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旅人算 教え方|和と差だけ先に叩き込む〈算数の設計図⑨〉

2026/8/26

旅人算は難しい、とよく言われます。ですが、教える順番を間違えなければ、そこまで複雑な単元ではありません。今回は、僕が実際にやっている旅人算の教え方を書きます。

このシリーズでは、算数をひらめきに任せません。経営工学を学んだ講師が、解法を設計の問題として扱ったらどうなるか。その記録です。

まず、和と差だけを叩き込む

旅人算には、出会い算と追いかけ算の2種類があります。最初にやるのは、この2つに対応するキーワードを覚え込ませることです。

出会い算のキーワードは、和。速さの和と、距離の和を使います。

追いかけ算のキーワードは、差。速さの差と、距離の差を使います。

これだけです。ここは理屈から入りません。そういうものだ、と先に入れてしまいます。理屈を理解してから使えるようになるのではなく、使えるようになってから理屈が分かる。子どもの学習はこの順序で進みます。

追いかけ算は、遅い方を止めて考える

出会い算は、イメージしやすい単元です。2人が向かい合って進み、間の距離が縮まって出会う。頭の中で絵が描けます。

問題は追いかけ算です。同じ方向に2人が進み、後ろの人が前の人に追いつく。この状況は、動くものが2つあるせいで、頭の中で像を結びにくい。

そこで僕はこう教えます。遅い方を、止めてしまいなさい。

遅い人がその場に立ち止まっていると考えると、速い人だけが動く1人の問題になります。そして速い人が進むべき距離が、最初にあった2人の距離の差です。動くものが1つになった瞬間、追いかけ算は急に簡単になります。

もちろん厳密には、速さの差の分だけ縮まっているという話です。ですが、その説明は後回しにします。

相対速度は、まだ教えません

旅人算の正体は、相対速度です。片方を静止させて、もう片方の速度を差で考える。物理でいうところの、観測者を動かす発想です。

ですが、これを最初に説明したら、子どもは間違いなく混乱します。抽象度が高すぎるからです。

だから僕は、この言葉を最初に出しません。和と差の型で問題が十分に解けるようになってから、実はこういう仕組みだったんだよ、と後から伝えます。

順序が逆になると、理解できないまま公式だけが残ります。使えるようになってから、なぜそうなるのかを知る。この順番を守ってください。

線分図も、型から入る

旅人算では線分図を描かせますが、ここにも順序があります。

図を描きなさい、と言うだけでは描けません。何を描けばいいか分からないからです。だから僕は、まず型を見せます。

このパターンなら、この形の線分図。別のパターンなら、この形。出会い算なら2人が向かい合う図、追いかけ算なら同じ向きに並ぶ図、途中で折り返す問題なら往復の図。型をいくつか教えると、子どもはそれを土台にして、自分でアレンジし始めます。

白紙から創造させるのではなく、見本を渡してから変形させる。この方が確実に速いのです。

旅人算は、入試で頻出です

この単元に時間をかける価値がある理由は、単純です。入試でよく出るからです。

速さの分野の中でも、旅人算は出題頻度が高い。しかも、状況設定を変えるだけで無限に問題が作れるため、学校側にとって使いやすい題材でもあります。ダイヤグラムと組み合わせた形、比と組み合わせた形、水そうや通過算に発展した形。土台が同じなので、旅人算が固まっていれば応用が利きます。

逆に、ここが曖昧なまま6年生になると、速さの単元全体で失点し続けることになります。

明日から親がすべき、非情な決断

お子さんに、旅人算の仕組みを説明するのをやめてください。

かわりに、出会い算は和、追いかけ算は差。この2つを、言えるようになるまで確認してください。理屈は要りません。まず言えること、そして使えることです。

理解は、後からついてきます。

【関連する指導コース】

速さの単元は、型を教えてから量をこなす順序で指導しています。詳しくは、マナリンクのプロフィールにある「【予習シリーズ5年算数】割合・比・速さを先取り攻略」というコースをご覧ください。無料相談からお気軽にどうぞ。

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