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文法用語は、英語を使うのに必要ですか?

2025/12/30

英語が読めない原因は、文法不足ではありません

―「動詞の位置」と「文法用語」の話

授業で英語の文章を一緒に読んでいると、こんな場面によく出会います。

単語の意味は一つ一つ確認できている。

文法的にも、特に大きな間違いはない。

それなのに、途中で手が止まり、

「分かるはずなのに、意味が取れなくなりました」と言われる。

このとき、多くの生徒は

「自分は文法ができていない」

「英語のセンスがない」

と思ってしまいます。

でも実際には、問題はそこではないことがほとんどです。

「文法はいらない」の正体

最近、「文法はいらない」という言葉を耳にすることがあります。

ただ、よく話を聞いてみると、否定されているのは文法そのものではなく、

・五文型

・不定詞の〇〇用法

・分詞構文という名前

といった文法用語であることが多いと感じます。

文章は必ず文法通りに書かれています。

ただ、読むときに

「これは不定詞の名詞的用法だから……」

などと考えながら読んでいる人は、ほとんどいません。

文法が不要なのではなく、

文法用語を常に意識する必要がない状態がある、というだけなのです。

文法用語は、調理器具の名前に似ている

文法用語は、料理でいう調理器具の名前のようなものだと思っています。

ピーラーという名前を知らなくても、

「皮を剥く道具」が分かっていれば料理はできます。

「ちょっとその皮を剥くやつ取って」と言っても、普通に通じます。

文法用語も同じです。

名前を覚えることが目的なのではなく、

その形が文の中で何をしているかが分かることの方が大切です。

私自身の経験から

私自身、社会人を経験した後に講師として教え始めました。

その時に感じたのは、

英語の文法そのものが分からなくなっていた、ということではありません。

抜けていたのは、文法用語でした。

英文を読んだり使ったりする感覚は残っていましたが、

「それをどう説明するか」「どう名前をつけるか」となると、

少し立ち止まる必要がありました。

その後、生徒と一緒に文法のドリルや問題集に取り組む中で、

「ああ、これはこういう名前だったな」と、

使い方と用語を結び直していきました。

この経験から、

文法はとても大切だけれど、

文法用語は英語を使うための目的そのものではない、

ということを実感しています。

日本人が英語で混乱しやすい理由

なぜ日本人は英語を読むと混乱しやすいのか

大きな理由の一つが、動詞の位置です。

日本語は、文の最後に動詞が来ます。

情報をたっぷり並べて、

最後に「行きました」で意味が確定します。

(本当に、日本語って動詞が最後すぎますよね。)

私たちは、この「最後まで待つ読み方」に慣れています。

一方、英語は主語のあと、すぐに動詞が来ます。

最初に文の骨組みが決まる言語です。

この処理に慣れていないと、

前半で動詞を見失い、

「何の話だったっけ?」と前に戻りたくなり、

頭の中がぐちゃぐちゃになります。

「動詞だけは忘れない」

そこで私は、生徒にこう伝えています。

「細かいことは落ちてもいいから、動詞だけは忘れないで。」

動詞さえつかめていれば、

主語(誰が)と結びついて、

文の「背骨」が折れずに前へ進めます。

会話も読解も、現実ではどんどん流れていきます。

完璧に理解しようとするより、

動詞を軸に前へ進む感覚を作ることの方が大切です。

終わりに

ここまでで、

「なぜ英語を読むと途中で分からなくなるのか」

という原因は、ある程度見えてきたと思います。

実際の授業では、

こうした考え方を踏まえた上で、

英文を意味のまとまりごとに捉えて読む練習を重ねていきます。

文法用語を増やすことより、

「前から理解できる感覚」を作ることを大切にしています。

英語が苦手だと感じている子ほど、

実はとても丁寧に、日本語的に読もうとしているだけなのかもしれません。

英語を「使う」ことが目的なのか、

それとも

英語という言語を学問としてじっくり理解することが目的なのか。

目的によって、

文法用語との付き合い方は変わってくるのだと思います。

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