中学受験 算数 解き方の順序〈算数の設計図①〉
このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題として扱ったらどうなるか。その記録です。中学受験の算数で、問題を読んだ瞬間に式を書き始めていませんか。手が止まる子と、スラスラ解ける子の差は、計算力ではありません。手を動かす前の順序です。今回は、僕が生徒に徹底させている解き方の順序を書きます。
先に断っておくと、算数の解法をすべてシステム化することはできません。ひらめきが要る問題は実在します。ですが、そこにたどり着くまでの手順は決まっています。
順序1:何を求めるのかに線を引く
最初にやるのは、設問の最後の一文に線を引くことです。何を答えるのか。
速さを求めるのか、時間を求めるのか。全体の個数なのか、残りの個数なのか。ここを取り違えたまま正確に計算しても、答案はゼロ点です。しかも本人は解けたつもりでいるので、見直しでも気づけません。
難問で落とすより、この読み違いで落とすほうが、はるかに多い。だからまず、ゴールに線を引きます。
順序2:どのタイプの問題か、全体をつかむ
次に、細部に入る前に問題の型を判断します。
これは速さの問題なのか、割合なのか、図形なのか。同じ速さでも、旅人算なのか、速さと比なのか、点の移動なのか。この判断がついた時点で、使う道具が決まります。
いきなり数字を拾って計算を始める子は、この判断を飛ばしています。だから途中で行き詰まり、何をしていたか見失う。国語で全体をつかんでから細部に入るのと、まったく同じ順序です。
順序3:条件を紙に書き出す
型が決まったら、条件を書き出します。ここが最も重要です。
僕が授業で最も多く言うのは、暗算をやめなさい、です。図を描く、表を作る、条件に番号を振る、単位を書く。すべて紙の上でやります。
理由は根性論ではありません。頭の中で処理しようとすると、作業記憶がいっぱいになるからです。人間が同時に保持できる情報の数には限りがあります。条件を頭で保持したまま計算まですると、後半で必ず息切れする。実際、試験の終盤で急にミスが増える子は、前半で頭を使いすぎています。
紙に逃がした分だけ、思考に余力が生まれます。
順序4:書き出す道具は、絞って使う
ここで多くのご家庭が誤解します。解法を100個覚えれば強くなる、と。
僕が生徒に持たせる道具は限られています。線分図、面積図、ダイヤグラム、表。この4つが自在に使えれば、中学受験算数の大半は処理できます。
道具が多いほど、どれを使うか迷います。試験中に迷う時間は、そのまま失点です。だから増やさず、絞ったものを何度も使わせる。使い慣れた4つの道具のほうが、うろ覚えの20個より確実に機能します。
順序5:解けるか解けないかを判断する
書き出した段階で、この問題に取り組むかどうかを判断します。
条件を整理して、方針が立たない。使う道具の見当がつかない。そういう問題は、いったん飛ばします。
合格最低点は満点ではありません。多くの学校で6割前後です。つまり4割は落としてよい。どの4割を捨てるかを決めないまま全問に取り組むから、確実に取れたはずの問題まで時間切れで落とします。
捨てる判断は、逃げではなく戦略です。
順序6:解いたら、必ず見直す
最後に、答えを出したら見直します。ここを飛ばす子が本当に多い。
見直しといっても、最初から解き直す必要はありません。求めたものが設問と一致しているか。単位は合っているか。答えの大きさは常識的か。この3点だけで、失点の多くは防げます。
簡単な問題ほど、ミスが命取りになります。難問を1問取るより、計算ミスを2問減らすほうが、はるかに簡単で確実です。
ひらめきは、順序の先にある
冒頭に書いたとおり、算数にはひらめきが必要な問題があります。補助線をどこに引くか、どの条件から手をつけるか。ここは経験と勘の領域で、手順化しきれません。
ですが、ひらめきが降りてくるのは、条件が紙の上に整理されている状態のときだけです。頭の中がぐちゃぐちゃな子に、ひらめきは起きません。
順序を守ることは、ひらめきを待つための準備です。
明日から親がすべき、非情な決断
お子さんが問題を解いているとき、答えではなく問題用紙の余白を見てください。
白いままなら、順序を飛ばしています。何を求めるかに線が引いてあるか。図や表が描いてあるか。条件に番号が振ってあるか。
余白が汚れている子は伸びます。きれいなままの子は、頭の中だけで戦っていて、いずれ限界が来ます。
【関連する指導コース】
解き方の順序と道具の使い分けは、マナリンクのプロフィールにある「中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポート」というコースで、実際の答案を見ながら指導しています。無料相談からお気軽にどうぞ。
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
中学受験におすすめの指導コース
- 進学塾の学習のペースについていけないと感じている方
- 塾でクラスアップをめざす方
- 志望校合格に向けて学習のペースを上げていきたい方
- 塾の算数のフォローをしたい
- 予習シリーズの進め方に戸惑っている
- 学習相談や受験校選択のセカンドオピニオンが欲しい
- 算数は得意だけど、国語は苦手・・・。そんな生徒さんにどう解けばいいか論理的な読解法の一部を伝授します
- 国語の偏差値を平均値にもっていくための論理の基礎ができているかをチェックします
- 国語が得意な先生のセンス的なものに頼らない、公式的なものを指導します。
- 工業分布問題ができない
- 省エネでポイントを押さえたい
- 中村のレッスンを一度試してみたい
- 苦手の国語を確実に伸ばしたい生徒さん
- 記述問題や読解が苦手で、国語専門の講師に基礎から教わりたい生徒さん
- 読解国語の個別指導で、「どう読めばいいか」を一歩ずつ身につけたい生徒さん