で仕上げる

最後に練習の回し方です。丸数字の計算は、小4の冬、1月ごろまでにすらすら解ければ十分です。今週中に完璧にしようとして、同じプリントを何度も繰り返す必要はありません。

  • 毎週、数問だけ解く。同じ週に繰り返さない

  • 1問ごとに「丸の差は?」「数の差は?」と口に出させる

  • 符号が違う問題だけ、「足す」の確認を入れる

これを冬まで続ければ、秋には止まっていた子でも、ほとんど考えずに手が動くようになります。そして丸数字の計算が身についた子は、5年生で出てくる比や、6年生の文章題の見え方がまるで変わります。① を量として扱えるかどうかは、それくらい影響が大きいのです。

明日から親がすべき非情な決断

丸数字の計算がわからない子に、親が善意で中学数学を教える。これが一番の遠回りです。

移項を教えるのをやめる。線分図にこだわるのをやめる。「差は何?」の一言だけで押し切る。

解説どおりに教えることが正しいと信じているご家庭ほど、ここで時間を溶かします。解説は大人が読むために書かれていて、子どもが解くために書かれているわけではありません。その事実を受け入れられるかどうかで、小4の冬の景色は変わります。

単元ごとのつまずきを任せたい方へ

丸数字の計算は、道具を一つに絞れば小4でも十分に解けるようになります。

僕のマナリンクのプロフィールに「中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポート」というコースがあります。丸数字の計算のように、解説を読んでも親子で止まってしまう単元を、子どもが自力で解ける手順に置き換えて教えるコースです。

無料相談もしていますので、いま止まっている単元を一つだけ聞かせてください。

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