新しい未来を手に入れるために
2025/4/17
長く塾や学校で勤務を続ける中で、本当に多くの生徒たちと出会いました。その中で、集団授業だからこそできることや、授業以外の活動でしか得られないものもたくさん経験しましたが、同時に「この生徒に、もう少し、ほんのちょっと、丁寧に手を貸してあげられれば、全く違う未来が待っているかもしれない。」と感じることも多くありました。
ある日、学習に悩みを抱えていた生徒が相談に来たことがありました。その生徒は、たしかに成績がふるわない部分もありましたが、学習意欲がないわけではなく、「どうやって勉強すればよいのか、勉強の仕方がわからない」といった様子でした。その子が問題としていた教科は、大学受験の理系教科で私の専門とするところではありませんでしたが、関係する先生方にご了承をいただいた上で、放課後の時間を使ってその生徒に個別対応の補習をしたところ、その生徒がそれまで引っかかっていた疑問、一人では進められなかったポイントがみるみる解けていきました。何より、行き詰って苦しみ、失いかけていた学習への意欲や学習することの楽しさが湧き上がってくることが伝わってきました。学年が変わると、その生徒を指導することはありませんでしたが、最終的にはある国立大学に進学したと後になって聞きました。
どんなに優れた環境であっても、どんなに優れた授業を受けていたとしても、また、本人にどんなにやる気があって、秘められた力を持っていたとしても、ちょっとした歯車の食い違いで、行き詰ってしまったり、伸び悩んでしまったりするお子様はいます。
もともと、大手の個別指導塾で長く勤めた経験を持つ私は、「自分が生徒のために本当の意味で力になれることは、これかもしれない。」と考え、丁寧に寄り添い、生徒の分からないを解きほぐし、深く理解・消化して本当の意味での学力をつける、そんな指導がしてみたいと考え、現在では個別指導塾の経営をしております。
月並みな言葉ではありますが、子どもたちは可能性の塊です。一方で、樹々が林や森となって土壌を守り水を貯えて地力を養うためには適切な環境が必要なことと同様に、生徒さん一人一人が正しい理解をして学習意欲を継続させるためには、適切な環境やアプローチが必要となります。小手先のテクニックだけではなく、地道でしっかりとした学習習慣と、中身のある学力、そして何より、人生を豊かにするために自分自身で物事を考え、選択して行動する地力を身に着けてほしい。そうした思いで、一人一人の生徒さんが新しい未来を手に入れることができるように、丁寧で充実した授業と指導をご提供してまいりたいと存じます。授業でお目にかかれることを楽しみにしています。
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