【爆アゲ先輩・ユウキ君編③】文章題が真っ白な子は、問題を頭の中だけで解いている
実録・爆アゲ先輩 ユウキ君編「合格可能性20%からの40日」
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この連載は、12月の模試で合格可能性20%だったユウキ君(仮名)が、残り40日で第一志望に逆転合格するまでの記録です。私が担当したのは、算数の特訓授業と、勉強の仕方全体の立て直し。進学塾の教室長、個人塾の塾長として30年、受験直前のご家庭と向き合ってきた私が、作戦の中身まで包み隠さずお伝えします。
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■前回のあらすじ
ユウキ君の模試の問題用紙を見た私は、まず余白を確認しました。計算は書いてある。でも、バラバラで、番号もなく、消し跡ばかり。あとから使えない形で書いてあるなら、書いていないのと同じです。
「これは、本気で合格を目指している子の計算じゃないんですよ」
それでも、結論は「計算ができない」ではありませんでした。途中式の書き方を、まだ誰も教えていなかった。ただ、それだけです。
■今日見るのは、文章題の問題文
3点セットを見る順番は、前回お伝えした通りです。
第一段階 問題用紙の余白を見る。途中計算をきちんと書けているか。
第二段階 文章題の問題文を見る。大事な数字や設定に、印はあるか。
第三段階 回答用紙を見る。空欄の有無と文字の丁寧さはどうか。
今日は、第二段階です。
■ユウキ君の文章題は、ほぼ真っ白だった
旅人算や時計算など、いわゆる特殊算の文章題が続くページを開きます。
私がここで見るのは、式の正誤ではありません。問題文そのものです。
文章中の大切な数字に、丸や線はあるか
「同じ時刻に」「それぞれから」「残りの」「同時に」など、条件の言葉に印はあるか
何を求められているのか、問題文の最後に印はあるか
余白に、条件を抜き出してまとめたメモはあるか
ユウキ君の問題文やその周辺は、式や筆算を除きほぼ真っ白でした。
線もない。囲みもない。条件を並べたメモもない。読みながら頭の中だけで整理して、いきなり式を立てようとしている様子がわかります。
「ふむふむ……。ここも、書いていないのと同じです」
■頭の中だけで解くと、何が起きるか
頭の中だけで文章題を解いてしまう子には、共通のパターンがあります。
◆1 条件を飛ばし読みしてしまう
入試問題は、アタマの中だけで処理するにはちょっと厳しいくらいに調整されています。正しい解き進め方を知っている子だけが合格点になるしかけです。
例えるなら、スーパーで「今日は少ないから」とカゴを持たずに売り場を歩くようなものです。一つ、二つと商品を手にしたら、思ったよりかさばって、今にも落としそうになる。落ち着いてカゴに入れれば、もっと多くの品をレジまで運べるのに、手だけではどうにもなりません。
算数の文章題も同じです。最初から線を引く、丸で囲む、余白にまとめる。面倒で遠回りに見える作業ほど、アタマの作業スペースに余裕が生まれます。すべての条件を、きちんと把握できるようになります。
◆2 問われているものと違うものを求める
お母さんに、こうお伝えしました。
「見てください。この問題、途中まで正しくできているのに、最後に『速さ』を答えてしまっています。本当は『時間』を書く問題です。もったいない」
難しい問題を解いていると、最後に何を答えるべきかを間違えてしまうことがよくあります。回答用紙に[分]などの単位が書いてあれば、ギリギリのタイミングで気づくこともあります。でも、単位なしのただの四角の欄に答えを書く場合は、それも期待できません。「時間を答えるんだぞ!」と自分に言い聞かせる意味も込めて、問題文にマークをするのがおすすめです。
◆3 余白の計算が、ますますバラバラになる
お母さんに、こうお伝えしました。
「ご覧の通り、式や筆算の書き方がぐちゃぐちゃですね。これは今説明した問題文の読み方の2つのポイントをおさえれば、自然に整います」
問題文をしっかりと把握できれば、何を求めればよいかがはっきりわかるので、式の順番が整います。先まで見えている子は落ち着いています。筆算も、式の邪魔にならないところに、上から整然と並べられるようになります。
■文章題の読み方を勉強しましょう
書き込みなしの真っ白な問題文は、問題の読み方を、まだ習っていない証拠です。
学校も塾も、文章題の「解き方」は教えます。旅人算ならこう、割合ならこう、と。でも、問題文のどこに線を引き、何を余白に抜き出すかという「読み方」までは、ほとんど教えません。
私がユウキ君に伝えたいのは、面倒な作法や難しい技術ではありません。文章題を読むときの、最低限の型です。
数字に丸をつける
条件の言葉に線を引く
最後の「求めなさい」の部分に、二重線を引く
余白の一番上に、「分かっていること」と「求めること」を短く書く
これだけで、頭の中がスッキリします。ぜひ試してみてください。
■ご家庭でできる、真っ白チェック
お子さまの模試や過去問の文章題を、一度開いてみてください。見るのは点数ではなく、問題文です。
数字に、印があるか
条件の言葉に、線があるか
「何を求めるか」に、印があるか
余白に、条件のメモがあるか
全部ないなら、そこに取り返せる点が眠っています。
ただし、「線を引きなさい!」と命じるのは逆効果になりがちです。なぜ引くのかが分からないままでは、前回の「時間がないから、ヤダ!」と同じ反抗になります。
ご家庭でできるのは、正解できた文章題を指して、こう聞くことです。
「この問題、どこがポイントだった?」
本人が数字や条件を指せたら、すかさずこう言います。
「そこ、ちゃんと見抜いてたね。次からは、その場所に線を引いておくと、もっと安心だよ」
目的は、責めないこと。すでにできている読みを、紙の上の習慣に変えることです。
■第二段階までの結論
余白がぐちゃぐちゃなのは、計算ができないからではない。
文章題が真っ白なのは、読めていないからではない。
どちらも、「受験の振る舞い方」を習っていないだけです。
ユウキ君の答案には、まだ伸びしろが残っていました。取れそうで取れていない点が、問題用紙の上に、そのまま見える形で残っていたのです。
■次回予告
最後に見るのは、回答用紙です。空欄はどこにあるか。字は読んで取れるか。
空欄は、「難しくて解けなかった」ではありません。第一段階と第二段階で時間を溶かし、本来なら手が届く問題まで、たどり着けなかった。それが、この空欄の正体です。
そして、3点セットを見終えたとき、お母さんに伝えた言葉があります。
次回【爆アゲ先輩・ユウキ君編④】回答用紙の空欄が教えてくれる、本当の現在地
■ユウキ君と同じ作戦を、お子さまにも
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※本記事は実際の指導事例をもとに、個人が特定されないよう一部を変更しています。登場する人物名は仮名です。結果には個人差があり、成果を保証するものではありません。
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