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イエナプランとはどんな教育?特徴や養われる力を解説

イエナプランとはどんな教育?特徴や養われる力を解説

2019年4月、日本初のイエナプラン教育にもとづく学校、大日向(おおひなた)小学校が長野県佐久穂町に誕生しました。
「自立する」「共に生きる」「世界に目を向ける」ことを大切にする大日向小学校の初年度児童数は約70名。
この学校に通わせるために、遠方から移住してきた家族が大半を占めています。
また、2022年には広島県福山市の常石(つねいし)小学校が、公立小学校ではじめてのイエナプラン実践校として生まれ変わり、全国から子どもたちを受け入れる予定です。
今、日本でも動き始めたイエナプランとは、いったいどのような教育なのでしょうか。

イエナプランとは?


ドイツのイエナ大学で提唱され、オランダで大きく発展した教育理念です。
現在オランダでは200校以上がイエナプランを実践しており、世界各国に広がっています。
イエナプランは「一人ひとりを大切にしながら自律と共生を学ぶオープンモデルの教育」です。
一人ひとりにかけがえのない価値があること、それぞれの価値を尊重する社会をつくること、学校と社会は互いに影響を与えるものであることなど、イエナプランの具体的なコンセプトは「20の原則」として表されています

イエナプランの特徴は?


丘の上で本を読む人

異年齢のグループで学ぶ


イエナプランの最も大きな特徴は、3学年の異年齢の子どもたちで学級が編成されていることです。
年齢も個性も異なる多様な子どもたちがいる学級は、実社会の縮小版です。
子どもたちは学習面でもコミュニケーション面でも、年少・年中・年長の立場を自然に経験し、教え合い、助け合いながら学びます。

それぞれのクラスには「グループリーダー」と呼ばれる担任教師がつきますが、通常の学校のように一方的に教える立場ではなく、グループの一員として子どもたちの発達を促す役割を担います。
教室は「リビングルーム」と呼ばれています。
リビングルームは子どもたちにとって安心して過ごす場、居心地のよい場であり、自分たちで作り上げる空間でもあるのです。

4つの基本活動


イエナプランの学校では、科目による区切りはありません。
子どもたちは「対話・遊び・仕事(学習)・催し」という4つの基本活動を循環させながら学びます
子どもたちが輪になって、クラスのルールやその日の出来事などさまざまなことを話し合う「対話」(サークル)も、イエナプランの特徴のひとつです。
「ブロックアワー」(自立学習・基礎学習)と呼ばれる学習の時間では、子どもたちそれぞれが自分の進度に合わせた計画を立て、自主的に学習を進めます。
グループリーダーから示された「しなければならない課題」と、「子どもたち自身が選んだ課題」を自分で進めていく過程では、年上の子が年下の子に教える様子も見られます。

ワールドオリエンテーション(協働学習・総合学習)


「イエナプランのハート」と呼ばれ、日々の学習の中心となる活動が「ワールドオリエンテーション」です。
学校全体で取り組むテーマをもとにして、実際に世界で起こっていること(学校のルールや地域にある会社のような身近なものから、地形や環境など地球規模のことまで)について、グループのメンバーと協力しながら総合的に学んでいきます。

子どもたちは、自分で資料を探し、観察や実験・インタビュー調査などをし、最後にプレゼンテーションを行います。
ワールドオリエンテーションの中で生まれた「問い」を深めるために、自主学習の中で必要な知識を得ていくという循環が生まれ、学びは「意味」のあるものとなっていくのです。

インクルーシブ教育


学校を現実社会に近いものとしてとらえているイエナプランでは、特別学級を設置していません。
健常者も障がい者もともに、助け合って学びます
子どもたちは年齢も障がいも関係なく、多様な個性に触れて育つのです。

イエナプランでどんな力が養われる?


力こぶを見せる少年

イエナプランの学校では、子どもたちが主体となって学びます。
静かに考える時間のなかで、子どもたちは探求心を持って答えのない問いに向かいます。
イエナプランで育つのは、主体性を持った子ども、そして多様な個性を受け入れ、他者と共に生きる協調性を持つ子どもです。
また、大小の異年齢グループが作られるため、どの子どもも年長としてリーダーの役割を担うことになり、リーダーシップがとれるようになります。

モンテッソーリ教育やシュタイナー教育との違いは?


本立て積み

モンテッソーリ教育では、子どもの自主性と自立心、知的好奇心を育み、社会に貢献する人物となることを目的としています。
モンテッソーリ教育は主に幼児向けとして知られていますが、小学生向けには異年齢の子どもたちを混ぜたクラスで自立的に自由な作業を行います。

一方、シュタイナー教育の特徴は「自由な生き方ができる人間」を育てることです。
自らの意志によって行動できる人間、一貫した自分の考え方を持つ人間を目指します。
日本でもいくつかのシュタイナー学校が作られており、体を動かしたり、芸術に触れたりする時間がたっぷりと取られています。

モンテッソーリ教育とシュタイナー教育に共通するのは、自由と自立を重視している点であり、イエナプランにも通じる部分があります。
しかし、大きく違う点は異なる個性を持った子どもたちと積極的にかかわる「共生(協調性)」の仕組みです。
個性を大切にするモンテッソーリ教育やシュタイナー教育では十分に伸ばせない「協調性」が育まれるのがイエナプランの大きな特徴の一つだといえるでしょう。

日本にあるイエナプランの学校とは?


イエナプランを導入している日本の学校

大日向小学校(長野県佐久穂町)


日本初のイエナプランスクールである、私立の大日向小学校は2019年4月、人口11,000人の自然豊かな町に誕生しました。
廃校となっていた小学校をリノベーションし、教室や廊下、エントランスなどに子どもたちの好奇心を刺激する仕掛けがいくつも施されています。
ランチルームは地域の食堂としても使われており、地域全体で子どもたちの学びと成長を見守っています。
川や森、畑や果樹園、水田など学校の周りの環境すべてが、学びの場です。

大日向小学校では、オランダの教育をそのまま導入するのではなく、日本の学習指導要領とイエナプランを融合させたカリキュラムを作成しています。
オランダで3ヶ月のイエナプラン教育専門の教員養成研修を受けてきた数名の先生をはじめとして、公立小学校でいろいろな実践を重ねてきた経験豊富な先生たちが子どもたちに寄り添っています。

大日向小学校の1日体験入学プログラムでは、四季折々に異なる表情を見せる佐久穂町の自然を感じながら、イエナプランの教育を体験できます。
(ただし、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、2020年度は個別の学校見学や体験入学の実施を見合わせています。)
詳細や今後の予定について知りたい方は、大日向小学校HPでご確認ください。

常石小学校(広島県福山市)


公立小学校としては初めて、福山市立常石小学校でもイエナプランを取り入れます。
少子高齢化の進む常石地区に小学校がなくなってしまうのを防ぐため、地元企業や市と県の教育委員会などが協力して、町の外から子どもたちを呼び込めるイエナプランスクールを作ることになったのです。
2022年に180名の子どもたちを全国から受け入れ、新しい学校として再スタートする予定です。
2020年現在は、2年間の移行期間として、市内全域から1年生から3年生までの子どもたちを先行受け入れし、異年齢集団による教育を行っています。
常石小学校のオープンスクールや学校説明会など詳細については、福山市HPでご確認ください。

まとめ


これからの子どもたちには、一人ひとりの多様性を尊重し、主体性と協調性を身につけていくことが求められています。
イエナプランはそんな社会の流れに合った教育理念だといえるでしょう。
大日向小学校や常石小学校などの取り組みに、これからますます目が離せなくなりそうです。