繰り上がり・繰り下がりの計算ミスを減らす確認順
結論から言うと、繰り上がり・繰り下がりの計算で何度も間違えるときは、計算練習を増やす前に「10のまとまり」と「位取り」が分かっているかを確認することが大切です。答えをすぐ直すのではなく、①数の分け方、②位の位置、③計算の手順、の順番で見直すと、どこでつまずいているかを家庭でも見つけやすくなります。
まず確認したい「10のまとまり」
繰り上がりのあるたし算では、一の位の数を合わせたときに10以上になったら、10をひとまとまりとして十の位へ移します。たとえば「8+7」なら、8に2を足して10にし、残りの5を加える、と考えられます。
ここで、子どもが「8+7=15」と答えられていても、10のまとまりを意識しているとは限りません。筆算になると、10を十の位へ移す意味が分からず、繰り上がりの数字を書き忘れたり、別の位に書いたりすることがあります。
家庭では、次のように確認してみてください。
「8はあといくつで10になる?」
「7を、2といくつに分けられる?」
「10になったまとまりは、どの位に置く?」
ブロック、十円玉と一円玉、折り紙などを使って、10個をひとまとめにする経験をすると、数字だけで考えるよりも理解しやすくなります。たとえば一円玉8枚と7枚を並べ、10枚を十円玉1枚に交換します。この交換が、繰り上がりの意味です。
次に「位取り」を確認する
繰り上がり・繰り下がりの計算では、数字の大きさだけでなく、どの位にあるかが重要です。「36」の3は3個ではなく、十のまとまりが3つで30を表します。一方、6は一のまとまりが6つで6です。
位取りでつまずいている場合、筆算の数字がずれて書かれたり、繰り上がった1を一の位の近くに書いたりします。計算方法を説明する前に、位の名前を確かめましょう。
「この3は何の位?」「いくつを表している?」「一の位はどこ?」と尋ね、十の位と一の位を色分けして書く方法も役立ちます。マス目のノートを使い、1マスに1つの数字を書くことも、位のずれを防ぐ助けになります。
確認には、次のような数を使えます。
23を「20と3」に分ける
40と6で「46」をつくる
58の5が表す大きさを言う
70から10を1回取り、60になることを説明する
これらが不安定なまま筆算だけを繰り返すと、手順を覚えても別の問題で間違いやすくなります。
繰り上がりのあるたし算の確認順
たとえば「27+18」を使うなら、次の順番で確認します。
十の位と一の位をそろえて書く
一の位の「7+8」を計算する
15を「10と5」に分ける
10を十の位へ移し、一の位に5を書く
十の位の「2+1+1」を計算する
声かけは、「答えは何?」よりも「一の位では何が起きた?」「10のまとまりはいくつできた?」のように、考えた過程を尋ねるのがおすすめです。
間違えたときは、すぐに正しい筆算を書き写させるのではなく、同じ問題を具体物や図で表します。27を「十のまとまり2つと1が7個」、18を「十のまとまり1つと1が8個」とし、一のまとまりを合わせて10を交換します。その後、筆算に戻ると、数字の「1」が何を表すのか確認できます。
繰り下がりのあるひき算の確認順
繰り下がりでは、「十のまとまりを一のまとまり10個に交換する」ことが中心です。たとえば「32−17」なら、十の位から1つをくずして、2個の十のまとまりと12個の一のまとまりにします。そこから一の位の7を引き、残った十のまとまりを引きます。
家庭では、次の順で確かめます。
引かれる数と引く数の位をそろえる
一の位で、引かれる数が足りるか見る
足りなければ、十の位から10を一の位へ交換する
一の位を計算する
十の位は、交換した分を1減らして計算する
「2から7は引けない」と言ったときは、「2個のままでは足りないね。十のまとまりをくずすと、一のまとまりはいくつになる?」と声をかけます。「借りる」という言葉だけでは、何をしているのか分かりにくい子もいます。「10を交換する」と表現すると、数の変化を捉えやすくなります。
練習は「少ない問題を、説明つき」で
間違いが続くと、たくさんの問題を解かせたくなります。しかし、原因が分からないまま量を増やすと、誤った手順を繰り返すことがあります。まずは1回に2〜3問程度にし、答えだけでなく途中の考えを確認しましょう。
練習問題は、同じ型を続けるだけでなく、次のように分けると効果を確かめやすくなります。
繰り上がりなしの問題
一の位だけ繰り上がる問題
十の位にも繰り上がりがある問題
繰り下がりなしの問題
一の位で繰り下がる問題
丸つけでは、正解か不正解かだけでなく、「位がそろっているか」「10の交換を表せているか」「繰り上がり・繰り下がりを書けているか」を見ます。間違いの場所に印をつけ、「もう一度やって」ではなく、「一の位の後、10のまとまりはどうした?」と一つだけ問いかけます。
私は、公立小中学校で30年以上、算数・数学の指導や特別支援・教育相談に関わってきました。その経験からも、計算のつまずきは、速さより先に数の仕組みを確かめることが出発点だと考えています。まずは今日、10個をひとまとまりにする具体物を使い、繰り上がりか繰り下がりのどちらか一方を、子どもに説明してもらうところから試してみてください。
どこでつまずいているのか家庭では判断しにくい場合は、今できているところまで戻って、一緒に確認していくこともできます。計算を急いで先へ進めるのではなく、その子のペースで『分かるところ』から組み直していきます。
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