中学受験 算数 捨て問の見極め方〈算数の設計図⑤〉
中学受験の算数で、全問正解を目指していませんか。合格に必要なのは満点ではありません。多くの学校で6割前後です。つまり4割は落としてよい。どの4割を落とすかを決めることが、直前期の得点設計です。
このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題として扱ったらどうなるか。その記録です。
捨て問を決めないと、時間切れになります
まず、なぜ捨てる判断が必要かを確認します。
試験時間は有限です。難問に15分粘って解けなかった子と、その15分で標準問題を3問確実に取った子では、後者が勝ちます。当たり前のようですが、本番でこの判断ができる子は多くありません。
しかも厄介なことに、粘っている本人は頑張っています。諦めずに考え続ける姿勢は、普段は褒められるものです。ですが試験中に限っては、それが失点の原因になります。
捨てる判断は、逃げではなく戦略です。
本番で捨てる基準は、2分です
実戦的な基準を書きます。
問題を読んで条件を書き出した段階で、方針が立たない。使う道具の見当がつかない。この状態が2分続いたら、いったん飛ばします。
2分という数字に絶対的な根拠はありませんが、目安として機能します。方針が立つ問題は、たいてい2分以内に何かが見えてきます。逆に2分経っても真っ白なら、5分かけても解けない可能性が高い。
飛ばした問題には印をつけておき、全問に目を通してから戻ります。もしかしたら、後半に簡単な問題が眠っているかもしれません。
普段の勉強で捨てる基準は、5分です
本番と普段では、基準が変わります。
家庭学習で解けない問題に出会ったとき、解説を読みます。読んで5分で理解できないものは、いまは捨てます。今の学力から遠すぎるからです。
ここで無理に理解しようとすると、1問に30分溶けます。その30分で、あと一歩で解ける問題を5問固めたほうが、点数は伸びます。
そして繰り返しになりますが、捨てた問題は永遠に失われません。カリキュラムは同じ単元を繰り返します。次に会ったときに解ければいいのです。
志望校によって、捨てる場所が変わります
ここが直前期の核心です。
学校ごとに出題の癖はまるで違います。図形の比重が高い学校、速さが毎年出る学校、記述で部分点が拾える学校、大問1の計算が難しい学校。合格最低点も違えば、科目ごとの配点も違います。
つまり、捨ててよい単元は志望校によって変わります。ある学校ではほぼ出ない単元が、別の学校では毎年出る。すべての単元を平均的に仕上げようとするのが、最も効率の悪い戦略です。
過去問を複数年度分析して、頻出単元と出題形式を整理する。そのうえで、どの大問で何点取るかを決める。この設計があるかないかで、同じ演習量でも結果が変わります。
取るべき問題を、100パーセントにする
捨てる話ばかり書きましたが、目的は逆です。
捨てる問題を決めるのは、取るべき問題を確実に取り切るためです。合格者と不合格者の差は、難問が解けたかどうかではなく、標準問題を落としたかどうかにあることがほとんどです。
だから、捨てた分の時間を、確実に取れる問題の精度と速度に投資します。計算ミスを減らす。設問の読み違いをなくす。見直しの手順を決める。地味ですが、ここが合否を分けます。
明日から親がすべき、非情な決断
過去問の点数を見るのをやめて、どの問題で失点したかを見てください。
難問を落としているなら、問題ありません。それは捨ててよい問題です。ですが、標準問題や計算で落としているなら、そこが伸びしろです。
そして、志望校の合格最低点を調べてください。満点との距離ではなく、合格点との距離を見る。この視点に切り替えた瞬間から、やるべきことが変わります。
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