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国語 読解 線を引く|丸付けを拒否した日〈算数屋の国語④〉

2026/8/22

国語の読解で線を引きなさい、と何度言っても引かない。そういうお子さんは珍しくありません。先日、僕はある生徒の答案の丸付けを、その場で断りました。今回はその話をします。

僕は算数を専門とする講師です。国語も指導していますが、教え方は算数とまったく同じ考え方に立っています。

丸付けを断った日

その生徒には、何回も前から同じことを言っていました。本文に線を引きなさい、と。

その日も演習が終わり、答案を見せてきました。問題用紙を確認すると、真っ白でした。一本も線がない。僕はこう言いました。この答案の丸付けはしません、と。

厳しいと思われるかもしれません。ですが、線を引かずに解いた答案を採点しても、意味がないのです。正解していたなら、それは偶然か、たまたま覚えていたか。間違えていたなら、なぜ間違えたのかを追跡できない。線が引いていない答案は、検証できないデータと同じです。

サッカーのコーチに言われたことを何もやらずに練習試合に出て、負けてから助言を求めるようなものです。そこで話すことは何もありません。

なぜ、そこまで線にこだわるのか

理由は精神論ではありません。認知の負荷の問題です。

入試の国語は、長い文章を読み、複数の設問を処理し、記述を組み立てるという作業を、限られた時間で同時に行います。これをすべて頭の中でやろうとすると、後半で必ず息切れします。実際、試験の終盤で急に正答率が落ちる子は、たいてい前半で頭を使いすぎています。

線を引くというのは、頭の中の情報を紙に逃がす作業です。逃がした分だけ、思考に余力が生まれる。だから線を引く子は、後半でも判断力が落ちません。

そしてもう一つ。線を引く行為そのものが、判断を強制します。ここは大事か、そうでないか。線を引くたびに、その判断をしている。読み流しているときには起きない思考が、そこで発生します。

算数でも、同じことを言っています

算数の授業で僕が最も多く言うのは、暗算をやめなさい、です。

図を描け、表を作れ、条件に番号を振れ、単位を書け。頭の中だけで処理しようとするから、簡単な問題でミスが出るし、難しい問題で手が止まる。書けば楽になります。

国語の線引きは、算数の図解とまったく同じ機能を持っています。どちらも、頭の中の負荷を紙に移す作業です。科目が違うだけで、やっていることは変わりません。

だから僕は、国語を感性の科目だとは考えていません。処理の設計をどう組むか、という技術の問題として扱っています。

選択肢の問題でも、線は効きます

もう一つ、線引きが直接得点に効く場面があります。設問文への線引きです。

適当でないものを選びなさい、という設問。ここで正しいものを選んでしまう失点を、僕は数え切れないほど見てきました。読解力の問題ではありません。読み飛ばしです。

だから、設問文の「でない」に線を引く。これだけで、この種のミスは激減します。作業として組み込んでしまえば、緊張していても機能します。

明日から親がすべき、非情な決断

お子さんの国語の答案を採点する前に、問題用紙を見てください。線が引いてなければ、採点しないでください。

やり直させてください。線を引いてから、もう一度解かせてください。手間はかかります。文句も言われるでしょう。ですが、線を引かないまま演習量を積んでも、点数は動きません。

成績が伸びる子と伸びない子の差は、才能ではなく、こうした小さな作業を実行しているかどうかにあります。地味で、退屈で、そして決定的です。

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