中学受験 国語 教え方|解説をやめる〈算数屋の国語①〉
このシリーズでは、国語を味わいません。算数を専門とする講師が、感性ではなく手順と得点設計として国語を扱ったらどうなるか。その記録です。中学受験の国語の教え方で悩んでいるご家庭に、先日の面談でお伝えしたことを書きます。結論から言えば、解説をやめてください。かわりに問いかけてください。これだけで、家庭学習の国語は変わります。
僕は算数を専門とする講師です。だからこそ、国語を感覚ではなく手順として捉えています。今回は、理系のアプローチから見た国語指導の話です。
解説すると、子どもの思考が止まる
国語の丸つけをしていて、お子さんが間違えた。そこで「これはね、ここにこう書いてあるから、答えはウなんだよ」と説明する。ごく自然な光景です。
ところが、この瞬間に子どもの思考は止まります。答えが与えられてしまえば、考える必要がなくなるからです。その場では納得した顔をします。分かったとも言います。しかし次の問題で、また同じ間違いをする。解説を聞くことと、自分で解けるようになることは、まったく別の能力だからです。
算数なら、この違いは点数にすぐ表れます。解説を読んで理解したつもりの問題を、翌週に解けない。国語でも同じことが起きているのですが、国語は「読解力」という曖昧な言葉で片づけられるので、原因が見えにくいだけです。
かわりに、問いかける
ではどうするか。答えを言わずに、問いを返します。
「なぜウだと思ったの」「アはどこが違うと思う」「その根拠は本文のどこに書いてある」「もし本当にそうなら、この一文と矛盾しないかな」
やっているのは、子どもの頭の中にある論理を、外に出させる作業です。間違えた子は、たいてい根拠なく選んでいます。なんとなく合っている気がする、という状態です。その「なんとなく」を言語化させると、本人が自分で矛盾に気づきます。
気づいた瞬間に修正されたものは、忘れません。他人に言われて直したものは、忘れます。ここが決定的な差です。
これは、算数でやっていることと同じです
実は僕が算数の授業でやっていることと、構造は変わりません。
算数の選択問題でも、答えを出す前に「その式は何を表しているの」と聞きます。図形なら「なぜそこに補助線を引いたの」と聞きます。解法を教え込むのではなく、本人の中にある判断の根拠を問い、それが妥当かを一緒に検証する。
国語の読解は、感性の科目だと思われがちです。しかし選択肢を選ぶ作業は、条件を照合して矛盾を排除する処理です。言い過ぎている選択肢を切る、本文に書いていない要素が入っている選択肢を切る。これは論理の作業であり、算数の消去法とほとんど同じ手続きです。
だからこそ、理系のアプローチが効きます。感覚を鍛えるのではなく、判断の手順を明確にする。
保護者が教えると、なぜ喧嘩になるのか
もうひとつ、面談で必ずお伝えすることがあります。国語は、親子間で最も対立が起きやすい科目です。
理由は単純で、正解が一つに見えないからです。算数なら答えは動きません。しかし国語は、保護者から見れば明らかにウなのに、子どもはエだと言い張る。そこで「なんでわからないの」となり、子どもは黙り込む。この構図を何度も見てきました。
解決策は、教え込むのをやめることです。保護者の役割は、正解を教えることではなく、子どもが自分の理屈を磨ける環境を作ることです。
「お母さんはこう思うけど、あなたはどう思う」と対等に置く。意見が割れたら、どちらが本文の根拠に近いかを一緒に確かめる。これなら喧嘩になりません。教える人と教わる人ではなく、同じ問題を検証する二人になれるからです。
時間の制約も、国語に効きます
もう一点だけ。過去問や模試を解くとき、試験時間からマイナス5分で設定してください。
これは算数でよく使う手ですが、国語にも効きます。本番は緊張して、普段より読むのが遅くなる。だから普段から厳しい時間で練習しておく。一時的に正答率が下がっても構いません。制限時間内に読み終える訓練のほうが優先度が高いからです。
時間内に読み切れなければ、どれだけ読解力があっても得点にはなりません。
明日から親がすべき、非情な決断
国語の解説をやめてください。
説明したくなる気持ちはよくわかります。目の前で子どもが間違えているのですから。しかし、その説明が子どもから考える機会を奪っています。ぐっとこらえて、問いを返す。答えは本人に言わせる。
遠回りに見えて、これが最短です。
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