英語民間試験導入の延期

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2019/11/11

導入が延期になりましたね。受験生の皆さんが一番混乱していたはずで、まずこれは文科省に責任があるでしょう。


昔はたしかに読み書き中心の勉強でした。数年前からセンター試験でリスニングが課されるようになり、今回は民間試験でスピーキング能力も、ということだったんでしょうね。


でも、高校卒業時点で英会話能力ってどのぐらい身に着けておくべきなのでしょうか。私が思うのは、英会話能力は特に重要ではない、ということです。


受験英語は役に立たないと昔からよく言われてきましたが、そういう人たちは受験英語をどれぐらい真剣に勉強したでしょうか?単語の暗記にどれぐらい必死に取り組んだでしょうか?何をもって「役に立たない」と言っているのでしょうか?センター試験で必要な語彙力は5000-6000語と言われています。これだけの単語を知っていて、センター試験で問われる程度の英文法をきちんと理解していれば、かなり複雑なことでも理解できますし伝えることもできるはずなんです。


日本人は不必要に英語能力にコンプレックスを持っています。私はカナダ在住14年で、カナダに来た日本人の若い人たちと会う機会も多くあります。彼らはカナディアンや他国からの留学生たちと交流をしていきますが、自己紹介のときに必ずと言っていいほど「まだ英語力が不十分で....」のような話をします。でもこんな話をするのは日本人だけなんです。他国からの留学生や移民たちはそんなことは一言もいいません。東南アジアや中南米からの留学生はものすごいアクセントでほぼデタラメな英語を話しますが、彼らは自分の英語能力のことなど全く気にせずどんどん発信します。そのパワーはすさまじいですよ。


また交流を進めていくうち、英語がある程度自由に話せるようになってくると「あなたは英語が上手ですね」のように褒められます。でもここで喜んではいけません。これは「非英語圏にしてはまあがんばってるな」程度の認識です。本当に現地人と対等にやりあえるレベルになればそんなことも言われなくなります。「英語が上手ね」と言われているうちは「まだまだ」なのです。


そしてこういう現地の状況を考えれば、英検準2級から2級程度の英会話能力なんて知れてます(それに向けて勉強している人、ごめんなさい!)。


高校卒業時点での英会話能力はそれほど重要ではないと私は考えます。いまは単語や文法をしっかり学んだほうがよいでしょう。リスニングにしても知らない単語は聞き取りようがないのですから。そして会話能力のほしい人は、大学生になってから留学など機会はいくらでもあります。留学先で強い意思があれば1年ぐらいでかなり変わりますし、自分でもおどろくほど英会話の度胸がついて帰国できます。会話能力だけなら英検1級の面接試験でも動じずに受験・合格できるぐらいになっているはずです。それでも遅くはないのではないでしょうか。


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