面積比 わからない子は、計算より図の描き方が原因
面積比がわからない、と相談を受けると、多くの保護者は計算力を疑います。ですが、授業で見ていて手が止まる場所は、ほぼ計算ではありません。止まるのは、図の中から「どの三角形を使うか」を選ぶ、その一手前です。
面積比の大問は、使う道具が5つしかない
平面図形の比の問題で使う性質は、実はそれほど多くありません。
相似な図形の面積比は、長さの比を2乗する。たとえば長さの比が4対5なら、面積比は16対25です。
高さが同じ三角形の面積比は、底辺の比と同じになる。
三角形の内側に点があるときは、面積比がそのまま辺の長さの比に化ける。
六角形は、1対2対3の形に分けて全体を6とみなす。
四角形の対角線は、できた三角形の面積比から長さの比を読む。
覚える量は少ないのに、解けない子は解けません。昨日の授業でも、まさにそうでした。計算は正確です。30対12を5対2に約分することも、全体を60とおいて1つ分を10と出すことも、問題ありません。それでも手が止まります。
面積比は「何を知りたいか」で使う三角形が入れ替わる
ここが最初の落とし穴です。同じ図でも、聞かれる線が変わると、使う三角形が丸ごと入れ替わります。
三角形ABCの内側に点Oがあり、三角形OABが12、OBCが6、OCAが8平方センチメートルだとします。
AOをのばしてBCと交わる点をEとすると、BEとECの比は、OABとOCAの面積比と同じ12対8、約分して3対2です。
BOをのばしてACと交わる点をFとすると、AFとFCの比は、OABとOBCの面積比と同じ12対6、約分して2対1です。
図は同じなのに、答えを出すために見る三角形は別物です。つまずく子は、この入れ替えを頭の中だけでやろうとして、図の線が増えるほど混乱します。僕はこの形を「ベンツ切り」と呼んでいますが、名前が雑なのは覚えやすさのためです。
解けない子は、図を自分流にアレンジしている
授業で一番多い失敗は、こうです。お手本と同じ形で分ければ解ける問題で、生徒が勝手に線を足したり、別の三角形に印をつけたりして、自分で迷路を作ってしまう。
偏差値の壁は、実はここにあります。算数が苦手なのではなく、頭の中だけで処理しようとして、作業の途中で自分の情報を見失っているのです。算数を算数として解こうとする真面目さは、こういう場面で足を引っ張ります。
直すべきは性格ではなく、外側のルールです。僕が授業で入れている手当ては3つです。
面積比は四角で囲み、長さの比は囲まない。見た目で区別がつけば、取り違えが消えます。
求めたい線を先に赤ペンでなぞり、そこから矢印を伸ばして、つながる三角形を決める。
お手本と同じ形の図を、余計な線を消して描き直す。お手本に書いてあって自分の図にない印は、書き漏れのサインです。
点を落とさないための、小問の順番
面積比の大問は、小問(1)が(2)以降の誘導になっていることがほとんどです。まず(1)で長さの比を出し、その比を次の小問に持ち込みます。ここで図を毎回描き直す子は、時間を食います。描き直すのは、求めたい線が変わった瞬間だけでよい。
どうしても使う三角形が見つからないときは、図を右に90度回すのが効く場合があります。見慣れた向きに直すだけで、パターンが見えることがあるからです。それでも見えなければ、その小問は飛ばして次に進む。大問全体を捨てる判断は、まだ早いです。
六角形と対角線で、同じ手順が通用するか
同じ考え方は、六角形や四角形の問題でも使えます。六角形を1対2対3に分ける形は、全体を6とおけば、面積が60平方センチメートルのとき1つ分が10と出ます。四角形の対角線なら、できた2つの三角形の面積比が2対3のとき、共通の底辺を挟んだ長さの比も2対3です。
見た目は別の問題に見えて、やっていることは同じです。お手本の分け方を写し、求めたい線から逆にたどる。勝手に分け方を変えた瞬間に、また迷路が始まります。
明日から親がすべき、非情な決断
家庭でやることはひとつです。子どもが線を足し始めたら、止めてください。そして、お手本の図を横に置き、同じ形で描くように言う。答えを教えないことが、いちばんの援護射撃です。
面積比は、才能ではなく手順の問題です。図を描く手順を外から与えれば、止まっていた子が動き出します。
もし、お子さんの手が止まる場所を一緒に洗い出したい場合は、僕のプロフィールにある中学受験プロによる予習シリーズ専門の算数サポートで、図の描き方から指導できます。無料相談もありますので、気軽にどうぞ。
このブログに関連するオンライン家庭教師はこちら
算数対策におすすめの指導コース
- 特殊算を基礎から勉強したい方
- 特殊算が理解出来ていないまま暗記してしまっている方
- 特殊算の中に理解出来ていない単元がある方
- 受験に向けて基礎から応用力を身に付けたい人
- 弱点分野を見つけ出し、集中的に克服していきたい人
- ケアレスミスの克服と答案作成の力量を引き上げたい人
- 進学塾の学習のペースについていけないと感じている方
- 塾でクラスアップをめざす方
- 志望校合格に向けて学習のペースを上げていきたい方
- 自閉傾向やADHD傾向があるお子様の学習に悩んでいる方におすすめです。
- 発達障害の特性を把握して、お子様にあった学習を行うことを目標としています。
- 発達障害について詳しい知識と理解がある先生を探している保護者様に合った授業コースです。
- 中学受験に興味はあるものの、何から始めるか迷っている小学3・4年生
- 計算はできても、図形や文章題になると手が止まってしまうお子さま
- 塾の授業や宿題を丁寧に復習し、自分のペースで先取りしたいお子さま