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「あいさつって意外に侮れないのではないか」というお話

2025/10/4

「おはようございます」、「こんにちは」、「ありがとうございます」。

これらのあいさつは、ほんの一言で済む短い言葉です。しかし、その短い言葉が人間関係をスムーズにし、勉強や将来にまで良い影響を与えることがあるかもしれません。

と、お話しすると「あいさつが大事とか何度も聞かされているし、今さら何を。」と思う方もいらっしゃるかと思います。ですが、私が塾や学校などの教育機関で「これを推奨しましょう」と言われた中で、掛け値なしで「これは絶対に身に着けた方がいい!」と思ったことが、この「あいさつ」というヤツです。

あいさつが自然に出せるようになると、人間関係が円滑になるだけでなく、自分の心理的負担も軽くします。また、どちらかといえば文型内向的な私にはできないのですが、中にはものすごく「元気ハツラツ、ファイトいっぱぁ~つ!」といった調子で、かつ感じの良いあいさつができる方がいらっしゃいますが、そうした方を見ていると「ああ、絶対この人はこれで得をしているだろうな」と感じます。感じの良いあいさつを使いこなせるということは、紛れもない武器なのだと思います。

あいさつは単に他の人に好印象を与えるだけのものではなく、実は勉強面でも効果が高いのではないかと私は考えています。そこで、今回はあいさつをすることの重要性について、色々な面から考えてみたいと思います。

1、 あいさつはコミュニケーションの入り口

人と人が関わるとき、最初に必要なのが「きっかけ」です。あいさつは、そのきっかけをつくるための最もシンプルな手段です。

「おはよう」と言えば、相手も自然と「おはよう」と返してくれます。そこから会話が始まり、関係が深まっていきます。逆に、無言でいると相手も話しかけにくくなり、距離ができてしまいます。また、自分も「しまった~、声をかけるタイミングを逃した~!気、気まずい…。」と微妙な空気を感じて心理的ストレスを抱える原因となってしまいます。

受験勉強でも学校生活でも、人との関わりは欠かせません。先生や友達に質問するとき、部活の仲間と協力するとき、その入口になるのがあいさつです。あいさつができる人は、協力を得やすく、情報も集まりやすくなるはずです。

2、 国語力は教科書の知識だけでは育たない

国語の力、つまり「読む」・「書く」・「話す」・「聞く」という力は、勉強の基礎です。そしてその力は、教科書や問題集だけで身につくものではありません。

あいさつを通じて先生や年上の人、あるいは年下の人と話す機会が生まれると、世代を超えた言葉のやり取りが生まれます。その中で、自分の知らない言葉や言い回しに触れることができます。これが語彙力や言葉の実感につながることもあるかもしれません。

たとえば、私の場合は小さい頃はおばあちゃん子でしたので、祖母の散歩に連れられて出かけることが多かったのですが、その時によく祖母が「今日はいい塩梅ですね」という言葉を使っていました。「いい塩梅」とは「ちょうどよい具合」、「ほどよい状態」という意味の言葉ですので、「今日は(陽気がおだやかで)良い具合ですね」という意味なのですが、こうした言葉は小さな子どもが同世代の子どもたちとだけ交わっていても絶対に身につきません。

そして、世代間の壁を越えて交流するには、やはりあいさつというのはどうしても必要な要素なのではないかと思います。あいさつは、自分の世界と語彙を広げていく原動力になり得るのです。

3、きちんとしたあいさつができて損をすることは(多分)ない

「あいさつをして嫌われた」という経験がある人は、あまりいないのではないでしょうか。むしろ、きちんとしたあいさつができる人は「感じがいい」、「信頼できそう」と思われます。

学校生活に限らず、社会生活の様々な場面でも、第一印象を決めるのはあいさつです。勉強や仕事の成果をどれだけ積んでいても、あいさつひとつで相手の受け止め方が変わることがあります。だからこそ、「あいさつを自然にできる人」になっておいて損をすることは、基本的にありません。

義務化されたあいさつは逆効果だそうですが、ある研究によれば、あいさつのように世代間接触や地域の身近な交流を増やす介入は、地域レベルでの社会資本(信頼・助け合い)を高める効果や、生産性の向上につながることもあるそうです。

4、 勉強や受験にも関係する(かもしれない)あいさつ

あいさつは学習を進める上でも無関係ではないかもしれません。たとえば、以下のような場面では効果があるかも。

① 気持ちのメリハリをつけ、集中力を高める

学校や塾で「よろしくお願いします」と言うと、その瞬間から気持ちが切り替わります。あいさつをすることは、これから行う活動のスイッチとしての役割を果たします。

② 記憶力や理解力の土台を支える

人と関わることで脳は刺激を受けます。あいさつから始まる会話が、学んだ知識を使う場を広げ、思考力を鍛えてくれるかもしれません。

③ 面接試験での第一印象

中学受験や高校受験、推薦入試や総合型選抜では、面接も重視されます。「きちんとしたあいさつができる」ことで、評価が上がることはあっても、下がることはないでしょう。

5、あいさつのできる関係は自分の幸福感を高めてくれる

聞きかじりですが、海外の研究によると、日常的にあいさつをすることは主観的幸福感を高める効果があるそうです。また、これはごく短期間のやり取りでも効果があるとのことです。逆に、社会的つながりの欠如感(孤立感・孤独感)は、精神的不安や健康に悪影響を与える可能性があるそうで、あいさつをすることがそうした可能性を取り除いてくれることもあるかもしれません。

直接あいさつとは関係がないのですが、以前、海外に住んでいた際に、見知らぬ街の人が驚くほど笑顔を向けてくれることに少し驚かされたことがあります。目が合った多くの人が笑顔を向けてくれるという経験は、日本ではあまり体験しないので最初は戸惑いましたが、こちらも笑顔を向けるように心がけているうちに気持ちが前向きに変化していくことを実感しました。

思うに、あいさつをしたり、笑顔を向けるということは、天気の良い日に青空を見上げるということと同じようなものではないでしょうか。ほんのちょっとしたことで気持ちが上向きに変えられるのであれば、うまく使いこなせるに越したことはありません。

おわりに

あいさつは、気持ちの持ち方次第でできる「小さな行為」です。ですが、その効果は思っている以上に大きく、生活の雰囲気を変える力を持っていますし、もしかしたら学力をを伸ばしたり、将来の信頼関係を築いていく基盤になるかもしれません。

もちろん、人には向き不向きがありますから、無理に「あいさつをしなければ…」という強迫観念にとらわれることはないと思います。私自身も元気ハツラツなあいさつができているかと言われれば、「いやー、全然そんなことはないですよ。」という感じですし。

ですが、自然体であいさつをできている時には、自分の心にある種の豊かさが出ているような気がします。精神的な余裕というものはどんな場面でも大切なものです。できれば、こうした小さなことを大きなプラスに変えていく気持ちの余裕を持っていたいなと思います。

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