『ここぞ』という時以外はそっと見守る

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2025/6/26

前回の【1】では

「お子さんとどう向き合ったらより良いのか」についてお話してきました。

しかしこれはあくまで一般論的なお話です。当たり前と言えば当たり前な事ではありますし、綺麗ごとにも聞こえます。

そこで、【2】では今まで教えてきた生徒さん達の何人かを例に挙げて、より具体的なお話をしていきたいと思います。


具体例をお話しする前に、ここで大事な事を付け加えさせてください。

  「『ここぞ』という時以外はそっと見守る」という点では親御さんだけでなく、講師も同じだと考えております。しかし直接教科(私の場合は英語)を教えます講師は、見守る態度で接しつつも、ありとあらゆる手法を駆使して、何よりも分かり易く!覚えやすく!(表で示す。語源、語尾の用法、語呂でおもしろく、音書音読を活用等)教えることが必須です。そして生徒さんそれぞれの個性を掴み、褒め、励ましながら、生徒さんに「無理にやらされている」「否定されている」と受け取られないよう、逆に「自分は見守られている」「先生の言う通りにやれば大丈夫」という安心感を与えていくことが大切と考えます。「学ぶって楽しいんだ」と気づいてもらえるように最善を尽くす覚悟を持ち、生徒さんに向き合っているつもりでおります。


  過去30年あまりの間、ありがたいことに、何百人もの生徒に英語を教える機会を持たせていただきました。当然のことですが、みんな一人一人違う個性を持った愛すべき生徒さん達でした。私が授業で教える事、そして出す宿題をほぼ完璧に仕上げて来て、成績もいつもトップをキープというような生徒さんも多くいました。また授業はちゃんと受けるけど、宿題の方は忘れることも多く、授業前にちょっことやってお茶を濁すような生徒さんもいます。後者になりますと、平均点ギリギリや、時に平均点に追いつかないこともありますね。


 これから挙げる具体例は、平均点以下や不登校の生徒さんも含め、普通若しくはちょっと問題を抱えていらっしゃる生徒さん達にも参考になるようなお話かと思います。

先ず、最初に例に挙げさせていただくのは二人の女子生徒さんです。

この二人にはある共通点がありました。それは二人ともクラスの中でトップの成績ではなかったということです。 しかし親御さんの暖かい目に見守られてすくすく育ち、それぞれの花開く時期に、ご自分の興味、学びたいことを見つけられ、結果現在は立派なお仕事に就いています。

ここで、この二人についてもう少し具体的にお話していきましょう。


先ず一人目の女子生徒さんですが、彼女は女子ばかり6人クラスに在籍してくれていた生徒さんです。私は生徒さんが分かり易く覚えやすい方法を考え、楽しく教える事に注力していましたので、6人が皆「足立先生の関係代名詞の文の作り方は、このクラスだけで共有して、クラスの皆で絶対良い成績を取ろうよ!」と団結して頑張ってくれるような頼もしい生徒さん達でした。そんな具合でクラスの皆が大変良い成績だったため、その生徒さんの成績は、そのクラスの中では下位の方でした。(下位といっても学校で80点以上は取れていたと思いますが)

「このような環境で、私がその生徒さんを他の生徒さんと比べ、その成績の低さを否定していたら、あの生徒はどうなっていたんだろう?」と時々ぞっとすることがあります。もしそのようにして、彼女が自分自身を否定的に見るようになっていたとしたら・・・と。

たとえ、その6人クラスで英語が下位であったとしても、彼女は楽しく学習して、ご自分の身の丈に合った高校に進み、友人を作りながらいろいろな経験をしていったのだろうと想像しています。そしていつか医療関係に進みたいという気持ちを持ち始め、努力を重ねてご自分の希望通り立派な看護師さんになられたのです。

あれから20年あまり、今では後輩看護師さんを指導するような立場になって、充実した生活を送っていらっしゃると思います。


もう一人は、小学校1年生から中学生まで、私の所に通ってくれた女子生徒さんです。授業中はいつも真面目で、周りの仲間にも優しく接する生徒さんでした。真面目な性格ですから、教えている内容も8割9割と覚えているはずなのですが、いざ定期試験になると点数が伸びません。50点、60点くらいで留まってしまいます。お母様も心配して何度も私に相談に来られました。本当は力が付いているのに、本番になると頭が真っ白になってしまうのでしょう。「でも実力は付いているのだから、あまり点数について追及せずに見守りましょう」と何度かお母様にはアドバイスいたしました。

その後8年以上の月日が流れた頃、彼女と同じクラスにいた男子生徒さんのお母様から「〇ちゃんが看護師さんになって、活躍していますよ」と耳にしました。

あの本番になると緊張してしまう〇ちゃんが立派な看護師さんになったことに感激したのと同時に、私も、そしてご両親も成績の伸びなかった〇ちゃんを否定しないで良かった~」とつくづく胸を撫で下ろした次第です。


長くなりましたが、ここまで読んでくださってありがとうございました。

【3】では、普通の生徒さんが、ある国家試験に合格するまでのお話を載せたいと思います。



 


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