考える力(後編)~勉強スタイルを変える3つのヒント~
2025/6/21
はじめに:「成績が伸びる人」に共通すること
「入試問題は正解があるからカンタン。でも世の中には正解のない問題ばかり。だから受験秀才の東大生は社会では使い物にならない」という声をどこかで聞いたことがあるでしょう。
これまで多くの生徒を見てきて思うのは、成績が伸びる人が必ずしも最初から頭がいいわけではないということです。
「試行錯誤しながら考え抜く」という習慣を持っている人が、本番で一番強いと感じています。それは東大生であるかどうかは関係ありません。
では、どうすれば「考える勉強」ができるのでしょうか?
勉強スタイルを変える3つのヒント
ヒント1:間違いを分類してノートに可視化
練習問題をノートに書いてマルつけをしますね。そのとき間違ったノートを消しゴムで消していませんか。間違えたノートは自分の間違いを修正するための大事な宝物です。消してはいけませんよ。
間違えた問題は「何を誤解していたか」「どの思考パターンだったか」で分類しましょう。
・計算ミス(符号ミス、約分ミス、転記ミスなどに分類)
・問題文の見落とし(条件を見落としたなど)
・問題文の誤解(設定を誤解したまま解答したなど)
などです。
ヒント2:別解を探す
練習問題を解いて答があっていたら、あとは解説等を読まずに終わりにしていませんか。
解説だけでなく別解も研究しましょう。解答や解説にない解法が見つかったら、ぜひ担当の先生に見てもらってください。
「自分にはそんなことできるはずがない」とあきらめていませんか。たった1問だけでもいいから考えてみてください。別解が見つからなくてもいいのです。考えるという過程が大事です。
ヒント3:他人に説明する
先生になってみましょう。
「誰かに教えるとしたらどう説明する?」と考えると、深い理解につながります。本当に理解できていなければ説明できないからです。
実際に誰かに説明する機会があれば最高ですが、誰もいなかったとしても自分が先生になったつもりで独り言のように言ってみるだけで十分です。
言語化するというトレーニングを積むことで、思考を論理的に組み立てることができるようになります。
保護者の方にできる関わり方
関わり方1:勉強を「作業」ではなく「成長のプロセス」として見守る
試験の結果に一喜一憂していませんか。次はもっと上位にということだけで勉強時間を増やしていませんか。
勉強の質について注目してみましょう。単に練習問題をこなして「前よりできているか?」だけに注目するのではなく、「前より深く考えるようになっているか?」に注目してみてください。
間違いの分析を自分でしているか、すぐに解答解説を見ようとせず試行錯誤の時間をとっているか、などです。
関わり方2:社会と勉強のつながりを語る
保護者の方は既に実社会を知っています。「なんでこんなこと勉強するの?」という疑問に対しご自身の経験を引き合いに出して答えるようにすると、勉強が意味を持つようになります。
知識が直接役に立つ場合ならもちろん、そうでない場合でも「考える力」の重要性を説くことができます。
まとめ:勉強が変われば、未来が変わる
「考える力」は、受験勉強だけでなく将来ずっと役立つスキルです。
ぜひ、今日の勉強からこの記事で紹介した3点「間違い分析、試行錯誤と別解研究、説明」を意識してみてください。その積み重ねが将来の力につながります。
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