オンライン家庭教師マナリンク

現代文のキーワード②分節化することは切れ目をいれること🔪

2025/10/20

今回は分節化という単語を勉強してみましょう。

「文節」という言葉はきいたことがあるかもしれませんが(僕は/ラーメンを/食べる、といったように意味のまとまりで区切ることを「文節にする」といったりしますよね(^^♪)

「分節化」は違う意味なので注意です。

分節化とは、要は、世界に切れ目を入れて、言語にくみいれることです。

実は言語とは、この分節化によって成立している体系(システム)と言語哲学では考えます。

どういうことかというと、「砂」と「砂利」と「石」という三つの言葉がありますが、ここまでは砂、ここまでは砂利、ここまでは石と。この場合は「粒の大きさ」で、切れ目を入れていきます。これが分節化です。

ある種の類似性をもつものと差異性をもつものを区別すること。そうしてその切れ目によってできた面の中に属するものを、すべてその言葉(この場合、砂、砂利、石)で表象(代理)することができます。これが言語の正体です。

簡単に言うと、この世に同じ形の石は存在しません。

本当はすべてが差異をもった石であるのにもかかわらず、わたしたちはそれらを同じ「石」という言葉で代理することができます。

もしこの代理作用がなかったら、私たちはすべてのものに別の名前をつけなければいけません。つまり石A、石B、石Cとすべてに別の名前をつけなければいけないのです。

そうするとどうなるかというと、人々とコミュニケーションをとることができなくなってしまいます。なぜなら、言語とはコミュニケーションを縮減する作用をもたなければいけないからです。相手が意味することを理解するには、相手が切れ目を入れている言語のシステムを内面化=理解することで初めて、「あ、石ね!はいはいあの硬いやつ!」と共通理解を図ることができます。

つまり、わたしたちは、お互いがお互いの話していることを理解するために、同じように切れ目を入れた=分節化された、差異の体系=言語のシステムを共有しています。

これが言語の分節化ということです。

そしてさらに大切なことは、その言葉自体はとても恣意的なものであるということです。恣意とは勝手であることを意味しますが、つまり、そもそもその「粒」を「砂」ということは勝手な命名です。粒を犬と呼んでもよいわけですね(原理的にそうなのです(;^_^A)

次に、どこから砂利と呼ぶかも恣意的=勝手に決められているものです。

つまり言葉と実物との関係は、本当は関係がないのです。勝手に決められたものです。これを言語の恣意性といいます。

日本語ではちょうちょと蛾を区別しますが、フランス語では同じパピヨンといいます。これは日本語では二つを分節化するけれど、フランス語では分節化しない=同一のものとみなす言語体系を持っていることの証ですし、言語は勝手に恣意的に名付けられることの証でもあります。

実体を「①恣意」的に「②分節化」し、言葉の意味するもの=「③表象」を共有する「④体系(システム)」

これが言語です。

①②③④ともすべてキーワードになる重要なものなのでぜひ覚えておきましょう。

言語哲学の話が出てきたら大体この話を共有しているはずなので、

「言語はしっかり根拠があって合理的に決定されている」みたいな選択肢はだいたい×です。

なぜなら「言語は恣意的なものだから」です。

ここまでご一読ありがとうございました(^^♪

このブログを書いた先生

この先生の他のブログ

島田の写真

【高校現代文】冬休みだからこそできる深い読解を~模範解答があっているとは限らない

2025/12/10
みなさまこんにちは、主に高校生の国語を指導している島田です。今回は、現代文の冬休みの学習のポイントについて書いてみます。ふだんできないことをじっくりやることができるのが長期休みですので、そのような視点で学習をおすすめしたいと思います。まずは、こんな話をさせてください。今年の春、私は大学の入試問題を解...
続きを読む
島田の写真

表現と論理はつながっている【解説編】

2025/12/8
みなさまこんにちは。今日はすごい雪が降ってきてすこし動揺している島田です(;^_^Aこれから買い物やらお迎えやらに行かなければいけないと思うとどうしようかなと、、、。閑話休題。さて、前のブログで石田衣良さんの『「迷う」力のすばらしさ』という教材の中の冒頭文について触れました。「キーワードをひとついれ...
続きを読む
島田の写真

表現と論理はつながっている【問題編】

2025/12/3
みなさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。冬期講習のお申し込みや受験対策の申し込みがすこしずつ増えてきて、みなさんの国語の読解力に日々触れることができ、楽しい日々を過ごしている島田です。最近、海外にお住いの生徒様や、小学生のお子様などもお教えする機会が増えて、生徒様それぞれの言語環境の違いや言...
続きを読む
島田の写真

保護者様との面談について~「国語を伸ばす」だけでないサポートを

2025/12/1
みなさま、こんにちは。冬がだんだんと近づいてきている時節柄、風邪などは引いておりませんでしょうか。また保護者様に置かれましては、お子様の受験の本格化に向けて熱心にお子様のサポートをしていらっしゃる季節だとお察しします。ぜひ心身ともに、保護者様も健康管理をしていただければと思います。さて、二者面談・三...
続きを読む