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算数の講師が国語を教える理由〈算数屋の国語⑪〉

2026/8/22

保護者様との面談で、国語も教えていますとお伝えすると、たいてい微妙な間が空きます。算数の先生ですよね、という顔をされる。信じてもらえないのです。仮に信じてもらえても、それで成績は上がるんですか、という空気が続きます。

無理もありません。ですから、このシリーズを書き始めました。今回はその理由と、僕の国語指導がどこから来ているのかを書きます。

なぜ信じてもらえないのか

理由は分かっています。国語は文系の科目であり、読書量と感性で決まる、という前提が共有されているからです。その前提に立てば、算数の講師が国語を教えるのは畑違いに見えます。

ですが僕は、その前提自体を採っていません。選択肢を選ぶのは条件を照合して矛盾を排除する作業であり、記述を書くのは材料を集めて論理でつなぐ作業です。どちらも算数でやっていることと手続きは変わりません。

感性を鍛えるのではなく、判断の手順を減らす。これが僕の国語指導です。文学を教えているわけではないので、文系の先生と競合しているつもりもありません。それに、理系の人間に文系科目は教えられない、という言い方もよく聞きます。これについては、はっきり反論できます。僕は体育会系だからです。理系でも文系でもないので、問題ありません。

僕の指導は、二人の先生から学んだものです

正直に書きますが、この指導法は僕が発明したものではありません。かつて一緒に働いた二人の先生から学びました。

一人目、小学生に英検1級を取らせるO先生

O先生は、小学生に英検1級を取らせる指導者でした。

この先生から学んだのは、ソクラテス式の問答です。答えを教えず、問いを重ねて本人に気づかせる。そしてもう一つ、生徒に説明させること。理解しているかどうかは、本人に説明させれば分かります。説明できないものは、理解していない。

この二つは、いま僕が国語でも算数でもやっていることの中核です。解説をやめて問いかけに変える、という僕の方針は、O先生から受け取ったものです。

二人目、教科書をほぼ使わないN先生

N先生は、教科書をほとんど使わずに国語を教える先生でした。

学んだことは二つあります。一つは、教科書に載っている設問以外にも、独自の質問をしまくること。設問に答えさせるだけでは、本文の理解は測れません。だから自分で質問を作り、あらゆる角度から聞く。

もう一つが、あえて大雑把に教えること。細部を丁寧に教え込むほど、生徒は大局を見失う。だから粗く、大きな枠だけを渡す。

僕がこのシリーズで繰り返し書いてきた大雑把という言葉は、N先生から受け取ったものです。

そして、二人に共通していたこと

タイプの違う二人でしたが、共通していたことがあります。

諦めないことです。国語の力は、教えたその日には伸びません。今日も変わらない、来週も変わらない、来月も変わらない。それでも問い続け、書き直させ続ける。

すると、あるとき突然に伸びます。じわじわではなく、突然です。二人ともそれを知っていて、伸びる前の長い停滞に耐えていました。

僕もそれを何度も見てきました。だから停滞している生徒がいても、方針を変えません。伸びていないのではなく、まだ伸びる前なのだと分かっているからです。

だから、書くことにしました

面談の場で、これを全部お話しするのは難しい。時間もありませんし、口頭では伝わりにくい。

だから記事にしました。読解をどう教えるのか、記述をどう書かせるのか、なぜ解説しないのか。方法も思想も、隠さずに書いています。

読んでいただいて、これは違うと思われたら、それで構いません。合わないご家庭に無理に受けていただく必要はないからです。ですが、算数型のお子様や、感性という言葉で説明されることに疲れたご家庭には、噛み合う可能性があります。

明日から親がすべき、非情な決断

国語が伸びないのを、才能や読書量のせいにするのをやめてください。

そう説明されると、打つ手がなくなります。生まれつきだから仕方ない、いまさら読書量は増やせない、と。ですが、手順の問題であれば直せます。少なくとも、直そうとする余地が生まれます。

そして、すぐには変わらないことを覚悟してください。国語は突然伸びます。突然が来るまで、耐えられるかどうかの勝負です。

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