中学生の「勉強しなさい」が逆効果になる理由。現役塾講師が教える、子どもが動き出す声かけ
「勉強しなさい!」
中学生のお子さんがいるご家庭では、一度は言ったことがあるのではないでしょうか。
そして、その言葉に対して、
「今やろうと思ってた!」
「分かってる!」
「うるさい!」
……なんて返ってきて、親子で険悪な雰囲気に。
実は、塾講師として長く子どもたちを見ていると、「勉強しなさい」と言われたから勉強するようになる子は、意外と多くありません。
むしろ、言われ続けることで「勉強=やらされるもの」になってしまうこともあります。
では、どう声をかければいいのでしょうか。
今回は、現役塾講師の立場からお話しします。
なぜ「勉強しなさい」は逆効果になりやすいのか?
一番大きな理由は、子ども自身が
「何をすればいいのか分からない」
状態になっていることです。
大人からすると、
「テストが近いんだから勉強するのは当たり前」
と思うかもしれません。
でも子ども側からすると、
何の教科をやればいい?
どこからやればいい?
何分やればいい?
問題集を解けばいい?
間違えた問題をやり直せばいい?
と、実は分からないことだらけだったりします。
そこに「勉強しなさい」とだけ言われても、動き出せない。
これは「やる気がない」のではなく、最初の一歩が見えていない可能性があります。
では、どんな声かけがいいのか?
私がおすすめしたいのは、
「勉強しなさい」ではなく、「一緒に最初の一歩を決める」ことです。
例えば、
「今日、数学と英語だったらどっちからやる?」
「まず10分だけやってみる?」
「昨日間違えた問題、1問だけやり直してみようか」
こんな声かけです。
ポイントは、勉強そのものを命令しないこと。
「勉強しなさい」ではなく、
「何をやるか」を具体的にする。
これだけでも、子どもの心理的なハードルはかなり下がります。
「勉強しなさい」より「どこが分からない?」を
もう一つおすすめしたい声かけがあります。
それが、
「どこが分からない?」
です。
成績が伸び悩んでいる子に対して、
「もっと勉強しなさい」
と言うのは簡単です。
でも、本当に必要なのは「勉強量を増やすこと」ではない場合があります。
例えば、
数学なら計算方法が分かっていないのか。
英語ならbe動詞と一般動詞の使い分けができていないのか。
国語なら文章を読めていないのか、それとも記述の答え方が分からないのか。
「勉強できない」の中身は、子どもによって全然違います。
だからこそ、
「何が分からない?」
と聞いてあげることが大切です。
ただし、「全部分からない」には注意
ここで一つ難しいのが、
「全部分からない」
という返事です。
これ、実は珍しくありません。
でも、本当に全部分からないとは限りません。
例えば、
「数学全部分からない」
と言っていても、
計算問題はできる。
文章題になると分からない。
というケースがあります。
その場合、
「じゃあ数学を全部勉強しよう」
ではなく、
「じゃあ文章題を1問だけやってみよう」
と細かく分けてあげる。
子どもが「できない」と感じているものを、「これならできそう」に変えてあげることが重要です。
親が「勉強を管理する人」になりすぎない
もちろん、中学生に完全に任せてしまえばいいという話でもありません。
特に受験生なら、学習時間や進み具合を確認することも必要です。
ただ、
「何時間勉強した?」
「まだやってないの?」
「昨日も勉強してないよね?」
と管理ばかりになってしまうと、子どもにとって勉強がさらに苦痛になることがあります。
おすすめなのは、
「管理」より「確認」。
「今日は何やる予定?」
「昨日のところ、できるようになった?」
「困ってるところある?」
というように、子ども自身が考える余地を残してあげることです。
「できたこと」を見つけてあげる
そして、これは私が塾講師として特に大切にしていることです。
小さな「できた」を見逃さないこと。
例えば、
「昨日より計算が速くなったね」
「この問題、自分で解けたじゃん」
「前はここ間違えてたけど、今日はできてるね」
こうした声かけです。
成績というのは、いきなり大きく伸びるものではありません。
小さな「できた」が積み重なって、少しずつ自信になっていきます。
そして、
「自分はやればできる」
と思えるようになると、勉強への向き合い方も変わってきます。
それでも勉強しないときは?
ここが一番難しいところですよね。
「声かけを変えたら、すぐ勉強するようになる」
……そんなに簡単ではありません。笑
中学生ですから、当然反発することもあります。
そんなときは、無理に長時間やらせようとせず、
「今日は何ならできそう?」
と聞いてみるのも一つです。
英単語を10個だけ。
数学を1問だけ。
教科書を5分だけ読む。
最初はそれでも構いません。
重要なのは、
「勉強を始める」というハードルを下げること。
一度始めてしまえば、そのまま続けられる子もいます。
保護者の役割は「勉強させること」だけではない
中学生になると、親がすべて勉強を管理するのは難しくなります。
だからこそ、
「勉強させる」から「自分で勉強できるようにする」
へ、少しずつ切り替えていくことが大切です。
「勉強しなさい」
と言いたくなったときこそ、
「今日は何からやる?」
「どこが分からない?」
「一問だけやってみる?」
と、言葉を少し変えてみてください。
たった一言の違いでも、子どもの反応が変わることがあります。
最後に
私は現役の塾講師として、これまで多くの生徒を見てきました。
その中で感じるのは、
「勉強ができない子」よりも、「どう勉強したらいいのか分からない子」の方が多い
ということです。
だから私は、ただ問題を解かせるだけではなく、
「何が分からないのか」
「どうすればできるようになるのか」
を一緒に考えることを大切にしています。
もし今、
「うちの子、勉強しなさいと言っても全然やらない……」
と悩んでいるのであれば、まずは「勉強しなさい」を少しだけ封印して、
「今日は何からやってみる?」
と声をかけてみてください。
そこから何かが変わるかもしれません。
📝 こんなお子さん・ご家庭におすすめです
家ではなかなか勉強しない
「勉強しなさい」と言うと親子げんかになる
勉強しているのに成績が伸びない
何から勉強すればいいのか分からない
中学の勉強についていけなくなってきた
高校受験に向けて、今から何をすればいいか知りたい
一人ひとりの「分からない」を整理しながら、できることを一つずつ増やしていく。
そんな指導を大切にしています。