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中学受験 考え方のくせ|直さず磨く〈算数屋の国語⑥〉

2026/8/22

中学受験で、お子さんの考え方のくせに困っているご家庭は多いと思います。なぜそんな解き方をするのか、なぜもっと素直に読めないのか。ですが結論から言うと、考え方のくせは直りません。そして、直す必要もありません。今回はその話をします。

僕は算数を専門とする講師で、国語も指導しています。長く指導してきて、これだけは変えられないと確信していることがあります。

頭の中は、外から分析できない

指導者は、答案を見ることはできます。式を見ることも、線の引き方を見ることもできます。ですが、その子の頭の中で何が起きているかは、原理的に見えません。

同じ問題を解いても、ある子は図を思い浮かべ、ある子は言葉で順番に考え、ある子は数字の並びから直感的に当たりをつけます。どれも正しく答えにたどり着く。プロセスがまるで違うだけです。

外から見えるのは結果だけ。だから「なぜこう考えたの」と聞くしかない。僕が授業で問いかけを繰り返すのは、そこにしか手がかりがないからです。

考え方のくせは、恋愛の好みに似ています

くせは、良い悪いで判定できるものではありません。

たとえば素行の悪い人を見て、ある人は男らしいと感じ、ある人は不良だと感じます。どちらが正しいという話ではない。ものの見方が違うだけです。そして、その見方は本人にも選べません。

国語の読み方も同じです。一文ずつ確認しながら慎重に進む子と、勢いよく最後まで読んでから戻ってくる子がいます。選択肢を一つずつ吟味して消していく子と、直感で二択まで絞ってから根拠を探す子がいます。どちらが優れているかを議論しても意味がありません。両方のタイプに、難関校に合格した子がいます。

そしてこの傾向は、指導で矯正できるものではありません。何年も見てきましたが、変わりません。恋愛の好みが説得で変わらないのと同じです。

直すべきものと、直してはいけないもの

ではすべてを放置するのかというと、違います。線引きが必要です。

直すべきは、決定的な間違いです。問題文の条件を読み飛ばす。単位を書かずに混乱する。設問が「適当でないもの」と言っているのに正しいものを選ぶ。これらは考え方のくせではなく、単なる作業のミスです。修正できるし、修正しなければ点になりません。

直してはいけないのは、その子固有の思考の順序です。図から入るか、言葉から入るか。全体を見てから細部に行くか、細部を積み上げて全体に至るか。ここに手を入れると、その子の武器を折ることになります。

指導とは、後者を残したまま前者だけを取り除く作業です。

くせは、磨けば武器になる

実際に見てきた例を挙げます。

細かいことが気になって進まない子がいます。効率は悪い。ですがこの子は、条件の見落としをほとんどしません。難問で条件が複雑に絡むとき、圧倒的に強くなります。ならば、確認の丁寧さを残したまま、基本問題の処理速度だけ上げればいい。

逆に、直感で当たりをつけて突き進む子もいます。ミスは多い。ですが手数が出るので、時間内に多くの問題に触れられます。ならば、直感の速さを残したまま、見直しの手順だけ組み込めばいい。

どちらも、くせを消していません。くせを前提に、足りない部分だけを補っています。これが磨くということです。

だから、教え込まない

僕が授業で解説より問いかけを優先するのは、この考えからです。

解説をすれば、僕の考え方をコピーさせることになります。それは一見効率的ですが、その子のくせと合っていなければ定着しません。借り物の解法は、緊張した本番で出てきません。

だから、なぜそう考えたのかを聞く。その理屈のどこが妥当で、どこが崩れているかを一緒に検証する。本人の理屈を土台にして組み立て直したものは、本人のものとして残ります。

時間はかかります。ですが、これが最短です。

明日から親がすべき、非情な決断

お子さんの解き方に、なぜそうするのと感情的に問い詰めるのをやめてください。かわりに、なぜそうしたのと聞いてください。

言葉はほとんど同じですが、意味は正反対です。前者は矯正の要求で、後者は理解の要求です。子どもは驚くほど敏感に、この違いを聞き分けます。

そして返ってきた答えを、まず受け止めてください。決定的に間違っている部分だけを一緒に確認して、あとは残す。それが伸びる子の育て方です。

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