【爆アゲ先輩・ユウキ君編④】回答用紙の空欄が教えてくれる、本当の現在地
実録・爆アゲ先輩 ユウキ君編「合格可能性20%からの40日」
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この連載は、12月の模試で合格可能性20%だったユウキ君(仮名)が、残り40日で第一志望に逆転合格するまでの記録です。私が担当したのは、算数の特訓授業と、勉強の仕方全体の立て直し。進学塾の教室長、個人塾の塾長として30年、受験直前のご家庭と向き合ってきた私が、作戦の中身まで包み隠さずお伝えします。
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■前回までのあらすじ
ユウキ君の模試を、3点セットで見てきました。
【第一段階】途中計算のまとめ方について…問題用紙の余白。計算は書いてある。でもバラバラで、番号もなく、消し跡ばかり。あとから使えない形なら、書いていないのと同じ。
【第二段階】文章題の読み方について…線も囲みもメモもなく、ほぼ真っ白。頭の中だけで整理して、いきなり式を立てようとしている。
どちらも、「できない」のではなく、「習っていないだけ」でした。
今日は、最後の【第三段階】です。回答用紙の状況を見ながらユウキ君の現状を把握します。
■第三段階 回答用紙が語る、試験中の実態
回答用紙の実物をスキャンした画像が印刷されたユウキ君の模試成績表を開きます。
私がここで見るのは、次の2つです。
空欄(未回答)は、あるか
字は、丁寧か
ユウキ君の回答用紙は、こんな様子でした。
前半は、ほとんど回答で埋まっている(2箇所空欄)
後半の大問は、空欄が半分ほどある
字は読めるが、書き直しのときの消し方が雑
「ふむふむ……。頑張った様子が見えますね。一方で、分かる問題から確実に埋め、最後に残った問題にも条件からあたりをつけて書き切る。そういう戦う受験生の動きは、まだ教えられていないようです」
■根本的な問題は、「時間切れ」
お母さんに、こうお伝えしました。
「後半が白紙なのは、ユウキ君の頭がそこまで届いていないからではありません。第一段階と第二段階で時間を溶かして、本来なら手が届く問題まで、たどり着けなかった。それが、多くの空欄の正体です」
空欄を見ると、親はこう思いがちです。
「やっぱり、難しい問題ができない」
「やっぱり、偏差値の通りだ」
でも、3点セットを通して見ると、話は逆です。
余白のぐちゃぐちゃで時間を失い、真っ白な文章題で条件を飛ばし、その結果として空欄が残る。空欄は原因ではなく、結果です。途中式をきちんと書き、問題文を丁寧に読めば、時間内にできる問題が増えて、自然に空欄は減ります。
■もうひとつの原因は、「書き切る」覚悟と、その方法
もう一つは、「空欄は残さない。条件からあたりをつけて、書き切る」という覚悟です。
いい加減に埋める、という意味ではありません。問題文から判断して、正解のあたりをつける、ということです。
たとえば、全部で30個のアメを姉妹で分けるとき、「お姉さんの個数は?」という問題があったとします。条件が複雑で難しくても、答えは0個〜30個の31通りしかありません。お姉ちゃんなら妹より多いだろう、という見当もつきます。そうすると候補は半分ほどに絞れます。妹が1個というのはかわいそうだから、18個と12個くらいかな、と想像して当てはめてみると、意外と短時間で答えが見つかることもあります。
入試ではここまで簡単な問題は出ません。でも、考え方は共通です。条件を整理したうえで、途中計算をきれいに書くスキルが身についていれば、順番に当てはめる作業もテキパキこなせます。
今回で言えば、大問5の(2)は、難しい式を立てなくても、ユウキ君なら手を動かせば答えを見つけ出せたと思います。それで5点取れたら、かなり大きいです。
国語・理科・社会でも、選択を空欄にしたり、記述欄を真っ白で出したりする子は少なくありません。「何でもいいから書こう」ではなく、「条件から正解に近づける書き方」を知っているかどうか。そこが、戦う答案とそうでない答案の分かれ目です。目標の共有と、具体的な方法の両方を伝えれば、ユウキ君の回答用紙は、もっと戦う受験生らしいものに変わるはずです。
■字は、上手さより「丁寧さ」と「安定」
達筆である必要はありません。心を込めて丁寧に書いている様子が伝われば大丈夫です。ゆっくり書く必要もありません。焦らず、落ち着いて、普通の速度で書けば良いです。
7と1などで極端なクセがついているようでしたら直しましょう。回答用紙のどこでも同じ字体で書いてあれば合格です。あっちの2と、こっちの2が全然違う形だったら、その時その時で字を書く姿勢(気持ちや体勢)が乱れていることになります。
ノートでも、余白計算でも、回答用紙でも、いつも普通の速さで、普通の字体で、他の人が読みやすい字を書けるようにすると、成績も上がります。
その視点でみると今回の答案、0(ゼロ)の書き方がいろいろになっていますね。きちんとつながって輪になっているものもあれば、6のように見えるものもあります。まだ余裕がなくて、字まで気を使えていない様子がわかります。次回、途中計算や問題のマーキングなどの動きを整えれば、字体にも気を配れるようになると思います。
■3点セットを並べると、見えたこと
問題用紙の余白、文章題の問題文、回答用紙。この3つを並べたとき、ユウキ君の現在地はこう整理できました。
・計算の知識は十分にある
・文章題を理解する知識もある
・計算も文章題も「正しい解き進め方」を習っていないだけ
・次回は、戦う受験生らしい答案を作ることを目標にしたい
模試の合格可能性20%は、無視してよい数字ではありません。ただ、それだけで「無理」と決める数字では全然ありません。本気で勝負する準備ができれば、ひっくり返す余地が、答案の上に残っていました。
■お母さんに伝えた言葉
3点セットを見終えた私は、お母さんにこうお伝えしました。
「無理ではありません。一直線に志望校を目指しましょう」
お母さんの肩から、ふっと力が抜けたのが分かりました。
「本当に……まだ、いけるんでしょうか」
「はい。今日お話した内容を、私からユウキ君に伝えます。きっと理解してくれると思います。それを踏まえて取り組めば、残り40日の使い方が、今までとはまるで違ってきます」
①の面談で私が約束したのは、「無理なら、無理とお伝えします」でした。
見終わった答えは、無理、ではありませんでした。ユウキ君は、取れる点を落としているだけです。伸びしろが、答案にはっきり書いてあります。
■ご家庭でできる、回答用紙チェック
お子さまの模試の成績表を開くとき、偏差値の前に、回答用紙を見てください。
・空欄は、どの大問に集中しているか
・前半の取りこぼしは、何問あるか
・字は、急いで崩れていないか
空欄が後半に偏っているなら、「難しいから」ではなく「時間が溶けたから」を疑ってください。前半の取りこぼしが多いなら、そこがいちばん効率の良い得点源です。
そして、本人を責める言葉は、今日はやめておきましょう。代わりに、こう言ってあげてください。
「この空欄、難しくて解けなかったんじゃなくて、時間が足りなかったのかもしれないね。だったら、やり方を変えれば届くよ」
■ここから先にやること
ユウキ君に必要なのは、新しい問題集を増やすことではありませんでした。
途中式の書き方を、単元として教える
文章題の読み方を、型として身につけさせる
そのうえで、志望校の過去問で「取る・捨てる」を決める
①でお母さんが一番知りたかったのは、「志望校を下げるべきか」でした。
その答えを出す前に、本当の現在地を見る。それが、この4回でお伝えしたかったことです。
次回からは、ユウキ君本人との授業に入ります。余白に計算を残すこと、問題文に線を引くこと。そして、「途中式を科学する」時間です。振る舞いが変わったとき、ユウキ君の目の色がどう変わったか。そこから先を、引き続きお伝えします。
■ユウキ君と同じ作戦を、お子さまにも
私のマナリンクのコース「【小6受験算数・直前期】逆転合格へ、元塾長秘伝の過去問作戦」では、ユウキ君と同じ流れで、合格最低点までの最短ルートを一緒に描きます。12月以降に始める方には、全4回のコース「【小6受験算数・直前】残り4回の逆転作戦|元塾長の過去問対策」もご用意しています。
算数を中心に、理科・国語・社会の解説や、勉強の仕方のご相談にも対応します。
高校受験を控えた中学3年生には、5教科対応のコース「【高校受験・直前対策】5教科おまかせ!元塾長秘伝の合格大作戦」があります。
無料体験では「合格ライン診断」を行います。準備は何もいりません。お話を伺いながら、合格までの作戦をその場で組み立てます。
「もう無理かも」と思った今が、作戦を立て直す一番のタイミングです。
※本記事は実際の指導事例をもとに、個人が特定されないよう一部を変更しています。登場する人物名は仮名です。結果には個人差があり、成果を保証するものではありません。
この先生のおすすめコース
- 12月・1月からでも、残り時間で合格点を取りにいきたい小学6年生
- 過去問で合格最低点まであと一歩、何を優先すべきか迷っている小学6年生
- 冬休みや入試直前の2週間で、本番の作戦を固めたいご家庭
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