【中学受験】過去問演習の効果を最大限に引き出す! 合格につなげる効果的な学習法
中学受験もいよいよ本番が近づいてくると、志望校の過去問演習に取り組む機会が増えてきます。
過去問演習については、「過去問演習を行うことで力はつくのか」、「どのような進め方をすれば、より効果が出るのか」、「間違えた問題はすべて解き直すべきなのか」など、さまざまな疑問があるかと思います。
もちろん、過去問を解くことには意味があります。志望校の出題傾向を知り、問題の難易度や試験時間に慣れることは大切です。
ただ、私が過去問演習で最も重要だと考えているのは、過去問を解いた結果から、自分が合格に必要な得点を獲得するためには何をすればよいのかを考えることです。
過去問は、何年分も解けば自動的に成績が伸びるというものではありません。解いた後に何をするのか、そして次の演習にどうつなげるのかによって、その効果は大きく変わってきます。
今回は、中学受験の過去問演習をできるだけ効率よく、そして効果的に進めるための方法についてお話ししたいと思います。
1.過去問は新しい年度から? 古い年度から?
過去問を解く順番については、新しい年度から始めるべきという意見もあれば、直前期の実力確認のために最新年度を残しておいた方がよいという意見もあります。
これについては、私はそれほど厳密に考える必要はなく、好みの問題かなと思っています。
ただし、どちらかを勧めるのであれば、基本的には新しい年度に近いものから取り組む方がよいと考えています。
学校の出題傾向は、年度によって少しずつ変化することがあります。新しい年度の問題ほど、現在の出題傾向を反映している可能性が高いからです。
古い年度から順番に取り組んだ結果、時間が足りなくなって最新年度の問題まで解けなかった、という事態はできれば避けたいところです。
一方、最新年度の問題を早い段階で解いてしまうと、直前期に実力を確認するための問題がなくなるのではないかと心配される方もいらっしゃると思います。その気持ちもよくわかります。
ただ、2〜3か月前に解いた問題の内容を、細部まですべて覚えているお子さんはそれほど多くないでしょう。以前に解いた問題でも、改めて取り組むことで十分に確認できます。
もちろん、解法までしっかり覚えていて、自分の力で再現できるのであれば、それはそれで学習の成果ですし、それだけの力が身についているということでもあります。ただし、以前の答えを覚えているだけの場合には、その得点を初見問題への対応力と同じように評価しないことは大切です。
それでも気になる場合には、最新の1年分だけを直前期の確認用に残し、その前年から順番に解いていけばよいと思います。
大切なのは、年度の順番そのものではなく、志望校の出題傾向を把握し、十分な演習を行うことです。
2.合格まであと何点必要なのかを考えよう
過去問演習を始めたら、まず意識してほしいのが、現在の得点と合格に必要な得点との差です。
例えば、100点満点の算数で、合格のために70点程度が必要だとします。
現在の得点が55点であれば、必要なのは15点の上積みです。
このとき、間違えた問題をすべて解けるようにする必要があるでしょうか。
私は、必ずしもそうではないと思います。
もちろん、難しい問題まで解けるようになれば、それに越したことはありません。しかし、入試までの時間は限られています。
それならば、まずは次のような問題に注目してみてください。
本来なら解けるはずなのに、計算ミスや読み違いで間違えた問題
考え方はわかっていたのに、途中で行き詰まってしまった問題
もう少し時間があれば解けそうだった問題
基本的な知識や解法を確認すれば、次から正解できそうな問題
こうした問題の中から15点分の得点を上積みできれば、合格に必要な得点へと近づくことができます。
反対に、最初からまったく手が出ない難問に何時間もかけることが、必ずしも効率的とは限りません。
ここで基準になるのが、学校が公表している合格最低点や合格者平均点などのデータです。
ただし、合格最低点は年度によって変動しますし、得点が公表されているのが全教科の合計点だけという学校もあります。そうした場合には、各教科でどの程度の得点を目指すのかを、科目間の得意・不得意も踏まえて考える必要があります。
過去問演習では、満点との差よりも、合格に必要な得点との差を意識することが大切です。
その差を、どの問題を解けるようにすることで埋めていくのか。
これを考えることが、効率的な過去問演習の出発点になると思います。
3.間違えた問題をすべて解き直す必要はありません
過去問演習では、間違えた問題を解き直すことが大切だとよくいわれます。
もちろん、そのとおりです。
ただし、私は間違えた問題をすべて同じように解き直す必要はないと考えています。
まずは、どうして間違えたのかを確認することが重要です。
例えば、算数で時間内に解き終わらなかった問題があったとします。
途中まで正しい考え方で進められていて、もう少し時間があれば解けそうだったのであれば、試験終了後に時間をかけて最後まで解いてみるとよいでしょう。
理科の計算問題などでも同様です。
時間制限を外せば解けるのか、それとも時間があっても解けないのか。この違いを確認することには大きな意味があります。
一方、問題を読んだ段階で何をすればよいのかまったくわからなかった場合には、無理にもう一度考えさせる必要はありません。まずは解答・解説を読んだり、塾の先生から説明を受けたりして、考え方を理解することが先になります。
そのうえで、今度は自分の力で解けるかどうかを確認すればよいのです。
また、途中式や考えた跡をきちんと残しておくことも大切です。
これは過去問演習に限らず、普段の学習でも基本となることですが、どこで考え方を間違えたのかを確認するためには欠かせません。
例えば、答えが間違っていても、途中までは正しく考えられている場合があります。
そのような問題と、最初から考え方が違っている問題とでは、必要な対策も変わってきます。
大切なことは、間違えた問題を機械的に解き直すことではなく、間違えた原因に応じて適切な復習をすることです。
4.過去問を解くたびに、次の課題を見つけよう
過去問演習では、毎回何らかの目的を持って取り組むことをお勧めします。
ただし、年度ごとに無理やり違う目標を設定する必要はありません。
最初のうちは、志望校でどのような問題が出題されるのかを把握することが中心になるでしょう。
ところが、何年分か解いていくうちに、自分自身の課題が少しずつ見えてきます。
例えば、算数で速さの問題を毎回間違えているのであれば、次の演習では速さの問題を解けるようになっているかを確認してみます。
面積比の問題で繰り返し失点しているのであれば、そこを重点的に改善していくことになります。
また、毎回時間が足りず、最後の大問まで到達できないのであれば、次は時間の使い方を意識してみるとよいでしょう。
つまり、
過去問を解く → 問題点を見つける → 改善する → 次の過去問で確認する
という流れを作るわけです。
過去問演習の目的は、単にその年度の得点を出すことではありません。
前回よりも何ができるようになったのか、どの問題がまだ解決できていないのかを確認することに意味があります。
この積み重ねによって、過去問演習は単なる実力テストから、実力を伸ばすための学習へと変わっていきます。
5.時間配分は細かく記録するより、問題点を見つけよう
過去問演習では、時間配分も重要なテーマになります。
ただし、私は各大問について何分何秒かかったのかを細かく記録するところまでは、通常は必要ないと思っています。
もちろん、試験全体の制限時間は守って取り組む必要があります。
そのうえで、特定の問題に非常に時間がかかった場合には、その問題に印をつけておく程度でも十分役立ちます。
例えば、ある年度の大問5に時間を使いすぎてしまったとします。
その年度だけのことであれば、たまたま苦手な問題が出題されたのかもしれません。
ところが、別の年度でも同じような図形問題に時間を使いすぎているのであれば、そこには改善すべき課題があると考えられます。
その原因が、解法を思いつくまでに時間がかかることなのか、計算に時間がかかることなのかによっても対策は異なります。
こうした傾向がわかれば、次の学習につなげることができます。
一方で、保護者の方が横について、すべての大問の所要時間を秒単位で記録するような方法は、手間に見合う効果があるのかを考えたいところです。
過去問演習を効率化しようとして、かえって記録や管理に時間を取られてしまっては本末転倒です。
必要な情報を、必要な範囲で把握すれば十分だと思います。
解く順番を変えるべき?
時間配分に関連して、問題を解く順番を変えるという方法もあります。
これについては、教科や学校の出題傾向によって考え方が変わります。
例えば理科の場合、物理・化学・生物・地学などの分野ごとに大問が分かれていることがあります。
そうした学校では、得意分野から取り組むという方法も有効かもしれません。
一方、社会では試験時間が比較的短い学校も多く、無理に解く順番を変えることにそれほど大きな意味がない場合もあります。
算数でも、学校によっては高い得点が求められるため、解く順番を工夫するより、難しい問題に時間をかけすぎないことの方が重要になるでしょう。
私としては、基本的には前から順番に解き、時間がかかりそうな問題は一度飛ばして先に進むという方法を身につけることをお勧めします。
すべての問題に同じように時間をかけるのではなく、取るべき問題を確実に得点するための判断力を養いたいところです。
6.同じ問題で間違えるなら、過去問からいったん離れることも大切
過去問を何年分か解いていると、毎回同じような問題で間違えていることに気づく場合があります。
例えば、算数の速さの問題がどうしても解けないとします。
その原因が、問題の難しさではなく、速さに関する基本的な考え方を忘れていることにあるかもしれません。
そうした場合には、過去問を何度も解き直すよりも、いったん通常の問題集に戻って、その単元の基礎から確認する方が効果的なことがあります。
公式を忘れているのであれば公式の確認から、図の描き方がわからなくなっているのであれば基本的な図の整理からやり直します。
そのうえで、もう一度過去問に挑戦してみるのです。
また、学校によっては、毎年似たような形式の問題が出題されることもあります。
例えば、算数の特定の大問で、毎年似たような図形問題が出題されている場合です。
通常は1年分の問題を通して解くことが基本ですが、繰り返し苦戦している大問があるのであれば、その大問だけを複数年度にわたってまとめて解いてみる方法もあります。
2025年度の大問5、2024年度の大問5、2023年度の大問5というように、同じ形式の問題を続けて解いてみるわけです。
特に、毎回あと少しで解けそうなのに正解できない問題では、この方法が効果を発揮することがあります。
ただし、同じ大問番号でも年度によって内容が大きく異なる学校では、問題番号ではなく単元や出題形式を基準に選ぶ必要があります。
大切なのは、同じことを何度も繰り返すのではなく、自分に不足している力を補うために、学習方法を柔軟に変えることです。
7.本番と同じ解答用紙を毎回使う必要はある?
過去問演習では、本番と同じサイズの解答用紙を用意して取り組んだ方がよいという意見もあります。
確かに、一度は実際の解答用紙の形式や大きさを確認しておくとよいでしょう。
特に国語の記述問題などでは、どの程度のスペースに答えを書く必要があるのかを知っておくことにも意味があります。
ただし、私は毎回必ず本番と同じ解答用紙を用意する必要まではないと思っています。
そもそも、入試当日に問題や解答用紙の形式が変更される可能性はあります。
また、中学受験では複数の学校を受験することも珍しくありません。学校ごと、教科ごとに異なる形式へ対応しなければならないわけです。
そのような中で、特定の形式に慣れることだけに力を注ぐことが、どのくらい大切なのかということには、検討の余地があります。
もちろん、本番に近い環境で演習することを否定しているわけではありません。「志望校に合格する」、この1点だけを考えた場合、本番に近い環境で練習することに一定の意味があることは確かだと思います。
ただ、いつも本番と同じ環境が整っていなければ十分に力を発揮できない、という状態が望ましいのかについては、少し考えてみる必要があると思っています。受験への準備はもちろん大切ですが、お子さん自身がさまざまな状況に対応できる力を育てることも、同じように大切ではないでしょうか。
過去問演習では、形式への慣れと同時に、そうした対応力も、できれば育てていきたいところです。
8.できれば子ども自身に成績を管理させてみよう
最後に、過去問演習を通じてぜひ意識してほしいことがあります。
それは、子ども自身が自分の成績や課題を把握できるようにすることです。
例えば、保護者の方が過去問の得点を記録するための表を用意し、そこにお子さん自身で点数を書き込んでもらう方法があります。
もちろん、保護者や塾の先生が別に成績を管理しておくことは問題ありません。
ただ、できることであれば、お子さん自身にも自分の得点の変化を見てもらいたいと思います。
「算数は少しずつ点数が上がってきたな」
「理科はいつも同じ分野で間違えているな」
「次はこの問題を解けるようにしたいな」
そんなふうに、自分自身で考えるきっかけになるからです。
勉強というのは、大人から「ここができていないから、次はこれをやりなさい」と指示されるだけでは、なかなか主体的なものになりません。
自分で何が問題なのかを考え、その問題を解決するためには何をすればよいのかを考える。
こうした経験を積み重ねることには、受験勉強という枠を超えた意味があると思っています。
もっとも、小学6年生のお子さんの場合、自分で成績を管理できる子もいれば、まだ難しい子もいます。
無理にすべてを任せる必要はありません。
お子さんの様子を見ながら、できそうであれば少しずつ任せてみる。まだ難しいようであれば、保護者の方がしばらく管理を手伝ってあげればよいと思います。
大切なのは、最初から完璧にできることではなく、少しずつ自分の学習に目を向けられるようになることです。
まとめ|過去問は「何年分解いたか」よりも「何を改善できたか」
中学受験の過去問演習では、何年分解いたのか、何回繰り返したのかといったことに目が向きがちです。
もちろん、ある程度の演習量を確保することは必要です。
ただし、限られた時間の中で効率よく得点力を伸ばすためには、演習の量だけでなく、その内容を振り返ることが欠かせません。
合格に必要な得点まで、あと何点必要なのか。
その点数を獲得するためには、どの問題を解けるようにすればよいのか。
そして、その問題を解けるようにするためには、何を勉強すればよいのか。
こうしたことを一つひとつ考え、実際の学習につなげていくことが重要です。
過去問演習は、ただ問題を解いて点数を確認するためのものではありません。
自分の課題を発見し、その課題を解決しながら、合格に必要な力を身につけていくためのものです。
そして、その過程でお子さん自身が「次はこうしてみよう」と考えられるようになれば、過去問演習の価値はさらに大きくなると思います。
せっかく時間をかけて取り組む過去問演習です。
一回一回を単なる得点確認で終わらせず、次の成長につながる機会にしていきたいですね。
この先生のおすすめコース
- 中学受験で第一志望合格を目指す生徒さん
- 四谷大塚系の塾に通い、予習シリーズ・演習問題集・最難関問題集などをしっかり学習したい生徒さん
- 問題を解くだけでなく、なぜその解法で解けるのか仕組みから丁寧に理解したい生徒さん
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
中学受験におすすめの指導コース
- 中学受験に向けて、基礎から勉強を始めたい方
- 高学年になってきたが、国語の点数が伸び悩んでいる方
- 進学塾で中学受験の指導経験がある、やさしい女性の先生に教わりたい方
- 「四谷大塚やSAPIXに通っているけれど、なかなか成績が伸びなくて心配…」
- 「偏差値がなかなか上がらない。このままでは第一志望に間に合わないかも…」
- 中学受験を経験したことのある先生に教えてもらいたい!
- 塾の進度が速く、授業が「わからない」まま進んでしまう子
- 新学年(特に新4年・新5年)で良いスタートを切りたい子
- 塾の授業を「わかる!」に変え、自信を持ってほしいご家庭
- 中学入試で英語面接がある子。
- 英語面接対策ができずに困っている子。
- 入試本番前にリハーサルをしておきたい子。