中学受験で宿題を嫌がる子の裏に「終わらない恐怖」がある
中学受験の宿題を嫌がる。新しいプリントを見せた瞬間に顔が曇り、ため息をつき、机に向かうまでに30分かかる。そんなお子さんの背中を見て「やる気がない」と判断する前に、一つ確認していただきたいことがあります。その子が嫌がっているのは宿題そのものではなく、「また終わらないものが増える」という感覚ではないでしょうか。
宿題を嫌がる子の家に共通する「真面目すぎる親」
僕がこれまで見てきた中で、宿題を嫌がる子の家庭には、ある共通点があります。親がとても真面目なのです。
出された宿題は全部やらせる。間違えた問題は必ずやり直させる。終わらなければ寝る時間を削ってでも終わらせる。どれも正しい行動に見えます。実際、親御さんは子どものために必死です。
ところが、この真面目さが強すぎると、家の中に一つのルールが生まれます。「宿題は、全部終わるまで終わりではない」。
小4ならまだ回ります。しかし小5で割合・比・速さが始まり、塾の宿題の量が一段増えた瞬間、このルールは破綻します。全部は終わらない。終わらないから翌日に持ち越す。持ち越した分が新しい宿題の上に積まれる。子どもから見ると、机の上にあるのは「今日の宿題」ではなく「永遠に減らない山」です。
親の「終わらせなきゃ」という恐怖が子どもに移る
もう一つ、見落とされがちなことがあります。子どもは、親の表情を驚くほど正確に読んでいます。
宿題が残っている夜、親の声が硬くなる。丸付けのとき、赤ペンを持つ手に力が入る。「まだ終わってないの」という一言に、焦りがにじむ。子どもはそれを全部受け取ります。そして学習します。宿題が残る=お母さんが怖くなる、と。
こうなると、新しい宿題は子どもにとって「お母さんが怖くなる材料が一つ増えること」に変わります。嫌がるのは当然です。やる気の問題ではなく、自己防衛です。
親は「終わらせなきゃ」という恐怖で動き、子どもは「また怒られる」という恐怖で固まる。恐怖と恐怖がかみ合って、宿題は一問も進まない。僕はこの状態を、家庭内の冷戦と呼んでいます。どちらも本気なのに、どちらも一歩も動けない。
中学受験の宿題を嫌がる子には「不完全でも終わり」を渡す
では、どうするか。答えは身も蓋もないほど単純です。親が先に完璧をやめることです。
具体的には、次の三つを家のルールとして宣言してください。
今日の宿題は「ここまで」と決めた範囲をやったら終わり。残りは明日の自分に任せる
わからない問題は、答えを見て写して丸をつけてよい
間違い直しは、その日のうちでなくてよい。週末にまとめて1問だけ
これを聞いた真面目な親御さんは、ほぼ全員が不安そうな顔をします。それで成績が下がったらどうするのか、と。
逆です。宿題を嫌がる子にとって一番の問題は、机に向かうまでの時間です。30分ぐずって、10分だけ解いて、泣いて終わる。これを毎日繰り返すより、「ここまでやれば終わり」と分かっている子が毎日20分きっちり解くほうが、1か月後の演習量ははるかに多くなります。
完璧を求めた家の演習量は、実はゼロに近い。不完全を許した家の演習量は、地味に積み上がる。中学受験は、この差で決まります。
不完全でもやるお母さんが最後に勝つ理由
中学受験は3年がかりの長距離走です。小4の秋に全力疾走して、小5の夏に歩けなくなる家庭を、僕は何度も見てきました。
一方で、毎日「今日はここまで。えらい」と区切りをつけられるお母さんの家では、子どもが宿題を嫌がらなくなります。終わりが見えるからです。終わりが見える宿題は、子どもにとって怖くありません。
そして不思議なことに、こういう家庭の子ほど、小6の秋に伸びます。3年間、机に向かうことを嫌いにならなかった子は、最後の追い込みで「もう少しやる」と自分から言い出すのです。
完璧な宿題1回より、不完全な宿題100回。最後に勝つのは、不完全でも続けたお母さんです。
明日から親がすべき非情な決断
中学受験の宿題を嫌がる子に、これ以上「全部やりなさい」と言うのはやめてください。
今日の宿題の範囲を、親が決めて、親が削る。削った分は、塾の先生や講師に「ここはやれていません」と伝えればいい。宿題の取捨選択は、本来プロの仕事です。
真面目すぎる親の善意ほど、子どもの足を止めるものはありません。その真面目さを、宿題の全消化ではなく、毎日の「ここまで」を守ることに使ってください。
宿題の量と範囲ごと任せたい方へ
宿題を嫌がる子は、量を減らすのではなく「終わり」を見せることで動き出します。
僕のマナリンクのプロフィールに「【お試し・算数】親子喧嘩ゼロへ|元大手塾講師に丸投げプラン」というコースがあります。どの宿題をやり、どれを今は捨てるかの判断を、親御さんの代わりにこちらで引き受けるためのコースです。
無料相談もしていますので、いまの宿題の量を一度見せてください。