[高校数学] 問題集って何周すればいいですか?
「青チャートは3周すれば大丈夫ですかね?」
生徒や保護者の方からよくこんな質問をいただきます。
合格体験記やネット上では、
「青チャート最低3周せよ」
「青チャートを5周して東大に合格」
といった合格エピソードや、中には、
「夏休みだけで青チャート3周した」
なんていう猛者もいます。
でも、5周すれば本当に東大に合格できるほどの実力がつくのでしょうか?
答はNoです。
問題集をただ何周もこなすこと自体が目標になってしまうと、勉強の本来の目的である「解けるようになること」「理解を深めること」から外れてしまいます。
では、いったい何周すればよいのでしょうか。
この記事では周回の方法についてのヒントをお伝えします。
1周ごとの目的を決める
ぜひこんな意識を持って取り組んでみてください。
1周目:今の自分の実力チェック
解ける問題と解けない問題を分けるのが最初の段階です。 まずは解けるかどうか挑戦してみましょう。
問題は全部ノートに解いてみます。できなかった問題にはその理由(計算ミス・公式忘れ・そもそも解法がわからない)も併せてメモしておきましょう。
👉 ポイント:この段階では「できない問題リスト」をつくることが目的です。
2周目:解説の読み込みと理解
解けなかった問題を中心に、解説をじっくり読んで理解する段階です。1周目で解けなかった問題を中心に取り組んでみましょう。
ノートには「解説を読んでの新発見ポイント」や「次に同じ問題を見たときに思い出すための解法の流れのメモ」などを自分の言葉でまとめておきます。
👉 ポイント:「解答の丸写し」ではなく「自分の弱点と解決法」を書きとめておくことが大事です。
3周目以降:定着とスピード
知識を定着させ、スピードや時間を意識しての演習をします。 解けなかった問題を解き直し、時間を測ってアウトプットの練習を重ねます。
ノートには「一度間違えたが3周目で解けるようになった」問題に✔を入れます。もしまだ解けない問題があれば「要復習」のような印をつけて、試験前にそこだけ見直せるようにしてみましょう。
👉 ポイント:「自分専用の弱点ノート」を完成させましょう。
問題集の周回は「ただ繰り返す」のではなく「それぞれの周で得るものを決める」ことが、効率的な学習につながります。
問題集のタイプ
問題集の種類によっても「何周すべきか」は変わります。
解説が詳しいタイプ(基礎理解用)
1〜2周で十分です。理解できたら次のレベルへ進みましょう。
網羅系(例:青チャートなど)
典型パターンが多く含まれています。2周程度を終えたらあとは大量演習に進み、網羅系の問題集を辞書代わりに使うのがよいでしょう。
大量演習系(過去問演習や標準問題精講など)
数学では基本事項を例題で学んだだけでは不十分です。もっとも時間をかけるべきはこの演習です。1冊につき3周以上で、覚えた知識を使える知識に変えましょう。
保護者の方へ
「周回数」にこだわりすぎると、思い通りに進まないときストレスを感じたり、途中でイヤになったりしやすいです。いちど途中で投げ出してしまうと、それ以降も簡単にあきらめるクセがついてしまうこともあります。
大切なのは、「何をどう学ぶか」です。
今回の考え方は生徒さん本人にこそ読んでもらいたい内容です。もしよろしければ、この記事を生徒さん本人と一緒にみながら、このあとのことを考えてみてください。
「問題集は何周すべき?」という疑問が、より前向きな学び方に変わるはずです。