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中学受験 国語|講師も迷うと言う〈算数屋の国語⑨〉

2026/8/22

中学受験の国語の授業で、僕は生徒によくこう言います。この2つ、どっちか選べないよね。どうしようか、と。分からない問題を、分からないと言う。これが僕の国語指導の核心です。

僕は算数を専門とする講師です。国語も指導していますが、国語を完成された正解のある科目としては扱っていません。

学生時代に、国語の先生に感じた違和感

正直に書きます。僕は学生のころ、国語の授業に反感を持っていました。

先生の解説を聞いていると、どうしても答えを見てから説明を作っているように感じたのです。なぜウなのかという説明は流暢なのですが、それは答えがウだと知っているから言えることではないか。ゼロから読んだ人間が、その手順で本当にウにたどり着けるのか。

答えありきの説明だ、と当時の僕は思っていました。そしてその授業を聞いても、自分が解けるようにはなりませんでした。

だから僕は、迷ったときに迷ったと言う

指導する側になって、僕は逆のことをしています。

選択肢を4つ見て、2つまでは切れる。でも残りの2つで決め手がない。そういうとき、僕は生徒の前で正直に言います。ここから先は決め手がない。どうやって選ぶと思う、と。

記述もそうです。自分なりの答案を作ってから模範解答を見て、ここは納得いかない、と言うことがあります。模範解答が絶対ではないからです。

格好はつきません。ですが、この方が生徒は伸びます。

なぜ、迷いを見せるほうが伸びるのか

理由は3つあります。

1つ目。生徒が、間違いを自分の能力の低さだと思わなくなります。プロが迷う問題で迷ったなら、それは当然のことです。国語が苦手だと思い込んでいる子の多くは、実際には苦手ではなく、揺れのある問題で揺れているだけです。

2つ目。国語という科目の性質が伝わります。算数と違って、国語には決め手が薄い問題が実在します。それを知らないまま、すべての問題に明確な正解があると思っていると、決められない自分を責め続けることになります。

3つ目。ここが最も重要です。答えを教えられないので、生徒が自分で考えるしかなくなります。僕が迷っている以上、僕から答えは出てきません。ならば自分で根拠を探すしかない。この状況が、自分ごととして問題に向き合う姿勢を作ります。

決め手がないなら、二択で十分

そして、迷いを認めた上での戦略があります。

4つの選択肢を2つまで絞れたなら、そこで止めていい。正答率50パーセントです。当てずっぽうの25パーセントから、倍になっています。

全問を確実に正解しようとすると、決め手のない問題に時間を吸い取られ、確実に取れたはずの問題まで落とします。決め手のある問題は100パーセント取り切る。決め手のない問題は二択で手を打つ。この割り切りが、総得点を押し上げます。

これは諦めではなく、期待値の計算です。

記述も、満点でなくていい

記述問題も同じ考え方です。

模範解答と同じ答案を書くのは難しい。ですが、部分点を取るのは難しくありません。重要なキーワードが入っていて、論理的につながっていれば、点数はもらえるからです。

だから僕は、完璧な答案を目指させません。使えそうな言葉を本文から拾い、正しい接続語でつなぐ。これだけで部分点は積み上がります。満点を狙って白紙になるより、6割の答案を確実に書くほうが、はるかに得点します。

国語を完成品として扱わない。不完全なままでも点が取れる科目として扱う。これが僕の言う大雑把な指導の意味です。

いちばん怖いのは、何も書かないこと

ここまで書いてきたことは、すべて一つの目的につながっています。生徒が手を止めないことです。

完璧を求めるほど、手が止まります。正解が分からないから選べない、うまく書けないから書かない。この状態が最も点を失います。空欄は必ずゼロ点ですが、書けばゼロではないかもしれない。

だから僕は、迷いを見せます。プロでも迷うのだから、迷ったまま決めていい。間違えていい。とにかく書け。そう伝えるために、自分の迷いを隠しません。

明日から親がすべき、非情な決断

お子さんに国語を教えるとき、分からない問題は分からないと言ってください。

正解を知っている大人として振る舞うほど、子どもは自分で考えるのをやめます。かわりに、お母さんもこの2つで迷うな、あなたはどっちだと思う、と聞いてください。

迷いを共有した瞬間から、子どもは自分の頭で選び始めます。

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