小6 過去問 算数が取れない原因は実力ではなく作業
小6の過去問で算数が取れない。そう悩む親子の答案を見ていると、実力が足りない子より、わかっているのに点を落とす子のほうがはるかに多いのが現実です。
先日の授業でも、過去問の答案を丸付けしながら、まさにこの構図を見ました。解法は知っている。時間も足りている。それなのに、写し間違い、単位の混同、条件の読み違いで、本来取れたはずの大問を落とす。しかも、そのクセは何か月も前から指摘され続けているのに直っていません。
今日は、この「取れるのに取れない」状態を、気合いではなく仕組みで潰す話をします。
過去問の点数が安定しないのは、実力ではなく作業のバラつきです
過去問を解いて、ある回は合格者平均に迫り、別の回は受験者平均すら下回る。この揺れ方をする子は、たいてい実力の問題ではありません。作業の精度が一定していないのです。
入試は、1問5点の大問を3つ落とせば15点が消えるゲームです。合格最低点付近では、数点の差が合否を分けることも珍しくありません。つまり、知識や発想が足りて合格圏にいる子でも、数問に1問のペースで作業ミスが出るだけで、合否ラインの外側に落ちることがあります。
僕が過去問の答案で最初に見るのは、間違えた問題の難易度ではありません。間違えた理由が、解けなかったからなのか、解けたのに落としたからなのか。この仕分けです。後者が多いなら、必要なのは新しい解法ではなく、作業の設計です。
解き直しがごちゃごちゃな答案は、後から検算できません
見直しができない子の答案には、共通点があります。式も図も、余白に詰め込むように書いている。消しては上書きし、どの数字がどこから来たのか、本人にもたどれない。
こうなると、見直しは「もう一度解く」ことになってしまいます。同じ頭で同じ道を通るのですから、同じ間違いをそのまま繰り返すだけです。写し間違いは、問題文の数字を式に移す瞬間に起きます。単位の混同は、途中の数字に単位を書かずに進めた結果、最後に取り違えて起きます。
答案は、後から他人が読んで追えるくらいが標準です。式は1行ずつ改行する、途中の数字には単位を必ず添える、問題文から写した数字は丸で囲む。この3つだけで、見直しの質は目に見えて変わります。字が汚いことより、検算できる形になっていないことのほうが致命的なのです。
見直しは最後にまとめてやるものではなく、1問ごとにその場でやるものです
過去問の時間配分を考えるとき、多くの家庭は最後に見直しの時間を残す設計をします。理想的ですが、本番で本当にその時間が残る子は少数です。大問を数問落とすほど難しい年ほど、見直しの時間は消えます。
だから僕は、見直しを最後に回すという発想を捨てさせます。1問解き終えたら、その場で5秒だけ止まる。条件の読み違いはないか、単位は合っているか、写した数字は問題文と一致しているか。この3点だけ確認して次に進む。最後に残る時間はおまけの扱いです。
先日の授業では、1問1分未満の小問を5問解く練習をしました。答え自体は時間内に出ます。ところが、その場で見直す習慣がないと、計算の途中の取り違えがそのまま答えに残ります。速く解く力と、その場で止まる力は、別の筋肉です。
条件に線を引き、表で整理する子は、場合の数でも崩れません
ミスが集中しやすい単元が場合の数です。順列と組合せを取り違える、条件を1つ読み落とす、という間違いは、頭の中だけで処理しようとした結果として起きます。
たとえば、最後に特定の人が到着するという条件は、問題文の中に1行で書かれています。そこに線を引いていなければ、解いている途中で簡単に頭から抜け落ちます。条件に線を引く、図や表にして数え上げる、この2つを面倒がる子ほど、似たような失点を何度も繰り返します。
数え上げの問題は、表にして書き出すだけで正解に届くものがほとんどです。賢く解こうとして公式に頼るより、愚直に並べるほうが、はるかに事故が少ないのです。
勉強量が減ると、精度から先に落ちます
もう一つ、親御さんに伝えておきたい現実があります。過去問期に入ると、焦りからか、基本問題や計算の反復を後回しにする子が出てきます。ところが、勉強量が落ちると、まず落ちるのは難問を解く力ではなく、計算や整理の精度です。
スポーツと同じです。毎日振っていた素振りを数日休むと、最初に狂うのはフォームの細部です。計算も同じで、毎日の短い反復をやめると、精度から崩れます。難しい問題を解く時間を確保したいときほど、計算と小問の毎日の練習だけは削らないほうが、結局は得点が安定します。
明日から家庭で決めてほしい、3つの非情なルール
最後に、具体的な行動に落とします。多くを一度に変えようとしないでください。
過去問の答案は、式を1行ずつ書き、途中の数字に単位を添える。ごちゃごちゃな答案は解き直しの対象にしない。
1問解くたびに5秒止まり、条件・単位・写した数字の3点だけを確認する。見直しは最後にまとめてやらない。
場合の数と図形は、条件に線を引き、表か図に書き出してから数える。頭の中だけで処理しない。
これらは才能ではなく、設計です。実力が足りていないのに焦る必要はありませんが、実力があるのに作業で落とす状態を放置するのは、最も高くつく選択です。
過去問の点数が安定しない原因は、多くの場合、解けなかったことではなく、解いたあとの作業にあります。実力が足りているうちに、作業の設計を直してください。
過去問で取れるはずの点を落としているなら、僕のマナリンクのプロフィールにある「中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポート」で、答案の作り方から一緒に設計し直せます。無料相談も受け付けていますので、答案を見せていただければ、どこで点が逃げているかを具体的にお伝えします。
最後に一言。わかっていたのに落とした5点を、まだ「次は気をつけます」で済ませているご家庭があるなら、それは気合いが足りないのではなく、仕組みが足りないだけです。仕組みは、買えるし、作れます。
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