中学受験 国語 伸びない|順番が逆〈算数屋の国語⑧〉
中学受験の国語が伸びないというご相談を受けるとき、僕はまず順番を確認します。細部の理解から始めていないか、ということです。国語の力がつく順番は決まっています。大局、演習量、そして最後に細部です。今回はその順序の話をします。
僕は算数を専門とする講師です。国語も指導していますが、力がつく順番は算数とまったく同じだと考えています。
細部の理解は、最後に来る
多くのご家庭が、逆から入っています。一文の意味を丁寧に解説し、表現の意図を説明し、心情を細かく分析する。丁寧な指導に見えますが、これを最初にやると伸びません。
細部が理解できるようになるのは、大局がつかめて、量をこなした後です。順番を飛ばして細部から入っても、その理解は個別の知識として散らばるだけで、次の文章に応用されません。
だから僕は、最初に細かい話をしません。まず全体をつかむこと。それだけを徹底します。
第一段階、大局をつかむ
最初にやるのは、文章全体をざっくり把握することです。
どこに何が書いてあるか。筆者の主張はどちらを向いているか。登場人物の関係はどうなっているか。地図を作る作業です。一文ずつ味わうことはしません。
この段階で、この文章は何の話だったかを一言で言えるようになれば合格です。言えないうちは、細部に入っても意味がありません。
第二段階、量をこなす
大局がつかめるようになったら、次は演習量です。
ここは近道がありません。たくさんの文章に触れ、たくさんの設問を処理する。同じ型の問いが繰り返し出てくることを、体で覚える段階です。
ただし、量をこなすといっても、時間をかけて丁寧に解く量ではありません。時間を計り、大雑把に読み、設問箇所だけ精密に見る。この解き方で数をこなします。丁寧に一つ解くより、同じ時間で三つ解いたほうが、型に触れる回数が増えます。
この段階で伸び悩む子の多くは、量が足りていないだけです。読解力の問題ではありません。
第三段階、問いかけで細部に入る
量をこなした子に対して、初めて僕は細かい問いかけを始めます。
なぜその選択肢を選んだのか。どこを根拠にしたのか。この一文と矛盾していないか。もし本当にそうなら、次の段落はどうなるはずか。
この問いかけが機能するのは、量をこなした後だからです。土台がない状態で細かく問われても、答えようがありません。ですが、たくさんの文章を処理してきた子は、自分なりの判断基準を持っています。その基準を言葉にさせ、妥当かどうかを一緒に検証する。
ここで初めて、細部の理解が起きます。しかも、他人から与えられた理解ではなく、自分の経験に裏づけられた理解として定着します。
算数でも、同じ順番です
算数で新しい単元に入るとき、僕は最初に細かい解法を教えません。
まず、その単元が何を求める問題なのかという全体像を示します。次に、典型問題を数多く解かせます。そして十分に量をこなした段階で、なぜこの式を立てたのか、なぜここに補助線を引いたのかと問いかける。
順番を守ると定着し、飛ばすと定着しない。これは科目を問いません。
いま、どの段階にいるか
お子さんが伸び悩んでいるなら、まずどの段階でつまずいているかを確認してください。
文章を一言で要約できないなら、第一段階です。細かい問題演習より、全体をつかむ練習が先です。要約はできるが点が伸びないなら、第二段階、量が足りていません。量はこなしているのに安定しないなら、第三段階、根拠を言語化する訓練が必要です。
段階を取り違えた対策は、どれだけ時間をかけても効きません。
明日から親がすべき、非情な決断
丁寧な解説をやめて、まず量を確保してください。
解説に時間をかけるほど、演習量は減ります。一問を深く理解させた満足感と引き換えに、型に触れる機会を失っている。この交換は割に合いません。
大局をつかませ、量をこなさせ、それから問いかける。遠回りに見えて、これが最短です。
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