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成績が上がらない、たったひとつの理由

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2021/1/8

成績を上げるために必要なこととは?

私は今現在も学習塾を運営しながら、オンライン家庭教師としても活動しています。雇われ塾講師として12年、塾の運営を始めて9年目を迎えました。


この間、子供たちを指導する中で、成績を上げる一番の近道は、正しい勉強法と相応の勉強量にあるという結論にたどり着きました。

当たり前なことなのですが、子供達の力だけではとても難しいことだと考えています。

正しい勉強法をすでに身につけ、勉強量を確保できている生徒は、学習塾や予備校に通ったり、家庭教師の先生をつける必要はないと思っています。しかし、これまで指導してきた生徒の中でそのような状態の生徒はほとんどいませんでした。

成績が上がらないのはなぜなのか?

正しい勉強法というのは、「机にむかい、一生懸命ひたすら勉強する」ということではありません。努力している姿勢は評価できますし、とても大事なことです。ただし、それだけでは成績は上がらないのです。

私が指導する中で出会った生徒を2人紹介させてください。

まずはある女の子の話です。

その生徒は中3の夏、高校受験対策として最上位のクラスに入塾してきました。数回の授業を見る限り、まじめでコツコツと勉強しているタイプの生徒です。しかし、入塾前に聞いていた成績とのギャップを感じました。

公立中学の生徒でしたが、入塾前は学校で10番台でした。もう少し上にいてもおかしくないと感じたので、授業後に残ってもらい普段、家でやっている勉強を塾でそのままやってもらうことにしました。すると、まったく集中力を切らすことなく、学校で習った内容をまとめたきれいなノートを作っていました。

これは努力しているのに成績が上がらない生徒の典型タイプです。教えている立場から見ても美しくまとめられたノートで感心させられましたが、そのような勉強は、こと成績を上げるという面から見ると非常に効率が悪いのです。

ノートをまとめただけで満足してしまい、肝心な要素が抜け落ちてしまってしまっているのです。

この勉強法では「問題が解ける」ようにはなっていません。問題を解く練習を全くしていないんです。実際のテストで問題が解けなければ成績は上がらないのです。

「点数をとる」ための時間の使い方とは

彼女には、夏の間、塾でやった問題を自力で解けるようになるまで”何度も”繰り返しやるように指導しました。この生徒がいたクラスの授業は今までに習った基礎事項の復習をしたうえで、それに関する実戦的な問題を解いていくという内容でした。正直かなりの量なので、授業でやった内容とはいえ、それをやってのけることは簡単ではなかったと思います。

夏期講習が終わり、最初のテストで彼女は学年トップをとりました。ちょっとできすぎた話ですが実際にあったことです。

彼女の持ち前のコツコツやれるまじめで素直な性格と、正しい勉強法の成果と言えるでしょう。


「点数をとる」秘訣とは?

前述しましたが、点数をとるために勉強するということは、ただひたすらに努力するということではありません。

もちろん努力は必要不可欠な要素ですが、点数をとるための勉強法に沿った努力がより効率的に成績を上げてくれるのです。

点数をとるための勉強法とは、テストに出る問題の中で「できない」ものを「できる」ようにすることです。

例に出した生徒に指導した内容も大まかに言うと「できない」ことを「できる」ようになるために時間を使いなさい、というものでした。実際はもっと詳しく指示を出し、都度アドバイスしましたが、ここには書ききれませんので省略します。

課された内容が生徒に合っていれば、このことを実践できさえすれば必ず成績は上がります。


努力をすることの難しさ

先に挙げた彼女は努力することができる生徒の例でした。ではそもそも、その努力ができない場合はどうなんでしょうか。

私が高校3年の受験を控えた時期、担任との2者面談が行われました。担任の先生に言われた言葉はいまだに忘れられません。

「お前には努力する才能がない。」

この言葉を聞いたとき、なんて的を射た言葉なんだと感心してしまいました。

確かに高校生時代、明確な目標を持てず、勉強に対するモチベーションも低かったので、この先生が私に対して言ったことは間違っていないと思います。

ちなみにこの言葉を言い放った先生とは、卒業して20年経つ今でも付き合いがあり、時間が合うときには飲みに行くこともあります。手がかかった生徒ほど印象に残る、という先生あるあるの代表的な例が私だったようです(笑)


自身の経験から、一般的な中高生が勉強に対して努力し続けることが、いかに難しいかを理解しているつもりです。


努力し続けることは才能なのか?

担任の先生から言われた言葉は塾講師になっても心に残っていましたが、この言葉に対して疑問を持つようになることがありました。もう一人、今度はある男子生徒を紹介させてください。

この生徒は、私立の中高一貫教育の学校に通う生徒でした。結論から言うと、彼は早稲田大学に現役で合格しています。

彼と出会ったのは、私が以前働いていた塾に入社して1年目です。彼は中学校2年生でした。彼が高校に進学する時期になって、現在通っている中高一貫校の高等部には進学しないと言ってきました。

この時期、彼は勉強に対するモチベーションが明らかに低く、さらに学校での生活態度や、親への反発も褒められたものではありませんでした。この時期の男子生徒にはよくあることですから、そう心配はしていませんでしたが、進学の話になると、彼の将来に関わってきますので、塾講師としては黙っていることはできません。

もちろん、他の高校に進むことが絶対に選択肢として間違っているなどということはありませんし、環境を変えることで新しい何かが見える可能性もあります。

しかし、私はその学校で進学することが彼にとっての選択肢として良いものだと考えていましたので、かなりの時間2人で話をし、結局彼はその学校の高等部へ進学することになりました。


努力の才能がなければ、「努力の習慣」を手に入れる

彼が進学するときに、ひとつだけ約束をしました。

学校帰りに毎日塾に寄って、少しでもいいから勉強して帰宅する。

最初はいやいやながらも塾に顔を出して勉強して帰るという日々が続きました。

毎日という約束でしたが、高校生は部活などもあり、確かに忙しいですし、やる気がどうしてもでない日もあるでしょう。顔を見せない日もありましたし、それでも仕方がないとは思っていました。

しかし、ある日を境に、必ず塾に来るようになる機会が訪れます。

高校1年の最後のテストでクラスで半分ぐらいの順位をとったのです。それまではクラスで最下位近辺をうろうろしていたような生徒がです。

成績というのはじわじわ上がっていくように思われていますが、実はある壁を超えると急激に上がるということも少なからずあります。

彼の場合、1年近くいやいやながらも継続して勉強した結果、そのタイミングである壁を乗り越えたのです。

そのテストの後、彼の勉強に対する姿勢は劇的に変わりました。やれば結果が出るという経験をしたことがモチベーションになり、自分でももっと上を目指せるんじゃないかという気持ちが出てきたのでしょう。

それからというもの彼は勉強することが苦ではなくなったようです。いやいやながらも塾に通い続けた結果、努力することが習慣になっていたのです。

毎日誰もが食事をするように、歯を磨くように、風呂に入るように、勉強することが彼の生活のリズムの一部になっていったのです。

彼はその後も勉強することを続け、高3の夏前からは、学年の文型でトップ3を逃すことはなくなっていました(田舎ですが、地域の偏差値トップレベルの高校です)。結論は先に書きましたが、見事私立の最難関のひとつと言われる早稲田大学に進学しました。置き土産と言わんばかりに(笑)、その他にも数々の有名大学への合格実績を残して卒業していきました。

東京で就職して働いている彼と昨年、飲みに行く機会があり、色々な話をしました。あの時、勉強に対して前向きになれて本当に人生が変わった、と話していました。あれが彼にとって大きな転機だったようです。


私はこの様子を間近で見ていて、努力の才能がなくても、周りの協力があれば、努力の習慣を手に入れることはできるのではないか、と思うようになりました。


正しい勉強法と努力の習慣を身につければ成績はあがる

ここまで述べてきたように、点数を上げるための勉強法と努力の習慣を身につけることが、結局成績アップの最短の近道です。

そしてこの二つを習得していれば、学校を出てからの人生にも必ず役に立つと思います。

私は、学生時代に勉強だけしていればいいとは決して思いません。たくさんの経験をすることがとても大事だと思います。効率的に努力していくことで、勉強以外に割くことができる時間が余裕をもってとれるのだと考えています。

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