#19勉強法完璧主義からの脱却
2024/8/9
はじめに
SNSやYouTube、先輩の体験談や先生のアドバイス。そこには、数えきれないほどの「すごい勉強法」が溢れています。ついついあれこれ調べてしまい「自分はそんなにすごくないな…」と思ったことはありませんか?また、「自分がやっている勉強法が不完全で、もしかして失敗しているのでは…」と不安になることもあるかもしれません。この記事では、20年以上にわたって受験指導を行ってきた僕が、「勉強法完璧主義の落とし穴」と「勉強がうまくいく見直しポイント」を解説します。この記事を読み終える頃には、すっきり前向きに勉強に取り組めるようになるはずです。
◤完璧じゃなくても行動する
先に結論です。勉強は「完璧じゃなくても行動を開始し、進むこと」が一番大切です。なぜなら、途中でやり方を改善すればいいからです。勉強法は「途中で変える」前提で、だんだん良くしていくものだ、と心得ましょう。「すごい勉強法」という幻想にとらわれず、まずは行動を起こすこと。
◤勉強法完璧主義の落とし穴
1. 絶好のチャンスを逃す
スマホでもゲームでも家電でも、なんでも良いんですけど、説明書は隅々まで読みますか?最低限重要だなっていう箇所を読んだら、あとは使いながら覚えますよね?勉強法って説明書のようなものだと思うんですよ。全部読んでたら、明日になっちゃうし、お休みが終わってしまう。「勉強法についてしっかり勉強してから始めよう」と思っている間に、肝心の勉強を始めるタイミングをのがしてしまいます。
2.すごい勉強法なんて存在しないかも
多くの場合、合格者は、特別なことをしていたわけではありません。ただ、人より多くの努力をしています。華々しく合格した卒業生に「何か特別なことをしていたの?」と尋ねると、「先生の言う通り、きちんと復習していました」と答えることが、事実多いのです。彼らは、当たり前のことを淡々と実行しているだけです。これこそ、華やかに見える「すごい勉強法」の正体なのです。
3.自分に合うかの判断も時間がかかる
自分に合う勉強法は「教えてもらう」というより「自分でさがす」ものです。勉強法は、実際に始めてからでも途中で変えることができます。むしろ、失敗しながら改善を繰り返す方が、最終的には自分にあった勉強法を得られます。なぜならPDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)というプロセスを通して、試行錯誤しながら進めることで、自分のライフサイクルや得手不得手を勉強法に反映できるからです。
4.知識量だけ増えて、実行できない
インターネット上には、「エビデンス」に基づいた学説や理論が無数に存在します。勉強法も同じです。しかし、それらをすべて覚えることは不可能ですし、そもそもそんな必要ありません。実際に取り組めることには限りがあります。知識は無限であっても、人間が実際に行動できる量や時間には限界があります。「勉強法を勉強する」ことに躍起になって、頭でっかちになるより、実際に今日行動した事と向き合って、明日に向けてシンプルに改善していきましょう。
5.誇大な勉強法にだまされる
YouTube、SNSの教育コンテンツには、視聴者を引きつけるためにオーバーなタイトルやサムネイルになっている事があります。「普通の話」は注目を受けない仕組みだからです。明らかに「誇大」な勉強法も、たくさんの勉強に紛れ込んでしまうと、それと気づかず騙されてしまうことがあります。勉強は地道な努力の積み重ねであることは、疑いの余地がない事実です。短期間で楽にできるものではないことは、例えば有名予備校の先生方の発信を見れば分かります。そもそも「楽で手っ取り早い勉強法」があるなら、とっくに有名になり、誰も苦労してないでしょう。
◤勉強の見直しポイント
「勉強がうまくいっているかどうか」チェックするのは簡単です。以下に紹介するのは、とても基本的なことですが、「当たり前のことを当たり前に実行すること」がきちんとした勉強法である以上、難しいことはしなくて良いです。では、5つのポイントをチェックして、今の学習状況を見直してみましょう。
- 自分の頭で試行錯誤して考えているか?
- 集中力を高めようとしているか?
- 弱点を把握して記録しているか?
- 復習をしているか?
- 現在位置を把握しているか?
1. 自分の頭で試行錯誤して考えているか?
これが一番重要です。
筋力を高めるには筋肉を使うしかないように、学力を上げるには頭を使うしかありません。だから、肝心の「頭を使う」が出来ていないとダメです。自習で同じように机に向かって10時間勉強しても、関係ない事を考えていたら無意味です。授業で先生の説明がわかりやすいからといって、聞いているだけでは十分ではありません。その時「頭を使った」のは実は自分じゃなくて先生の方ではないですか?自分で考え、覚え、問題を解く過程が不可欠です。
2. 集中力を高めようとしているか?
集中力を高めるためには、頭のONとOFFを明確にすることが大切。集中して取り組む時間を決めその間は基本席を立たない。勉強以外の事は一切しない。休憩時間は、休む事中心。勉強中にできない事をさっさと終わらせる。集中とリラックスにメリハリをつけて繰り返すことが大切です。入試の時間に合わせて、最初は30分から始め、60分、80分と徐々に集中できる時間を延ばしていくと良いでしょう。この際ポモドーロ法なんていう立派な名前は必要ありませんが、勉強:休憩が5:1ぐらいになるようにしましょう。50分の勉強に10分の休憩。
3. 弱点を把握して記録しているか?
勉強は「できないことをできるようにする」こと。だからこそ、自分の弱点を記録しておくことが重要です。なかなか頭に入らない内容や、量が多くて大変だと感じる部分が出てきた時「そこが強化すべきポイントなんだ」という記録が残っていないと、そのことすら忘れてしまいます。デジタルでもアナログに紙でも良いです。自分が困ったことは全て「これ」に書いてある、というノートを作りましょう。そして、すぐ手が届く所に置いておく。
- 弱点ノート
- 語彙ノート
- 解き直しノート
- スマホのメモアプリも活用
4. 復習をしているか?
弱点を記録するだけでは、自分の学力は上がらない。だから弱点ノートは「繰り返し見る」ことが大切です。ノートだけ立派にしてそれで終わってませんか?「1冊の参考書を完璧に」等とは良く耳にしますが、実際大切なことですよね。ただ、1週目と3週目で「同じ時間がかかる」ようではいけません。2週目以降は自分の弱点に絞って「はやく回す」のが良いですから、さらに「弱点把握」が重要になります。ノートにまとめ直す時間がないときは「付箋」等を活用しましょう。
5. 現在位置を把握しているか?
勉強の全体の進捗状況をモニタリングする。以下にあげるような、観点で自分の勉強を見える化しておくと、「大丈夫かなあ…」という不安は少し軽減できるでしょう。要は書き出すこと。担当の先生や、チューターの方と面談をして、学習の見直しをする際にも、良いアドバイスが聞ける鍵になります。「復習プランナー」や「進捗表」を手帳やノートに作成しておくと良いですね。これについては長くなりますので、別の機会にお話しします。
- その参考書は何周やる予定か
- 今が何周目の何パーセントぐらいか
- 今の周回でどれぐらいの正解率なのか
- 特にどのページが苦手だったか
- 苦手や弱点をいつ頃復習するか
- この調子だといつごろ終わるのか
◤走りながら、考えよう!
勉強の習慣(勉強法)の「定着」と「強化」は別々に考えましょう。今回お話してきたのは「定着」つまり、勉強を始めるときや、勉強習慣を定着させる段階のこと。
- エビングハウスの忘却曲線
- 生成効果
- テスト効果
- コンテクスト依存記憶
- 自己参照効果
上記以外にも無数に存在する「勉強法に関する知識」は、勉強を始める段階では必須ではありません。「全く知りませんでした」という人でも合格しています。これらは、勉強習慣をより良く強化するための参考として役立つのは確かですが、こうした情報に気を取られて勉強に集中できないのは本末転倒です。繰り返しますが、大学受験に必要な「勉強法」は「当たり前のことを当たり前に実行する」ことですよ。
上記の5つのポイントができるだけクリアできるように、「勉強の型」つまり「ルーティン」を作り、少しずつそれを改善していきます。この段階で、いろいろな勉強法を試したり、先生からアドバイスを受けたりすることが「強化」にあたります。新しい工夫をするなら、1日に1つだけにしましょう。勉強マラソンを走りながら、少しずつ自分のやり方を良くしていけばいいのです。マナリンクで受験指導をしながら、僕も日々、この改善に力をかしています。
◤執筆した講師のプロフィール
https://manalink.jp/teacher/12150
大学入試の国語を専門に、受験対策をサポート中!マナリンクでも複数のコースを公開しています。受験生の疑問解消に役立つ投稿しますので「検討リスト」に登録いただいて、ご覧下さい。体験授業でお会いできるのを楽しみにしています!それではまた!
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