帰国子女の要約、字数が変わると中身まで変わっていないか。
帰国子女入試でも公立中高一貫校の適性検査でも、要約は避けて通れない。だが、この要約でつまずく子には共通した癖がある。字数が変わるたびに、書いている内容そのものが変わってしまうのだ。
先日の授業で、こんなことがあった。同じ文章について、10文字の要約と30文字の要約を書いてもらったところ、10文字の方は言葉という道具にはつまずきが生まれるという趣旨だったのに、30文字の方は誤解を避けるために話し方を工夫することが大切という、別の主張になっていた。
これはよくある間違いだ。だが致命的でもある。
要約というのは、同じ中身を、文字数に応じて詳しくしたり削ったりする作業でしかない。10文字でも30文字でも120文字でも、核になる主張は一つでなければならない。文字数が増えたら、その分だけ理由や前提を足していく。核そのものをすり替えてはいけない。
10文字なら結論だけを一言で言い切る。30文字になったら、そこに理由を一つ添える。120文字なら、理由に加えて前提も入れる。中身が変わっているように見えるとしたら、それはただ書き手が本文のどこを軸にするか定まっていないだけだ。
この技術は、実は段落ごとの読み方さえ押さえれば誰でも再現できる。
まず段落ごとに、重要な一文がどこかを見極める。目印になるのは、しかし、でも、要するに、つまり、といった言葉の後ろだ。逆接や言い換えの後ろには、筆者が一番言いたいことが来る。
次に削る部分を決める。削っていいのは大きく二つ、具体例と、たとえばやまるでのような比喩表現だ。本文を彩る装飾は、要約には要らない。
最後は必ず筆者の主張で締める。文章全体の結論は、最後の段落に置かれていることが多い。
帰国子女の生徒を指導していて感じるのは、英語のエッセイで鍛えたパラグラフごとのトピックセンテンスを拾う訓練が、この技術とほぼ同じ構造だということだ。英語で段落の要点を掴む練習をしてきた子は、実は要約の型を半分身につけている。あとはそれを日本語の逆接や言い換えの言葉に当てはめ直すだけでいい。
自分の意見や感想を勝手に足すのも、よくある減点の原因だ。要約は本文の再構成であって、読み手の感想文ではない。私はと自分の話を挟みたくなる気持ちはわかるが、それは本文に書いていないことを書くのと同じで、そもそも要約という作業の定義から外れている。
結局のところ、要約が安定しない子のほとんどは、才能や語彙力の問題ではない。文字数ごとに核を変えてしまう癖と、削るべき場所を削れていないという、たった二つの技術的な穴がふさがっていないだけだ。この二つさえ埋まれば、要約の点数は誰でも安定して伸びる。
このあたりの指導は、僕がマナリンクで担当している帰国子女向けの指導コースでも扱っている内容だ。国語の記述や要約で伸び悩んでいる場合は、無料相談で一度状況を聞かせてもらえればと思う。
なお、要約と近い分野として、意見文で理由づけが浮いてしまう問題については「帰国子女の作文でなぜならが浮いてしまう理由」という記事でも書いている。
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