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算数

面積比 わからない子は、計算より図の描き方が原因

2026/10/23

面積比がわからない、と相談を受けると、多くの保護者は計算力を疑います。ですが、授業で見ていて手が止まる場所は、ほぼ計算ではありません。止まるのは、図の中から「どの三角形を使うか」を選ぶ、その一手前です。

面積比の大問は、使う道具が5つしかない

平面図形の比の問題で使う性質は、実はそれほど多くありません。

相似な図形の面積比は、長さの比を2乗する。たとえば長さの比が4対5なら、面積比は16対25です。

高さが同じ三角形の面積比は、底辺の比と同じになる。

三角形の内側に点があるときは、面積比がそのまま辺の長さの比に化ける。

六角形は、1対2対3の形に分けて全体を6とみなす。

四角形の対角線は、できた三角形の面積比から長さの比を読む。

覚える量は少ないのに、解けない子は解けません。昨日の授業でも、まさにそうでした。計算は正確です。30対12を5対2に約分することも、全体を60とおいて1つ分を10と出すことも、問題ありません。それでも手が止まります。

面積比は「何を知りたいか」で使う三角形が入れ替わる

ここが最初の落とし穴です。同じ図でも、聞かれる線が変わると、使う三角形が丸ごと入れ替わります。

三角形ABCの内側に点Oがあり、三角形OABが12、OBCが6、OCAが8平方センチメートルだとします。

AOをのばしてBCと交わる点をEとすると、BEとECの比は、OABとOCAの面積比と同じ12対8、約分して3対2です。

BOをのばしてACと交わる点をFとすると、AFとFCの比は、OABとOBCの面積比と同じ12対6、約分して2対1です。

図は同じなのに、答えを出すために見る三角形は別物です。つまずく子は、この入れ替えを頭の中だけでやろうとして、図の線が増えるほど混乱します。僕はこの形を「ベンツ切り」と呼んでいますが、名前が雑なのは覚えやすさのためです。

解けない子は、図を自分流にアレンジしている

授業で一番多い失敗は、こうです。お手本と同じ形で分ければ解ける問題で、生徒が勝手に線を足したり、別の三角形に印をつけたりして、自分で迷路を作ってしまう。

偏差値の壁は、実はここにあります。算数が苦手なのではなく、頭の中だけで処理しようとして、作業の途中で自分の情報を見失っているのです。算数を算数として解こうとする真面目さは、こういう場面で足を引っ張ります。

直すべきは性格ではなく、外側のルールです。僕が授業で入れている手当ては3つです。

面積比は四角で囲み、長さの比は囲まない。見た目で区別がつけば、取り違えが消えます。

求めたい線を先に赤ペンでなぞり、そこから矢印を伸ばして、つながる三角形を決める。

お手本と同じ形の図を、余計な線を消して描き直す。お手本に書いてあって自分の図にない印は、書き漏れのサインです。

点を落とさないための、小問の順番

面積比の大問は、小問(1)が(2)以降の誘導になっていることがほとんどです。まず(1)で長さの比を出し、その比を次の小問に持ち込みます。ここで図を毎回描き直す子は、時間を食います。描き直すのは、求めたい線が変わった瞬間だけでよい。

どうしても使う三角形が見つからないときは、図を右に90度回すのが効く場合があります。見慣れた向きに直すだけで、パターンが見えることがあるからです。それでも見えなければ、その小問は飛ばして次に進む。大問全体を捨てる判断は、まだ早いです。

六角形と対角線で、同じ手順が通用するか

同じ考え方は、六角形や四角形の問題でも使えます。六角形を1対2対3に分ける形は、全体を6とおけば、面積が60平方センチメートルのとき1つ分が10と出ます。四角形の対角線なら、できた2つの三角形の面積比が2対3のとき、共通の底辺を挟んだ長さの比も2対3です。

見た目は別の問題に見えて、やっていることは同じです。お手本の分け方を写し、求めたい線から逆にたどる。勝手に分け方を変えた瞬間に、また迷路が始まります。

明日から親がすべき、非情な決断

家庭でやることはひとつです。子どもが線を足し始めたら、止めてください。そして、お手本の図を横に置き、同じ形で描くように言う。答えを教えないことが、いちばんの援護射撃です。

面積比は、才能ではなく手順の問題です。図を描く手順を外から与えれば、止まっていた子が動き出します。

もし、お子さんの手が止まる場所を一緒に洗い出したい場合は、僕のプロフィールにある中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポートで、図の描き方から指導できます。無料相談もありますので、気軽にどうぞ。

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