古文を勉強する理由とは?
2024/7/24
「古文って、受験以外に “何の役に立つ”んですか?」「受験が終わったら、それから先は使うことも無いし、無意味だと思うんですが・・・。」「だから、あまり勉強する気が出ないんです」。
いま、このブログを読んでくださっている方のなかにも、同じような思い(というか疑問)をもっている方がいるかと思います。たしかに、「古文」が受験以外で役に立つ、という場面はちょっと想像しづらいでしょう。たとえば、文系を例にして考えてみると、大学で日本史や日本古典文学を研究したい、あるいは国語の先生になるための勉強をし、大学卒業後は教壇に立ちたい、古文の知識が活かせる業種で働きたい、という場合には、古文に関する知識は必須あるいはそれに近い重要さを持ってきます。
一方で、同じ文系でも経済学・経営学の場合には、大学での勉強と「古文」はどうしても結びつかないでしょう。ましてや、大学卒業後に就職してから「古文」が役に立つか?といえば・・・ピンとこない、というのが普通かもしれません。
このように、文系というカテゴリのなかにおいてさえ、「古文」の重要性には差があるわけです。つまり、「古文が何の役に立つのか?」という疑問は、文系だからといって解決できる問題でもない、ということになります。
ましてや、理工系・医歯薬学・体育系等を志望する方の場合、将来的に古文がほぼ実生活や専門分野において「役に立たない」ことは、もはや火を見るより明らか。
それにも関わらず、「共通テスト」のためにも古文は避けて通れない・・・・。
将来的にほとんど役に立たず、なかなか興味も沸かない科目を勉強する、というのは、モチベーションも上がらないし、大変ですよね。ちなみに、これと「逆」(?)のことが文系でも起こります。たとえば、「自分は文学部志望なのに、どうして数学を受験しなければいけないんですか?」といった疑問が、このパターンです。
古文に話しを戻すと・・・古文が「受験」以外に何かの役に立つか?といえば・・・はっきり言ってしまえば、大半の人にとっては「役に立ちません」。古文を担当している人間がこんなことをいうのは、どうかとは思いますが、実際に「役に立ちません」。
では、受験以外に「役に立たない」科目である古文を勉強するメリットは、いったいどこにあるのでしょうか?
端的にいえば、それは「教養」の基礎を身につけること、だと思います。おそらく、これを読んでくださっている皆さんのなかには、「”〇行〇段活用の〇〇形"をひたすら覚えることが、なぜ ‟教養” と結びつくのか?」と思っている方も少なくないでしょう。確かに、「文法」と「教養」を結び付けることは難しいでしょう。その一方、古文文法や単語という基礎的な事を勉強し、その次には様々な文章を読むという作業は、皆さんの知識の「引き出し」を少しずつ増やすはずです。受験の時には、この「引き出し」から様々な「アイテム」を取り出せるようになることが、重要な意味を持ってきます(受験勉強とは、「アイテム」を取り出すための作業ともいえます)。
そして、受験が終わればその「引き出し」と「アイテム」の存在すら忘れてしまう、ということもあるでしょう。
しかし、皆さんが人生を重ねてゆくなかで、この「引き出し」とその中身が思いもかけない時に役に立つ、という局面が出てくるはずです。それは、将来の皆さんの仕事と関係がある場面かもしれないし、友人との会話のなかでのちょっとしたトピックかもしれません。
かつて「受験勉強で必要だから」という勉強したはずの古文がこうして、皆さんの日々の生活に花を添える「アイテム」として復活することになります。かつて勉強した内容を、何気ない会話のなかでさらっと使える、そしてそれが新たな話題を引き出す・・・それが「教養」だと思います。
というわけで、ここでようやく、このブログの冒頭で書いた内容に対する「答え」がみえてきます。
「古文を勉強する理由=受験のために必要だから」はもちろんですが、同時に「「教養」を身につけ、人生を楽しく豊かなものにするため」、これでいかがでしょうか?
もちろん、これは古文に限ったことではなく、他の科目全般にいえることでしょう。受験勉強で吸収した知識は「教養」となって、皆さんの人生を豊かなものにするはずです!
最後に、ある大物芸能人の方のコメントを紹介したいと思います。
「教養を身につける、というのは、”遊び道具”が増えるということ」。
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