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個別指導は「わからないところを解説するだけ」ではありません

2026/5/9

個別指導は「わからないところを解説するだけ」ではありません

わからない時に“戻れる子”を育てるということ

個別指導というと、
「わからない問題を先生に解説してもらう時間」
というイメージを持たれることがあります。

もちろん、授業では問題の解説も行います。

ただ、私が大切にしているのは、解答を読んで終わりにしないことです。

なぜなら、先生がその場でわかりやすく説明して、その問題が解けたとしても、次に一人でワークを開いた時に、また同じように止まってしまうことがあるからです。

その場合、必要なのは「もう一度同じ説明を聞くこと」だけではありません。

大切なのは、

わからなくなった時に、どこへ戻ればよいか

を身につけていくことです。

中学以降は「自分で戻る力」が大切になる

小学生のうちは、わからないところがあると、先生や保護者の方が横について説明してくれる場面も多いと思います。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

ただ、中学以降は教科数が増え、授業の進みも速くなり、ワークや小テスト、定期テストの準備も重なっていきます。

その中で、毎回すべてを誰かに一から説明してもらわないと進めない状態だと、どうしても勉強が止まりやすくなります。

ここで必要になるのが、いきなり完璧に自学自習する力ではありません。

まずは、

わからない
→ 前に戻る
→ 似た形を探す
→ 自分で試す
→ 解答や解説を読む
→ それでも難しければ質問する

という流れです。

この「戻る力」があるかどうかで、中学以降の勉強の進めやすさは大きく変わります。

教科によって「戻る場所」は違う

「戻る」といっても、ただ前のページを眺めればよいわけではありません。

教科によって、戻る場所は少しずつ違います。

英語であれば、前のページの例文や文法説明を見ます。
主語が変わった時に動詞の形がどう変わるのか、否定文や疑問文ではどこに何を置くのか、似た形の文を探します。

数学であれば、同じ型の問題や途中式に戻ります。
答えそのものではなく、「どの順番で式を書いたか」「どこで計算を分けたか」「どの形に直してから進めたか」を確認します。

国語であれば、本文に戻ります。
自分の感覚だけで答えるのではなく、「本文のどこにそう考えられる根拠があるか」を探します。

理科や社会であれば、教科書の説明、図、表、用語の定義に戻ります。
暗記だけでなく、「どの図とつながっているか」「どの言葉の説明を見ればよいか」を確認します。

教科は違っても、共通しているのは、

答えを聞く前に、材料を探しに行く

ということです。

「わからない」で止まる子は多い

実際の授業を見ていると、問題が解けない理由は、単に「内容が頭に入っていない」だけではありません。

前の例文を見ればできる。
同じ型の問題に戻ればできる。
本文を読み直せば根拠が見つかる。
図を見れば整理できる。

でも、その「戻る」という動きがまだ身についていないために、手が止まってしまうことがあります。

これは珍しいことではありません。

授業中は先生が声をかけてくれるので進められる。
でも、家で一人になると、どこを見ればよいかわからず止まってしまう。

この状態だと、宿題やワークの時間が苦しいものになります。

ワークを開いているのに、実際にはほとんど進まない。
本人も困っている。
保護者の方も「なぜ進まないのだろう」と感じる。

そういう場面では、問題の解説だけでなく、勉強の進め方そのものを練習する必要があります。

個別指導で見るべきなのは「どこで止まったか」

個別指導の価値は、解答を読み上げることではありません。

それなら、解説動画や解答冊子でもある程度は代わりになります。

講師が見るべきなのは、

なぜその子はそこで止まったのか

です。

たとえば、

  • 問題文の条件を読み落としているのか

  • 前に習った型と結びついていないのか

  • 途中式の書き方が崩れているのか

  • 語順や文の形をまねできていないのか

  • 本文に戻る習慣がないのか

  • 用語の意味があいまいなまま進めているのか

こうした部分を見ながら、次に同じような問題が出た時にどう動けばよいかを確認していきます。

答えを教えるだけなら、その一問は終わります。

でも、「どこを見ればよかったか」まで確認できれば、次の一問につながります。

ここがとても大切です。

解答は「写すもの」ではなく「仕分けるための道具」

以前、塾で指導していた時には、ある程度自分で確認できそうだと判断した生徒には、解答を渡すこともありました。

その時に伝えていたのは、

解説を読んで、それでも理解できなかった問題に印をつけておいてください。

ということです。

解答を見て、自分の計算ミスや読み違い、考え方の抜けに気づけたなら、それはそれで大事な学習です。

すべての間違いを、必ず先生が一から説明する必要はありません。

自分で解答を読み、

「あ、ここで計算ミスをした」
「この条件を読み落としていた」
「この式にすればよかったのか」

と確認できたなら、その問題は一度自分で回収できたことになります。

一方で、解説を読んでも理解できない問題は、そのままにしてはいけません。

そこに印をつけておき、授業で一緒に確認します。

このようにすると、授業は「答え合わせの時間」ではなくなります。

自分で解決できるものと、先生と一緒に扱うべきものを分ける時間になります。

自分で確認できるようになると、演習量が増える

解答を正しく使えるようになると、こなせる問題量が大きく増えます。

授業中に全問を一緒に丸つけし、すべての問題を先生が解説していると、どうしても扱える量には限りがあります。

しかし、自分で解答を読み、

「これは計算ミスだった」
「ここは読み違いだった」
「解説を読んだら考え方がわかった」
「これは読んでもわからないから質問する」

と仕分けられるようになると、授業の使い方が変わります。

自分で回収できる問題は自分で進める。
本当に詰まった問題だけを授業で扱う。

そうすると、授業内で扱える内容も増えますし、自宅学習で進められる量も増えていきます。

これは、成績を上げるうえでとても大きな差になります。

勉強は、説明を聞くだけでは足りません。

実際に手を動かして、問題を解き、間違え、直すことで力がついていきます。

そのためには、ある程度の演習量が必要です。

解答を上手に使えるようになることは、単に「自分で答え合わせができる」という話ではありません。

自分で進められる学習量を増やすための力でもあります。

ただし、解答を使うにも段階がある

ただし、解答や解説を使って自分で確認する学習は、すべての生徒に最初から向いているわけではありません。

解説を読むには、ある程度の読む力が必要です。
また、途中式や説明の流れを追う力も必要です。

まだテキストの説明を読むだけで負担が大きい段階の子に、いきなり

「解説を読んで、わからないところに印をつけておいて」

と言っても、うまくいかないことがあります。

解説の文字量が多いと、まずどこを読めばよいか分からなくなることがあります。
また、途中式や説明の流れを一人で追うには、ある程度の慣れも必要です。
結局、答えだけ見て終わってしまう。

そうなると、解答は学習道具ではなく、ただの答えの一覧になってしまいます。

ですから、解答を渡すかどうかは、まじめかどうかだけで判断するものではありません。

その子が、解答を学習道具として使えるようになるために、どの段階にあるか

を見る必要があります。

まだ難しい場合は、「解説の読み方」から練習する

解答を使うのがまだ難しい場合は、まず授業の中で、

「どこを見るか」
「どの例題と比べるか」
「解説の何行目まで読めばよいか」
「自分の解き方とどこが違ったか」
「どこまでは理解できて、どこからわからなくなったか」

を一緒に確認していきます。

解答を渡すこと自体が目的ではありません。

大切なのは、その子の段階に合わせて、少しずつ「自分で確認する力」を育てることです。

解答を使えること自体も、ひとつの学力です。

問題を解く力とは別に、

解説を読む力
自分の答案と比べる力
わからない箇所を特定する力

が必要になります。

ここが育ってくると、家庭学習の質も変わっていきます。

「先生がいる時だけできる」で終わらせない

私の授業では、できるだけ
「先生が説明したからできた」
だけで終わらないようにしています。

もちろん、最初は説明が必要です。

特に新しい単元では、先生が整理して伝えることも大切です。

ただ、少し慣れてきたら、

「前の例文を見てみよう」
「同じ形の問題はどれかな」
「本文のどこに書いてあるかな」
「この図を使うと何がわかるかな」
「解説を読んで、どこまではわかりそうかな」

という形で、自分で戻る練習も入れていきます。

これは、一見すると遠回りに見えるかもしれません。

でも、中学以降の勉強では、この力が後から効いてきます。

先生が横にいない時間の方が圧倒的に長いからです。

質問できる子にするためにも、戻る力は必要

「わからないところは質問しましょう」とよく言われます。

もちろん、質問できることは大切です。

ただ、実は質問にも段階があります。

何がわからないのか自分でもわからない状態では、質問もぼんやりします。

一方で、少し戻る力がついてくると、

「この例文と同じ形だと思ったけれど、ここだけ違う気がします」
「前の問題ではこの式だったのに、今回はなぜ違うのかわかりません」
「本文のここを根拠にしたのですが、答えと合いませんでした」
「解説のここまではわかりましたが、その次の式がわかりません」

というように、質問の質が変わってきます。

これは大きな成長です。

質問の質が上がると、授業の時間もより深く使えます。

ただ解説を聞くだけではなく、自分の考え方のどこを直せばよいかが見えやすくなるからです。

目指したいのは、先生を上手に使える子

最終的に目指したいのは、先生がいる時だけできる、という状態ではありません。

自分でできるところは進める。
わからない時は戻る。
解答や解説を読んで確認する。
それでも難しいところを質問する。

そうやって、先生を上手に使える状態です。

これは、講師側からすると、ある意味では「仕事が減る」方向の指導でもあります。

でも、本来の学習支援はそうあるべきだと思っています。

生徒が少しずつ自分で進められるようになり、質問の質が上がり、必要な時に授業を活用できるようになる。

その方が、授業の時間もずっと意味のあるものになります。

解答を読むだけの時間では、講師にとっても生徒にとっても、あまりおもしろくありません。

大切なのは、その子が次に一人で問題に向かった時、前より少し動けるようになっていることです。

中学で伸びる子は、最初から全部わかる子ではない

中学以降に伸びる子は、最初から何でもすぐにわかる子とは限りません。

もちろん理解が速いことは強みです。

でも、それ以上に大切なのは、わからなくなった時の動き方です。

わからない時に止まるのではなく、前に戻る。
似た形を探す。
根拠を確認する。
途中式を見直す。
解答や解説を読んで、自分の間違いを確認する。
それでも難しければ質問する。

この力がある子は、学年が上がっても立て直しやすくなります。

個別指導は、目の前の一問を解説するだけの時間ではありません。

わからなくなった時に、戻る場所を一緒に探す時間でもあります。

そして、その積み重ねが、少しずつ「自分で勉強を進める力」につながっていきます。

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