旅人算 グラフ わからない子が見落とす一語
旅人算のグラフがわからない。その原因の大半は、算数の力ではなく、グラフの縦軸を読み違えていることにあります。
予習シリーズの旅人算で、グラフを見たとたん手が止まるお子さんは多いはずです。ただ、ここで言うグラフは、進んだ距離を表す普通のダイヤグラムとは別物のことがあります。縦軸が「2人の間の距離」になっている問題です。
なぜ旅人算のグラフで手が止まるのか
普段の演習で見慣れているのは、横軸が時間、縦軸が家からの距離のグラフです。線が右上に伸びれば進んでいる、という読み方で足ります。
ところが縦軸が「2人の間の距離」になると、線が上がるのは「差が開いている」、下がるのは「差が縮んでいる」という意味に変わります。線が下がっているのに、本人は前に進んでいると読んでしまう。ここで混線します。
僕の授業でも、小学生が同じ型で止まることがあります。問題文に「2人の間の距離」と書いてあるのに、その一語に線を引いていない。つまり、解けないのではなく、読めていないのです。読む前に解き始める真面目さは、良質な養分になりがちですが、救いは簡単です。
間の距離のグラフは、折れ点を「出来事」に翻訳する
間の距離のグラフを解くコツは一つだけです。グラフの折れ曲がる点を、すべて「誰が何をした瞬間か」に言い換えます。
ここで具体例を出します。妹は分速60m、姉は分速90mで、家から540m離れた駅まで歩きます。姉は妹より4分遅れて家を出ます。横軸は妹が出発してからの時間、縦軸は2人の間の距離です。
グラフが最初に上がり続けるのは、妹だけが進んでいるからです。最初に折れて下がり始める点は、姉が出発した瞬間。つまり4分です。下がり方が途中で急になる点は、妹が駅に着いて止まった瞬間。最後に0になる点は、姉が駅に着いた瞬間です。
折れ点の意味が決まれば、あとは普通のダイヤグラムを自分で描き直します。ここを飛ばして式から入るのが、偏差値50台で停滞しやすい典型的な型です。
実際に数字を出してみる
先ほどの例で計算します。
妹は 540 ÷ 60 = 9分で駅に着きます。姉は 540 ÷ 90 = 6分かかり、4分遅れで出るので 4 + 6 = 10分で着きます。
4分の時点で、妹はもう 60 × 4 = 240m 進んでいます。姉はまだ家にいるので、2人の間は240mです。
9分の時点で、姉は出発から5分たっているので 90 × 5 = 450m 進んでいます。妹は駅にいるので、間の距離は 540 - 450 = 90m です。
ここで大事なのは、どの数字を誰の動きから出すかを決めることです。4分の時点は「妹が先に進んだ距離」、9分の時点は「姉が進んだ距離」。1つの数字に使える人物は1人に絞ります。迷う子は、妹と姉を同時に考えて混ぜてしまいます。
捨て問か取る問題かの線引き
この型は、入試では大問の後半に置かれがちです。全部取りに行く必要はありません。
僕が生徒に伝えているのは、小問の1と2が取れれば十分で、最後の1問は余力で挑戦すればよい、という優先順位です。小問1は、グラフから読むだけで答えが出る場合が多い。ここを落とさないことが、得点設計の土台になります。
折れ点を出来事に言い換える作業ができれば、小問の前半は安定して取れるはずです。それができないうちに最後の小問へ突っ込むのは、時間の使い方として割に合いません。
明日からやること
親にできることは2つだけです。
問題文の「2人の間の距離」に、お子さん自身に線を引かせる
折れ点の横に、「姉がスタート」「妹がゴール」と短く書かせる
解説を横で語る必要はありません。先に書かせて、あとから確認するだけで十分です。
間の距離のグラフは、型を覚えれば得点源になります。逆に、型を知らないまま演習量だけ増やしても、同じ場所で何度も止まります。それを続けるのは、少々もったいない。
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