オンライン家庭教師マナリンク

表現と論理はつながっている【解説編】

2025/12/8

みなさまこんにちは。今日はすごい雪が降ってきてすこし動揺している島田です(;^_^A

これから買い物やらお迎えやらに行かなければいけないと思うとどうしようかなと、、、。

閑話休題。

さて、前のブログで石田衣良さんの『「迷う」力のすばらしさ』という教材の中の冒頭文について触れました。

「キーワードをひとついれて、エンターキーをたたく。」

これがこの教材の冒頭の一文です。

この文章がすべてを物語っているといっても過言ではないこの教材。

ではこの一文にどんな工夫がされているか考えてみましょう。

①漢字がないこと

②「ひとつ」であること

③「たたく」であること

これらの工夫があることに気付けるでしょうか。

たとえば、「検索したい言葉をいくつか入れて、エンターキーを押す。」

という文章と「キーワードをひとついれて、エンターキーをたたく。」

という文章では与える印象が異なりますよね。

では、なぜこのような工夫をしたのか。その「効果」を考えてみましょう。

それは「簡単さ」を演出することです。

漢字がなければより幼稚である様子を表現することができますし、複数ではなくて「ひとつ」入れるというのも容易であることを表現し、「たたく」という動作もすばやく容易であるさまを演出しています。

では、簡単さを強調することで何を表現したいのでしょう。

それはこの文章のタイトル『「迷う力」のすばらしさ』にある通り(タイトルと対比的に)、インターネットや検索エンジンは「迷わなさ」を持っていて、簡単すぎる、すばらしくないものだ、ということです。

もうこれで、作者が言いたいことはわかりますね。

×インターネットは容易で便利だけど、迷うことがなくなってすばらしくない

〇逆に、本や書籍などは手間がかかるが、迷うことがあってすばらしい

こんなことを言おうとしている文章だということができます。

何を言いたいかというと、わたしたちはコミュニケーションをとっているとき、文章を読んでいるとき、「論理構造だけ」に触れているわけではありません。

実は言葉の表現自体が意味を発していて、それらのある種の「雰囲気」を読み取って私たちはコミュニケーションをとっています。

わたしはこの表現を大切にして、いままで国語の授業をしてきました。

もちろん論理構造を読むことも大切ですし、それらが入試の問題になることがほとんどでしょう。ですが、それ以外に、表現のもつ工夫や効果を問う問題も一定程度あるのは事実です。

そして、それらの表現の問題は、「落としやすい」と思います。

なぜなら、国語教育はそれらをあまり教えないからです。特に高校になってから急に教えなくなります。

論理と表現は別物ではなく、つながっていると思います。むしろ、なぜこの表現を使ったのだろうと考えることが論理に先立ってあるように、私には思われます。

国語の実りある学習のために、なにかありましたらお気軽にお声がけくだされば幸いです。みなさんの表現への感覚が養われますように(^^♪

このブログを書いた先生

この先生の他のブログ

島田の写真

表現と論理はつながっている【問題編】

2025/12/3
みなさま、こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。冬期講習のお申し込みや受験対策の申し込みがすこしずつ増えてきて、みなさんの国語の読解力に日々触れることができ、楽しい日々を過ごしている島田です。最近、海外にお住いの生徒様や、小学生のお子様などもお教えする機会が増えて、生徒様それぞれの言語環境の違いや言...
続きを読む
島田の写真

保護者様との面談について~「国語を伸ばす」だけでないサポートを

2025/12/1
みなさま、こんにちは。冬がだんだんと近づいてきている時節柄、風邪などは引いておりませんでしょうか。また保護者様に置かれましては、お子様の受験の本格化に向けて熱心にお子様のサポートをしていらっしゃる季節だとお察しします。ぜひ心身ともに、保護者様も健康管理をしていただければと思います。さて、二者面談・三...
続きを読む
島田の写真

⛄冬期講習一覧のお知らせ⛄

2025/11/28
みなさま、こんにちは(^^♪マナリンクを初めて1か月ちょっとが経とうとしている島田です。このたび冬期講習向けの講座を開講していますので、少しでもご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。以下一覧とコースの簡単な説明です。おおくは全四回程度の単発講座になります。よろしければご一読ください(^^♪◤...
続きを読む
島田の写真

たまたまあってた選択肢をどうするか?現代文の復習のススメ

2025/11/17
みなさまこんばんは。マナリンクで国語を教えている島田です。日本の共通テストは選択肢の問題になっておりますが、国語の問題においてはことに配点が高いことで非常に恐ろしい科目だといえます。特に現代文の評論や小説では、一問8点なんて言う問題もあるので3つおとしただけで、9割を切ることになります。その分慎重に...
続きを読む