この夏、自分を変える!期末テスト後から始まる“逆転の7週間”活用術

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2025/7/11

1学期の期末テストも終わり、「ほっと一息…」という方も多い時期ではないでしょうか。迫る夏休みに向けて、楽しみであると同時に「この夏休みに、自分を変えたい!」と考えている人も多くいるのではないかと思います。夏休みは学校の授業や行事から一時的に解放され、自分のペースで学習や生活を見直すチャンスです。だからこそ、「この夏、自分を変えたい!」という意欲が生まれるのも当然です。

ただ、夏休みが終業式の終わりから始まると考えているのであれば、それは少し認識が甘いです。実は「テスト直後〜夏休み前」の時期も、次の飛躍に向けた重要な時期となります。早い学校では7月1週目には期末テストが終わって試験休みなどに入ったりもしますので、そこから数えるとすれば約7週間。これだけの期間の多くを自分の好きなようにマネジメントできるというのは大きなチャンスですが、同時にうまく使うことに失敗してしまうとかなりもったいないことになってしまいます。

今回は、(主に非受験生の)中学生や高校生にとって、1学期の期末テスト後に浮かび上がる課題や悩みを整理しつつ、テスト後から夏休みが終わるまでに実行できるいくつかの対処法をご紹介します。


【悩み1、定期テストの成績が思うように伸びない場合】

頑張っているつもりなのになかなか定期テストの成績が伸びないということはよくあるものです。特に、私立校の場合には試験の難度も高く、やってもやっても追いつけない状態になってしまいがちです。こうした場合、どのような対処の仕方があり得るでしょうか。


① テストの振り返りを徹底する(特に英・数)

:中間、期末テストで何が得点できなかったのかをよく分析しましょう。点数が赤点に近い場合、まずは試験範囲の基本問題がきちんと理解できていて、かつ解けるようになっているかを再度確認し、その復習に力を入れるべきです。また、そもそも試験範囲をきちんと把握していたかや、毎回の試験がどのような傾向で出題されるかをつかんでいるかなどもあわせて確認しましょう。

逆に、平均点以上取れているけれども伸び悩んでいるという場合には、より正確に自分の弱点を把握することが大切です。間違いの原因となっていることは何か、苦手な部分はどこかをしっかり確認して、夏に自分が強化すべき箇所を明確にしましょう。


② 中間、期末考査を解きなおす

:一度中間テストや期末テストを解きなおすというのも効果的です。たとえば、中間テストの解きなおしをして、実際の中間テストよりも点数が下がっているという場合には気を付けましょう。

特に、英語の長文読解や数学、古典などの積み重ね型の教科の場合、きちんと学習内容が定着しているときには数か月前のテストはむしろ以前よりも解けるようになっているのが普通です。

一方で、英語の文法事項・イディオム・熟語や社会・理科など、単元ごとに出題される傾向が強い教科の場合には、「以前のテストができない=忘れている・知識の抜け」であることが大半です。社会や理科については各自の受験スケジュールなどを考えて必要なものを復習すればよいですが、英語の文法事項・イディオム・熟語などについては忘れかけているものは早いうちに復習することが必要です。


③ 全体順位が下がっていないのであれば、「気に病みすぎない」

:テストの素点がなかなか上がらない、下がっているときには「これで大丈夫だろうか」と心配になりがちなものです。もちろん、反省することは大切なことなのですが、素点の低下を気に病みすぎるとなかなかモチベーションがキープできません。特に、私立の進度が早い学校などの場合には、「ついていくだけ」でもそれなりの力がついているというケースがありますので、成績が思うように伸びないことを気に病みすぎないことが大切です。以下のような場合には、必要以上に気に病まず、できることをコツコツと積み重ねていきましょう。


・全体順位は下がっていない。

・平均点から大幅に下の位置にいない。

・授業で学習した内容について、一定程度理解できている実感がある。

・テストには間に合わないが、1、2か月遅れて解けるようになっていることが多い。


一方で、以下のような場合には一定の対策を考える必要があります。


・全体順位が徐々に低下傾向にある、大幅に下がってもとの位置に戻らない。

・平均点から大幅に下の点数を取り続けている。

・授業の内容を理解できている実感がない。

・学習した内容をどんどん忘れてしまい、何も身についていないように感じる。


こうした場合には、「継続して一定の学習量が確保できているか」など、そもそも十分な学習量をこなしているかを確認し、それができていない場合には少しずつでも学習の習慣を作っていきましょう。日々の学習をしっかりしているのに成績が下がっているという場合には、学習の内容・質が適切でない可能性があります。日々の自分の学習内容を見直すところから検討しましょう。


【悩み2、授業の内容が分からなくなってきた】

こちらの悩みの場合には、かなり早急に対策が必要です。何といっても中学・高校生の生活の大半は学校での授業です。その時間の多くで「何をやっているかわからない」という状態では、せっかくの時間を無為に過ごすことになってしまうだけでなく、そもそも授業に出ること自体が苦痛ということになりかねません。


① 「授業が分からない」と感じる原因は何かを探る

:それまで分かっていたものが分からなくなってきた原因を考えましょう。それまでに学習してきた内容が十分に身についていなかったりなど、学習不足が原因なのであれば、それを補うための復習が重要となります。


② 学校の先生や個別指導の塾・家庭教師などを頼る

:授業内容が分からなくなるころには、「何が分からないのか分からない」、「どこから手を付ければよいのか分からない」など、自分ではどうしてよいか分からないというケースも多いです。

こうした場合、一人で悩んでいても事態は解決しません。もし学校に信頼できると感じる先生がいる場合には、「すみません、お時間いただけますか」と低姿勢で相談してみましょう。意外に学校の先生には、「成績はふるわないけれども何とかしたいと頑張る生徒」を何とかしてあげたいという人が多いものです。また、そうした積極的な姿勢は、公立校では内申面でプラスにはたらくかもしれません。

学校の先生に相談するのは難しいと感じる場合には、個別指導塾の先生や家庭教師の先生を頼ってみるのもよいでしょう。やはり、個別に指導してくださる先生の場合、生徒がどこでつまずくか、何を改善すれば成績につながりやすいかなど、細かい点に気を配ったアドバイスをくれます。自分が何をすればよいのか学習の指針を示してくれるかもしれません。


【悩み3、家庭学習の習慣が身についていない】

学校の授業というのは、最近は変わってきていますが基本的には受け身でインプット型の学習です。アクティブ=ラーニングなどに積極的で、反転学習や生徒同士での演習・教え合いなどに積極的な学校でも、時間の都合などもあり、一度学習した内容をしっかり復習する機会というのは限られています。

そうすると、必然的に学校で仕入れてきた情報をどこかで復習できるのは家庭学習でしかできないということになります。つまり、継続的な家庭学習の習慣がきちんとついているかどうかが定着に直結することになるのです。学期中は学校の授業をはじめとして様々な事柄に追われて体も心も疲れがちで、なかなか新しい学習習慣を身に着けようと思ってもうまくいかないもの。夏休みは、こうした学習習慣の構築にはうってつけの時期となります。


① 教科別・単元別の「復習スケジュール」を立てよう(学校課題なども利用)

:教科ごとに「自分の穴」を確認し、それを埋めるための課題を一覧化してみましょう。特に英数国は1年分の知識が積み重なる教科なので、過去に遡った復習が効果的です。スケジュールを作成する際には、どの教科を何時間といった時間ではなく、何をどのくらい復習するかという目標や対象を単元・ページ数などを基準に明確にしましょう。また、1日単位でスケジュールを立てるのではなく、5日~1週間くらいのスパンで達成すべき目標を定めましょう。


(良いスケジュールの例)

7月20日~26日の週で

・英語単語帳の101番~150番の単語を覚える

・英語問題集の第11章の「不定詞(名詞的用法)」の問題を解き、答え合わせ(p.96-103)

・数学問題集の「連立方程式の利用」の問題を解き、答え合わせ(p.68-75)

…など


また、夏休みには学校側からも復習内容の課題が出ることが多いため、これらを組み込むと復習と同時に課題も済ませることができますし、2学期校の提出物をきちんと出すことができ、公立校であれば内申点にも貢献できます。


② 1学期を見直して、各教科でどのような提出物があったかを整理しよう

:1学期の授業を終えると、各教科の先生がどのような課題をいつ頃要求してくるかがある程度見えてくるものです。1学期を通して、定期的に要求された提出物などは2学期でも同様の形を取ることが多いもの。事前にその内容を整理して取り組みやすい環境を整えておくと良いでしょう。

また、公立校の場合には提出物は内申点などにもつながりますが、ワークやレポートは「やっただけ」では加点されません。丁寧さ、考察の深さ、字の見やすさが内申評価かかわってくることもあります。夏の課題はその練習の場ととらえ、質を意識して取り組みましょう。また、 2学期の教科書やワークを早めに確認し、先取り学習を少しでも進めておくと、授業理解が進み、発言や質問の質も上がり評価につながります。2学期以降の評価アップを意識してみましょう。


③ 自学自習も提出物も、基本は「ノート」を使うと良い

:もちろん、使い方にもよるところはあるのですが、地に足をつけた学習をする際には、自学自習も提出物も、作りのしっかりした「ノート」を使用する方が良いと私は思います。リングノートやルーズリーフ、レポート用紙などが好きな学生さんをたまに見かけるのですが、あれらは長期保存に向きません。わりと壊れやすかったり、折れ曲がったり、どこかに消えてしまったり(これが一番多い)と、学習に対するモチベーションを低下させがちな現象がよく起こるのです。

その点、作りのしっかりした「ノート」であれば、多少折れようが汚れようが、意外にしっかりした形を長い間保ちます。何より、サイズの同じノートに統一すると整理整頓が圧倒的に楽で、机の上がきれいに片付きます。継続した学習には学習環境もとても大切です。自分が欲しい時に欲しいものがすぐ出てくる、見直したいときに見直したいものがすぐ見つかる、という環境をつくるには「ノート」の利用が一番です。

では、プリントや、ルーズリーフ、レポート用紙が活躍する場面はないのかというと、そんなことはありません。頻繁に見直す暗記向けの教材などにはこれらのペラペラした紙の方が効率良く、有用です。見直すべき英単語のリスト、社会科や理科の知識の一問一答などをまとめたものなど、ササッと手元で頻繁に入れ替える必要のあるものはこれらで作ると良いでしょう。ただし、その際もばらばらに保管するのではなく、すぐに取り出せる形のクリアファイルなどを活用すると良いでしょう。「これは英単語のリストのルーズリーフを入れたもの」、「これは社会科の用語のルーズリーフを入れたもの」など、はっきりわかるようにまとめて整理しておくと便利です。


【悩み4、先取り型カリキュラムの進度に疲弊しがち】

特に、私立の学校ではカリキュラムが非常に速く進み、それについていくのが精いっぱいで疲弊してしまい、復習にまで手が回らないということが良くあります。夏休みはこうした状況に対処するための非常に重要な期間です。うまく活用して2学期からの授業についていくための土台を作り上げましょう。


① 先取り学習よりも重要なのは「復習」

:進度が先へ先へと進んでいくのを見ると、つい「先に学習しておきたい」という気持ちが出て予習に力を入れようとしがちです。ですが、進度についていくのが精いっぱいの中高生の場合、これまでの学習に対する理解が中途半端なことが多く、その状態のまま先取り学習を進めようとしてもなかなか内容を吸収できず、遅々として先に進まないという状況に陥りがちです。

中学・高校の主要教科は積み重ね型の学習が多く、先に学習した内容が理解できてはじめて、次に学習する内容を深く理解できるという構造になっています。ですから、先々の学習を理解したいと思うのであれば予習よりもむしろ復習に力を入れるべきです。進度の先取りよりも、これまでに学習した内容に対する理解を深めることに注力しましょう。


② 先取り学習は「理解」するのではなく、2学期の準備と割り切る

:とはいえ、まったく先取り学習をしないというのも不安だと思います。そういう時は、先取り学習は「先に理解すること」が重要なのではなく、2学期からの授業を楽にするための準備期間だと思って、その視点からできることを準備しておくとよいでしょう。

そもそも、先取り学習を自分一人で進めてその内容が理解できるのであれば学校の授業はいりませんし、それができるのであればこれまでも進度の速さに苦労するなどということはなかったはずです。習ったことのないものを一人で理解するというのは、当然復習よりもはるかに多くの労力を必要としますし、その割にはリターンが大きくありません。ですから、先取りを進める際には「これをやっておくと後の勉強が多分楽だな」と思う程度の内容を片付けておくくらいの方が、少ない労力で大きな効果を生むことができます。


(例)

・2学期に扱うことが分かっている英語長文の知らない単語だけを文章中から抜き出したリストだけを作っておく。(意味はあとで授業が進んだときに書き入れいていけばよい。)など


【補足:夏の入口で必ずやるべき中間・期末考査の見直しポイント】

夏の学習を効果的に進めるためには、現在の自分に何ができて、何ができないのかを明らかにすることが大切です。そのためにも、1学期に行われた期末テスト(英・数については中間テストも)の見直しはしっかりしておきましょう。その際に注意すべきは以下のような点になります。


① 「取れたはずの失点」の原因を分類する(理解不足・準備不足・ミス)

② 「問題集に似た問題があった」場合は、なぜ取れなかったかを検証

③ 「どの教科で・どの単元で」失点が多かったかを確認し、重点復習項目を整理

④ 「暗記が甘かった単語・語句・公式」は必ずリスト化

⑤ 先生から提示されていた試験範囲・学習内容をきちんと把握できていたかを確認【重要】


ただの「見直し」をするのではなく、今後の成長につなげる戦略的な「分析」に変えること。これが夏の成長に直結します。


1学期は、気づかないうちに小さな「つまずき」が積み重なる時期です。しかし、その課題をきちんと見つけ、夏のうちに対処しておけば、2学期以降の成績は確実に変わります。

大切なのは「何となく復習する」のではなく、戦略をもって振り返り、今後の成長につなげることです。

ぜひ、夏休みを「次の飛躍への準備期間」として活用してください!


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