桜桃祭
6月というとさくらんぼの季節である。昨日も東京にいる姉からお歳暮でさくらんぼが贈られてきた。
さくらんぼというと6月19日に毎年青森で行われている文豪 太宰治を偲ぶ桜桃祭が有名である。昨今はコロナ感染症の影響で開催できたのかわからないが、天国にいる太宰は今の日本をどのように見ているのだろうか。
「もう、この頃では、あのトカトントンが、いよいよ頻繁に聞え、新聞をひろげて、新憲法を一条一条熟読しようとすると、トカトントン、局の人事に就いて伯父から相談を掛けられ、名案がふっと胸に浮んでも、トカトントン、あなたの小説を読もうとしても、トカトントン、こないだこの部落に火事があって起きて火事場に駈けつけようとして、トカトントン、伯父のお相手で、晩ごはんの時お酒を飲んで、も少し飲んでみようかと思って、トカトントン、もう気が狂ってしまっているのではなかろうかと思って、これもトカトントン、自殺を考え、トカトントン。」:
(トカトントン 著者:太宰治)
トカトントン、戦後の不安感を主人公が聞こえてくるトカトントンという音で表現した太宰治の短編小説であるが、なにか今の日本がいたるところでトカトントン、トカトントンと鳴り響いているような気がしてならない。今の日本では斜陽も時間の問題?約束を破る人間失格者が乗った泥船に乗っていてはグッバイするしかないだろう。誰かメロスを呼んできてくれ・・・・。
入試直前に太宰の小説を読む学生を塾講師の頃教室で見かけたが、多分上記のような心情に近いものではないかと察する。太宰治の小説は中学校の教科書に掲載されているため中高生は皆知っている小説家であるが、受験期に「人間失格」等の小説を読んでいる姿を見ると正直大丈夫なのかなと思ってしまう。個人的は「青竹」という小説が好きである。清代前期の短編小説集「聊斎志異」からヒントを得て書かれたものであるが、いつ読んでも前向きな気持ちになれる。是非受験生に読んでもらいたいと思う。
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