[数学・物理] 勉強用ノート、計算用紙、答案用紙の違い ~論理が見えるようにしよう~
2025/9/23
1. はじめに
あなたの勉強用ノートを開いて見てください。
最近の定期テストや模試の記述式の解答らんを見てください。
数式だけが記載されたものになっていませんか?
生徒のノートや答案用紙を見ていると、まるで計算用紙に見えることが少なくありません。数式だけがぐちゃぐちゃと並んでいて、日本語の説明がほとんどなく、論理の流れが見えないのです。
これでは自分で見返しても理解しにくいし、試験の答案では採点者に伝わらず点数になりません。勉強の成果をきちんと表現するには「書き方」にも工夫が必要です。
2. 勉強用ノート・計算用紙・答案用紙の違い
まずは、学習で使う紙の役割を区別しましょう。
- 勉強用ノート:学んだことを整理し後から見返して理解を深めるためのもの
- 計算用紙:試行錯誤や計算過程のメモ。失敗も含めて自由に書いてよい
- 答案用紙:採点者に解法の筋道を正確に伝えるための「発表の場」
この区別を意識しないと、すべてが「計算用紙風」になってしまい、学習効果も答案作成力も伸びません。
3. 論理を見えるようにする工夫
論理を見せる書き方には、いくつかのコツがあります。
- 日本語で説明を入れる:「ここで○○を用いる」「△△より…」など。
- 式に番号を付ける:「➀より」「➁を➂に代入」などで参照できる。
- 場合分けに見出しをつける:「[i] Aの場合」「[ii] Bの場合」など。
- つながりを言葉で補う:ただ「=」を並べるのではなく、「∴」「したがって」などを活用。
これらがないと、何が条件式で、どこが式変形の計算過程で、どれが結論なのかが全く区別ができず、論理が見えません。
特にこれが試験の答案だと「採点者はプロなんだから、わかってもらえるだろう」というのは通用しません。
以下に具体例を示します。違いがわかりますか? あなたのノートや答案はどちらに近いですか?
4. 具体例1[数学答案用紙]
悪い例⬇

良い例⬇
5. 具体例2[物理ノート]
悪い例⬇

良い例⬇
6. まとめ
数学や物理は「正しい答」を出すだけでなく「どのように導いたか」を伝える学問です。
- ノートでは理解を整理するために日本語を入れる
- 答案では採点者に伝わるように番号や説明を加える
こうした「書き方の工夫」が、理解の深化と試験の得点力の両方につながります。将来レポートや論文を書くときにも必ず役立ちます。
ぜひ今日から、数式の周辺に日本語の説明を加えて論理が見える記述を意識してみてください。
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